俺の好きなプラレール:第6章

もうひとつの「近郊型でんしゃふみきりえきセット」

前回のあらすじ

プラレール探しに疲れたオレは、見知らぬ駅にたどりついた
その駅の名前は「したまちのえき」

そしてその駅にやってきたのは幻の横須賀色の電車

オレはその電車に乗り、当て所の無い旅を続けていた…

その電車に乗ってから何日…いや何年たったろう
あまりはっきり覚えていない…
いろんな街を旅したが
オレの探しているプラレールには
巡り合えなかった




そんな時、電車はふいにスピードを落とし始めた
どうやら駅に着くらしい

今度の駅は、また何だかやけに賑やかなようだぜ
「まちのえき」にようこそ!
プラレールファミリーたちが出迎えてくれる


アナウンスがかかる
「この電車は、ここで終点です
どなたさまも、こちらでお降り下さい」
「ちょっと待ってくれよ、
オレの旅はまだ終わっちゃいないぜ」
オレは駅員に尋ねた

「ご安心ください、
次の電車がもうすぐやってきますよ」
そしてひとしきり経った頃…
また駅が賑やかになった

「また電車が来たよ!今度のは白とオレンジだ!」

その声に振り向いたオレが見たものは
初めて目にする電車だった
白い車体にオレンジの帯

…これはもしかすると
「プラレールのすべて3」にも
”カタログ写真のみしか確認されていない”
と書かれている「関西色」!
「そうです、これは
あなたが乗ってきた横須賀色と一緒に生まれた
いわば双子の電車です」

「ここからは、この電車に乗り継いでいただきます
さあさあ、出発ですよ」

そしてオレは、その関西色の電車に乗り換え
また旅を続けた…




それからもオレはいろいろな場所を旅した
だが、オレの心は何故か満たされなかった


また電車がスピードを落とし始める

また次の駅に到着するようだぜ
だあれもいないホームに、電車はすべりこんだ
どこか懐かしい感じのするその駅…

最初に乗った駅と同じ匂いがする
「したまちの駅〜5分間停車です」

何故か胸の高鳴りを感じ、オレはホームに降りた
「この駅で降りよう」
そう心に決めたオレは、車掌に話し掛けた

「降りるのはかまいませんが、
もうこの電車に乗ることはできませんよ、
よろしいですか」
「かまわないさ、そう心に決めたから」
そう言って、オレは車掌に切符を渡した


去ってゆく電車を見送ると
また静寂が戻ってきた
あとにはだれもいない…

いや、正確には売店のおばちゃんがいるんだが
相変わらず無言のままだ
踏み切りを渡り
無人の改札を抜けて外に出る

吹き抜ける風が心地よい
「したまちのえき」…か
昔、同じ名前の駅から、電車に乗ったっけ


あれは何年前だったか、もう思い出せないぜ

いや、そんな事はもうどうでもいいのさ
オレは自分の足でプラレールを探すんだ

振り返らずに駅を後にする
したまちのえきが遠ざかる

この街では
どんなプラレールとの出会いが
オレを待っているだろうか




プラレール博物館に、再び奇跡が起こった


今までカタログ写真しか確認されておらず、その存在すら疑問とされていた「関西色」
それがついに発見されたんだぜ!

どうやって入手したかは、また内緒だぜ(知っている人は知っていると思うがな…)



…「プラレールのすべて3」にも
”セット名称不明:カタログ写真でしか確認されていない”というわずか1行のみの記述しかなく
いままでその存在すら確認されなかったその車両が、今!目の前にある!


残念ながら、箱は見つからなかったが、同時に発見されたもう一つの「ふみきりえき」
その組み合わせからオレは、一つの大胆な仮説を立てた!

…それは「近郊型でんしゃふみきりえきセット」は関東圏と関西圏に向け、
ほぼ同時に2つのバージョンが作られた!というものだ

前回紹介した「横須賀色」が関東向け…そして今回発見された「関西色」が関西向けというわけさ!

それに合わせて、ふみきりえきも色違いのものが生産されたというわけだ



その仮設に合わせて、オレは大胆にも箱の想像写真を作成してみた

それがこいつだ!

(注:この写真は、前回紹介した「ふみきりえきセット」の箱に、今回の「関西色」と「ふみきりえき」の画像を合成したものだ)


箱の写真は、合成したものだ

中身の写真は、車両とふみきりえきを入れ替えて撮影したものだが、なかなか感じが出てるだろ!


オレの想像では、その箱には、東海型急行を新快速色にした「近郊型でんしゃ」が2両と
緑色に成形された「ふみきりえき」、それから「てっきょう」などが入っている

セット内容:近郊型電車、ふみきりえき、鉄橋、橋桁(緑)、立木、信号、架線(一部想像)



そしてこれが…
2両揃った写真は、おそらく日本初公開と思われる「関西色」だっ!


東海型急行の成形色を白色に、そして窓下にオレンジ色の帯を配した超力作だぜ

しかもうれしいことに、側面の金型改修前のあの美しい姿で…うおぉぉぉぉー!おれはまたまた涙が止まらないぜ

じっくりと見てくれよな!

方向幕シールもちゃんと「普通」に変更されているぜ
側面も金型変更前のあの美しい姿のままだ
屋根
足回り


日本初!「横須賀色」と「関西色」の揃い踏み!
こんな事が出来るのは「プラレール博物館」だけだぞっ!(ちょっと自慢)




そして、前回初めてその姿が明らかになった「ふみきりえき」
今回は何とその色違いを紹介しよう


下の写真の右側、オレンジ色ベースのものが前回紹介したふみきりえき
そして左側、緑色ベースのものが今回発見されたものだ!


全体的な造りは同じだが、レール部分のストッパー復帰ボタンの位置が微妙に変化しており
一番下の写真のように裏板もギア部分にカバーが付くなど、細かい変更が加わっている

この緑ベースのものに、後年人形の動くギミックを追加したものが「まちのえき」というわけだ

注目すべきは、ホーム上屋で、今回の物はシールが貼られてハイグレードな仕上がりになっているぞ
この屋根のシールは後年の「まちのえき」では省略されてしまったので、このモデルのみの特徴となっているんだ

ふみきりえき(緑) ふみきりえき(オレンジ)
ホーム上屋のシールに注目!
上面写真:右側の青いレールのストッパーの復帰ボタンの位置が変更されているのに注目
底板のモールドも微妙に変更されている
駅名板は全く同じ


プラレールには幾多の謎がある
今回入手することができたこの「関西色」もその謎の一つと言われていたものだ
オレも正直、こいつはカタログモデルだけで実在はしないのではないかと思っていた
だが、今まさにそれがオレの目の前にある!

そう…
競ってこそ華、負けて堕ちれば泥

そしてよかったらこれからも、プラレール博物館を応援して欲しい

たのむぜぃ!

(2003年6月4日ページ作成)