工場研究室
とりあえず魚のパックづめ、正確には寄せ鍋などの材料を詰め込むバイトをやっています。
やはり人生の教訓はベルトコンベアにのって流れてきます。
それをつかめるかどうかは自分次第ですが。
隣人は常に自分以外の失敗を望んでいる
つまりどこかが失敗して商品が流れてこないと休むことができるのである。
しかし…

休んだ後はラッシュが来る
商品が流れてこないということは、必ずどこかに溜まっているのである。
したがってラッシュに対する備えをしなければならないのである。

ノーミスでクリアしてもボーナスはもらえない
機械にラップをかけさせる作業というのは失敗しやすい。
自分では手出しが出来ないのだ。
所定の場所に商品をおいてだだ祈るのみ。
ノーミスで終わるのは奇跡である。

追うものと追われるもの
流れ作業において自分の前に商品が溜まる状態、
これを追われていると言う。
追いこまれる状況はコンピューターがつくりだすのではない。
どこかに容赦なく商品を送りこむ人間がいるからである。

商品を積み上げるのは楽しいが、
それを処理する立場にはたまったもんじゃない

アルミのなべを積み上げて3段くらい重ねると壮観であるが、
それを処理する方にとっては嫌がらせにしか思えない。
ちなみに3段重ねると30個以上は溜まっている計算になる。

工程の最後の段階ほど立体障害の制約が多くなる
なべの材料の置く方向と場所は決まっている。
白菜はほとんど無定形固体であるが、
海老は並べる数と置き場所、尻尾はなるべく隠して、ついでにカニの爪を覆うように置かねばならない。

ベルトコンベアの逆回転
連続したベルトコンベアにおいて、ひとつだけ逆回転しているとする。
これは逆回転させてあるわけではなく、電源もOFFになっている。
なぜ回転しているかというと、これは3つのかみ合ったギアになってしまっているからである。
両端のベルトコンベアがが同方向に回転していて、真ん中のベルトコンベアと接していると、
真ん中のベルトコンベアは両端のコンベアに回されて逆方向に回転する。
そんなわけでベルトコンベア同士が接してはいけない。ちょっと離す必要がある。

数が合わない。犯人は誰だ?
商品を受け取ってケースに何個ずつか入れる場合、
時として数と合わない事がある。
数が足りないときはたいてい商品の送る側のミスである。
数が多すぎるときはたいてい商品を受け取る側のミスである。
商品を受け取ってケースに入れる作業におけるミスは、
ケースに所定の数を詰め忘れることであり、ケースに詰め込みすぎることは物理的に不可能である。
だから数が多すぎるのはどこかのケースに空きがあるからなのである。

シールで脱毛していることなど誰にも言えない
パックにシールを貼る作業において、
1枚ずつ台紙から取って張りつけるよりは、
5枚くらい一気にはがして商品に張りつけていく方が効率的である。
しかし5枚はがしてそれをどこに張っておくのか?
もちろん自分の手に貯めておくのである。
それゆえ手の毛がシールとともに抜けていくのである。

外見で人はまったく理解できない
食品製造関係の労働者は白衣を着て、帽子、マスクをしているので素顔がわからない。
確認するには会社に来るときと帰るときしかない。
ひょろ長い兄ちゃんだと思ったら皮ジャンをきてバイクに乗っていたり、
ぱっとしない奴だと思ったら金髪だったり、
普通のねーちゃんだと思ったら、ものすごいファッションをしているし、
さえないオヤジだと思ったら、髭をはやしたワイルドな叔父様だったり、
ともかくギャップが恐ろしい。
どうやら僕も意外な素顔らしい(髭がのびてて髪がボサボサ)。

豆腐を甘く見てはいけない
なべの材料で一番重いケースは何か?
それはおそらく豆腐である。
ひとつひとつが重い(密度が高い)うえにケースの充填率も高い。
食べるより持ち上げた方が筋肉がつくだろう。

機械というのは向上心がないうえ、気分屋である
ほぼ同時刻の同じインプットに対して同じアウトプットをする。
つまりラップで包むのに失敗する商品は何回繰り返しても失敗する。
しかし時間をおいて、その商品にラップをかけると成功する。
なにごとも気分次第なのだ。

隣人はマスクの下で笑う
実は隣の人間が思い出し笑いをしながら仕事をやっているとは思うまい。

隣人はマスクの下で怒る
同様に実は隣の人が「貴様ら、血も涙もねーよ」と毒づきながら仕事しているとは思うまい。

ベルトコンベアの半分はチームワークで出来ている
ひとりで突っ走っても商品は溜まるだけで流れない。
ベルトコンベアの速度は一定でも、人間の処理スピードは一定ではない。
まわりの様子を見ながら遅くも早くもできる。
チームワークがベルトコンベアをまわしている。

姐さんの爪カッター
ガムテープで蓋をしたダンボールを空けるとき、
道具をつかって空けるのは軟弱者であるが、
姐さんは爪でガムテープを切ることができる。

落ちたものも洗浄できるエタノールは偉大だ
地面に落ちようが、汚い手で触ろうが、
エタノールはすべてを殺菌できる。
と信じられている。

心の殺菌
地面に落ちたものをエタノールでどろどろにして商品とすることは、
かなり心が痛む。
しかしそこは心の殺菌で心機一転である
気にしない気にしない。
こうして少年は大人になっていく。

隣人はあなたにシールを貼りたがっている
基本的に作業中は作業用の白衣と帽子をかぶらねばならない。
帽子にシールを貼られると、 その日1日、「キムチ鍋」とか呼べばれることになる。

食品工場の怪談
「寄せ鍋が一個消えた!?」
「一体どこにいったんだ?」
「あっ、ラップをかける機械の中に落ちてる!」
「なんだ、よかったじゃないか」
「でも中身しか落ちてません。アルミの容器はどこへ行ったんでしょう?」

軟弱マンと呼ばれても弱いわけではない
軟弱な容器(アルミなど)にラップをかける機械、略して「軟弱」である。
この機械の担当をまかされて「軟弱マン」と呼ばれるはめになってしまった。
「アルミ鍋を思うその愛の力により軟弱マンは変身を遂げるのだ!」
しかしその実態は常に追われる者である。(やっぱり弱い)

人間を増やしても仕事が楽になるとは限らない
鍋に材料を入れる作業に人を増やすと作業が早くかつ楽になるが、
「軟弱」でラップをかける仕事は所詮1人でしかできない。
というわけでラップをかける作業は人数に反比例して忙しくなる。
戦え、僕らの軟弱マン!

食品工場殺人事件
「警部、胴体しか見当たりません!」
「ここに手足があるから適当に組み合わせてくれ」
こうしてバラバラに死体からカニが再生される。

調子が悪けりゃ電源を切れ
機械が動かない場合、ともかく電源を切る。
もう一回電源を入れるとなぜかうまく動く。
このほうが根本的な原因を叩くよりずっと早い。

論理とはときに冗長である
「機械のこの部分がなにかにひっかかって動かないんですよ」
「どれどれ、誤作動で隙間を通らなくなったんだな」
「たぶんこの2箇所を六角レンチではずして、中で少し回転させれば論理的には通るはず…」
ガキン!
「これで通ったから」

隣人はLOVEマシーンで悶えている
職場ではたまに有線がかかっている。
隣人がLOVEマシーンのラストを聞くため機械を動かす手を止めているとは思うまい。
「Loveマシーン」うわっ

秤なんかで世界の大きさを感じてはいけない
化学を学ぶ学生として信じられないことは、
工場の秤の最小目盛りが2gであることである。
学校では小数3桁まで出る秤を使っているのに…

スケールアップの問題
疑問なのは鍋に入れる水の量である。
シールの横に書いてある説明によれば、
小さい鍋も1.5倍くらい大きい鍋(当社比)も、入れる水の量は200mlである。
具の量をふやせば、つゆの量は同じで良いということらしい。
なかなか意味深である。

スケールアップの逆襲
というわけでいったん納得したものの、
よくよく見ると小さい鍋はつゆの素が1袋、大きい鍋は2袋だ。
つまりある程度濃くすれば、多少濃くても人間の味覚にはあまり影響がないのだろう。
ポカリスエットが濃すぎても飲めるのと同じ原理である。

おばさんの過去
おばさん「ねえ、ベルトコンベアの早さってこれくらいでいいかな?」
一同「・・・」(まあいいんじゃない)
おばさん「早いかって聞いてんだろ!」
一同「・・・」(昔はレディース?)

ファントムコンベア
ある一定の速度で商品が連続して流れていると、
時として「すりぬけ」現象が起こる事がある。
どうしても無意識的に材料を入れ忘れてしまうのである。
このことの人間工学的な証明は困難だが防ぐ方法はある。
意図的に商品の流れにむらをつくって、ただ単調に商品が流れるのを防げばいいのだ。
要は意識的に商品を入れさせれば良いのである。

アビリティの習得
ダンボールパンチ(ガムテープは叩き破る)
爪カッター(ガムテープを引き裂く)
神の計量(100gと指定されたら一発で計りとる)
流れシール(ベルトコンベア上で流れる商品にシールを正確に貼る)
一瞬の違和感(その刹那!違和感、電撃走る!鍋に鱈が入っていない!など)

すべての問題はUp Side Downで解決できる
シールが貼りにくかったり、うまくラップがかからないと思ったら、
やりやすいように商品の左右や上下をひっくり返せばいい。
なにかと思考を反転させることは大切である。

サービス
「あの〜、ラップに穴があいてるんですけど」
「サービス!」

職場にはキャラクターは多彩である
流通のママ(たしかにスゴイ迫力だ)
パパ(ホームドラマの典型)
まぐろ仙人(風貌はまさに仙人)
鍋隊長(目が合うと必ずどつかれる)
実はベンツを買った男(たぶん嘘だとは思うが…)

失敗には必ず原因がある
失敗した人を馬鹿にする暇があったらその原因を探るべきだ。
問題の多くは必ずリンクしている。
前の段階で適当にやった仕事が後ろの段階のしわよせになる。
仕事全体の過程が見えないといい仕事はできない。

究極の一言
「別に自分が食べるわけじゃないし」

究極の一言その2
「どうせ煮るんだし」