事務所の ママの 椅子の 後ろに 白いカベが あります 横に 物入れの入口があるので 高さは 天井まで 巾は ２メートルぐらいです ここは 事務所に お客さまが いらっしゃった時に 一番に 目につく カベです だから 僕は ここに 僕印を つけることを 日課に しています ママも 楽しんでいるらしく まだ 消されていないので どんどん 大きくなって 来ました みんなに 見せたいなぁ （ここを 通るたびに 往復 口をこすりつけながら 歩くんです 壁紙が ゾーキンがけ用ではないので どうしよう と 思っているうちに 見な れて しまいました トホホ） このカベに いつもは オバアが作った パッチワークのタペストリーが とっ替え ひっ替え かけてあるんですが 端午の節句だから といって 今年 初めて 僕達の こいのぼりセットを 飾ってもらいました こいのぼりの背中には 僕達 それぞれの絵が （なんせ 予算の関係で ママの手書きなので 似てないことと言ったら ヒドイ） 由帆兄ちゃんの旗には 武者の絵 僕の旗には 竜門を登る鯉の絵 そして 家紋の下には りりしい 僕達の名前入りの 一人三点セットに なっています いつもは パパッと広げて その前で ちまきや ガメノハ餅なんかと 一緒に 写真を撮るくらいなので 今年は なんか とっても うれしいです いつまで 飾ってくれるの？って聞いたら 連休が 終わるまで だって 連休って いつのこと なんだろ よく 分んなかったんだけど まぁ いいやっ この前 事務所の支払いの日が ありました ママは 月に一度の この日は とっても 忙しいです 僕も 足元を チョロチョロするスピードを 半分にして とっても 気を 使います ママが 計算間違いを また しないように・・・ 時々 お客さまが カベを 指さして コレ ワンコの？？ 聞いてます 聞かなくても 僕達の絵が 書いてあるんだから 見りゃ 分りそうなもんなのにね やっぱ 他のワンコは こんなの 持ってないのかなぁ でも りんご姉さんも おひなまつりのタペストリー 飾ってもらってたし （そうそう 玄関に 鎧兜を付けた男の子と 弓の絵の付いた タペストリーも 飾ってあるんだよ） 僕んちでは ヘンでも 珍しくも ないんだけど りゅうまろ君は 何年生に なりましたか 大きく なったんでしょうねぇ って 知らない おばちゃんの声が しました りゅうまろって だぁれ だ？？！！ ママは 笑いこけながら 僕を 抱き上げ タツマロって 読むんですよ って 言いました でも その おばちゃんは まだ 気が つきません 僕は 一生懸命 シッポを 振りました でも その おばちゃんは まだ キョトンとした 顔を しています ・・・なんでやねん 早う 気付いてんか このボケ なんて ことは 思っていても ママは 決して 口には 出さず タツマロは この 狆の名前 なんですけど と 言ったら その おばちゃん 大 笑いで あんなに 笑ったら 入れ歯 飛んでいかないのかなって 僕が 心配するくらい 笑って 笑って 笑って （でも 考えたら まったく 失礼だよね ） さんざん 笑ったあげく 間違えてゴメン とも 言わずに 帰っていきました 小学生かぁ 僕は 考えたことも無かったけど （当たり前ですっっ ！！） しつけの学校に行ってる ワンコも いるわけだし 夢じゃ ないのかもーー でも 僕 何年生に なれるかな やっぱり 一年生から かなぁ 一年生になったぁらぁ って 部屋の中を 走り回っていたら パパが 僕に 聞きました ひとりで 朝 起きて （無理だ いつも ママに 起こして もらってるもん） こぼさずに お箸で ごはんを 食べて （お箸の 使い方 むずかしいんだよね 口と手でが 早いよ） ランドセルしょって （僕用のサイズにしてよね じゃないと つぶれるー） ひとりで 歩いて 学校に 行けるか （エェーン 恐くて 道路は 歩けないよーー） 学校は 勉強するところ なんだぞ （お座り お手 おあずけ は 出来るけど 待てが 出来ないんだよね 僕） やっぱり 一年生は 無理かなぁ でも 給食 食べるんでしょ 運動場 いっぱい 走るんでしょ 先生に スキスキ するんでしょ ここんとこでは 自信が あるんだけど・・・あこがれちゃうなぁ 一年生って でも やっぱり 僕は 狆です 自覚して （ホントかぁ） 無理な背伸びは つつしむ ことに します だって 一年生は 靴はかなくちゃ いけないって・・・ 四つも はいてたら 朝 絶対に 間に合わないもんね みんなを 見習って ニコニコ笑う 狆になりたい です おかえりなさいって おいでおいでをする 狆になりたいです なれるかなぁ 僕ぅ ・・・ 龍麿呂 |