八千代市立高津西保育園の民間移管を

より良く行なうための陳情書

平成19226

八千代市議会

議長 横山 博美 様

陳情者    

八千代市立高津西保育園父母会会長

陳情主旨

 「子どもの元気が見えるまち」をスローガンに、日頃より子ども行政にご尽力いただき感謝しております。

 昨年6月市議会において「公立保育園三園廃園条例」が可決されて以降、粛々と高津西保育園の民営化が進められています。10月には(仮)四恩福祉会が受諾法人として決定されましたが、その時に決まっていたのは園長予定者だけです。その後すべての職員がそろった時点でも経験年数の内訳は明らかにされず、1226日の三者懇談会で紹介された職員と、19日に配布された名簿とは合致していません。3歳児クラスの担任となるはずの男性保育士は、合同保育開始前に辞めていたのに、その事実は226日現在まで、保護者に知らされていません。今年19日からは、引継ぎのスケジュールの詳細も示されないまま、合同保育が開始されましたが、4月から0歳児を担当する保育士2人は、「引き継ぐ子どもがいない」「保育に入るクラスがない」という理由で1度も来ていません。毎日保育にあたっている法人職員は、自分が担任になるであろう子どものいるクラスには毎日には毎日入っていますが、それ以外の年齢のクラスには1〜2度しか入らず、子どもの様子や保育の流れなど十分把握できるのか疑問です。

 子どもの個人の情報や保育内容を詳しく申し送りしたからといって、「保育」を引き継いだことにはなりません。市は1月以降は保護者への対応は個人面談で行なうとしていますが、実際に個人面談を終えた父母の中からは「短い時間の面談では、新しい先生との関係づくりにまでは至っていない。法人の姿勢や園全体の保育についてはよく分からないので不安」との声があがっています。1226日の三者懇談の席で新園長と会ったのは30名弱。これまでに直接対話をした保護者はほとんどいません。2月末までに来園したのは4回、3月も週に1度程度の予定と聞いています。配布物だけでは、4月からの園の様子を想像することもできません。

 父母会としては、保護者の不安が少しでも解消できるようにという思いで、116日から再三、法人に二者もしくは三者懇談を文書で要求しましたが、1カ月以上回答がなく、偶然、保育室で会い呼びとめられて副園長から聞かされたのは「今は保育をすることで精一杯、何も出来ない。要望は市に」との答えでした。民営化を成功させた他自治体の例では、合同保育開始までに3050回の協議をしています。裁判を起こしたとしても、法人からの申し出で二者協議を行い、保護者との信頼関係づくりを第一に考え対話を重ねています。法人の回答を受けて、提出した市長宛ての要望書の回答では「引継ぎ保育に専念しているため」年度内の懇談はしない、とのことでした。つまり保育の引継ぎに保護者との関係づくりは含まれていないのでしょうか?

 また、4月から法人職員として採用された公立職員(時間外パート、調理員も含む)と法人が新規に採用した職員は、雇用条件や勤務体制の詳細も提示されないまま、仮契約を結んでいます。2月下旬になって職員側からの質問で明らかになったことは、園長を含めすべての職員は1年契約(昇給、年休、産休、忌引き、病欠などは不明)、土曜日出勤の振り替えはなし。超過勤務手当てはなし。経験年数・職種を問わず一律の月給。それ以外の雇用条件はいまだに示されていないため、職員も大きな不安を抱えたままです。

 保育はチームワークです。職員と運営者(法人)と親と子、それぞれが日々の対話を重ねながら時間をかけて少しずつ信頼関係を築いていくことで、真の「子どもを真ん中にした保育集団」が作られていくのではないでしょうか。昨年の1010日の説明会でも、担当課長は「スムーズに民営化するには、法人と市と保護者の間の信頼関係が大切だ」と言っています。大阪・大東市の高裁の判決では、「少なくとも1年の引継ぎ期間」や「民営化後の保育士派遣」を司法が例示しました。法人も感じているように、「今は子どもや保育内容の引継ぎで精一杯」ならば、4月に法人が主体となって親子をまるごと抱えて園を運営していくためには、時間が足りないのではないでしょうか?

 職員の不安も解消できず、保護者との対話も拒否している現状では、4月に公立職員が引き上げることは、無謀です。22日から23日に全保護者を対象に実施したアンケートでは、「1月からケガが増えた」「子どもが園に行きたがらない」「4月を迎えるのが不安」との声が少なくありません。昨年内には、横浜地裁の判決を受けて、県は各自治体に「民営化は慎重に行なうように」と指導をしていたそうです。それを受けて多くの自治体が民営化を凍結したり、市民を交えて計画を見直しています。近隣の市川市は、「保護者の理解を得られないため民営化は見送る・・・」方針を出しました。

毎日仕事と子育てで忙しい父母が提訴にまで踏み切った心情を少しでも汲み取っていただかなければ、次に移管予定の大和田西、村上南保育園でも同じ混乱が繰り返されてしまいます。「高津西での失敗は手直しする」と大和田西の説明会で担当部長は言いましたが、今のままでは高津西のやり方が基準となり、八千代市以外の地域でもこのやり方が「民営化の見本」とされ、どれだけの親子、保育士が苦しい思いをするか、広い視野で考えてみてください。

 八千代市が説明責任を果たし、「拙速ではない、良い民営化」をするのであれば、当事者一人一人の声を聞き取り、より丁寧な引継ぎとなるように時間と努力を惜しまないで下さい。説明会では、4月以降6月頃までは臨機応変に引き継ぎ職員を配置すると約束して下さいましたが、それ以降も各年齢に担任であった公立正規職員を一人以上、毎日、通常保育中に保育にあたれるよう配置して下さい。民間移管という特殊な状況の中で新年度を迎えることになります。通常でも混乱が予想される時期です。すべての親、子、職員が安定した毎日を過ごせるように、最大限の工夫と配慮をして下さることを強く望みます。

陳情項目

4月以降、安定した保育ができると判断できるまで、少なくとも1年は臨機応変に引き継ぎ職員を全クラスに配置して下さい。

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