番長想い出の店(第8章):はっぴーとーく(神奈川県茅ヶ崎市)


2006年も明けたある日、おれは放浪の旅から久々にプラレール博物館に帰ってきた
旅先で、館長の連れ合いが死んだ事、そして最近再婚した事は風の便りに聞いていたが…

「おい、館長!久々に帰ってみたら、プラレール博物館全然更新してねえじゃねえか」
「ごめんごめん、やっぱいろいろあってさー、しばらく休止扱いにしてたんだよ
でも最近再開して、キミの作っていった「俺の好きなプラレール:D51きしゃセット」をアップしたからさ」

「そんな、休止中なんてドリームモノレールみてえなことを言ってんじゃないよ」

「とりあえずさ、あけだのHPの管理人もやることになったから、そっちがちょっと忙しくて」
確かに「それはステキなコレクション」を見たら5ページ以上も更新してやがる

「わかった、とりあえず俺が1ページ作ってやるから、すぐにアップしろよ!」
と、いうわけで、久々に番長想い出の店の更新だっ



神奈川県は茅ヶ崎市、そこにイトーヨーカ堂がある
でもこのヨーカ堂には、普通あるはずのおもちゃ売り場がない

…いや正確には以前はあった
それも、そんじょそこらの店には引けを取らない「はっぴーとーく」という店がな
ヨーカ堂の4階の1/4位を堂々と占めていたその店は20年以上前のヨーカ堂の開店当時からあった

目をつむれば、店の情景が今でも浮かんでくる

一番手前は戦隊物やウルトラマンなどのキャクターもの
そして中央は広いプラレール売り場
アクリル製の歩いて越えられるケースがあり、その中にプラレールのでっかいレイアウトが常設してあった
一番奥は、人形売り場、リカやジェニーがたくさん並べてあった

上を見れば、天井から吊るされたレールに汽車が走り、それはそれは夢の国だったさ

開店当時から一流の店だったから、今復刻が話題のちび猫ビスクも当時ちゃんと飾ってあった
マクロスのエリントシーカー、スーパーオストリッチなんかがショウケースにおいてあったのも覚えてる

プラレールを集め始めた頃、既に絶版になって久しい「パノラマカー」「スカイライナー」「電車青」が平然と並べてあった
こいつらだ

もちろん、俺は狂喜して買い込んだ
だが少したっていくと、また補充されている
きっとどこかに秘密の仕入れルートを持っていたのだろう
パノラマカーやスカイライナーはいくつも買って、プラレール仲間に回してやったさ


さすがに半年ほどして、それらの在庫は無くなっていったが
はっぴーとーくはまだまだ輝いていた

その輝きに陰りが見え始めたのは
隣の平塚市、オリンピックシティにトイザらスが開店してからだ
ちょうど戦隊物の「ギンガマン」をやっていた頃だから1998年だったと思う

店に段々と活気が無くなって行き、売り場も徐々に縮小され始めた
縮小された部分は、じわじわと100円ショップに侵蝕されていった

そして翌年、戦隊物のゴーゴーVの放映半ばで、はっぴーとーくは閉店した

時に1999年

なじみの店員は、別のテナントに移されたと聞いた

今、はっぴーとーくの跡地は全部100円ショップになっている
そこに立ち、目を閉じれば、あの華やかだった頃の店の賑わいが浮かんでくる

はっぴーとーくに限らず、今日本ではがんばっているおもちゃ屋もどんどん無くなっていく
残るのはトイザらスとジャスコやサティなどのおもちゃ売り場ばかり

近い将来、個人経営のおもちゃ屋はほとんど日本から無くなってしまうだろう
そして増えるのは「想い出の店」ばかり
ふ、寂しいぜ、なあ、あんたらもそう思うだろ

でもこれが、だれも逆らえない時代の流れなんだろうか

(2006年2月11日ページアップ)