提言書 八千代市の公立保育園を民営化するにあたって

八千代市長豊田俊郎様

応募法人様    

                         2006.9.15

八千代市保育園父母会連絡会会長 

保育園に子どもを預ける保護者にとって、保育園は、子どもたちのもう一つの家庭であり、保護者自身を支えてくれるもう一つの我が家です。子どもたちは、保育園の先生を、もう一人の親として愛し、中には、将来のあこがれの職業と、保育園で生活する中で、働くことと子育てを両立させることに、不安を持つことなく、社会全体で助け合って生きていくことを、学んでいます。

また、保護者は、保育園を通して、地域の他の保護者との出会い、自分の子どもの成長だけではなく、他の子どもたちの成長、発達を喜び、励まし合いながら、子どもたちが育ち合うことを、親としても学んでいます。

今、民営化されようとしている保育園は、その地に30年以上存在することによって、一つのコミュニティを築き、すでに、3世代にわたって、保育園を通して子育て、子育ちが行われており、地域の財産となっています。この関係性を尊重し、当該園の保護者、そして、子どもたちの育ちの場を新たに作ることを丁寧に行い、納得がいく移管を、市は全力を尽くして行ってください。

これから起こる、移管に際する困難に、無理が生じた場合は、そこで、立ち止まり、計画を見直す判断も、保護者と一緒に行ってください。

一、八千代市の公立保育園を利用してきた保護者が、民営化に際して混乱や不安を抱えないように十分な説明を受け、公立保育園で受けてきた保育の質が下がることのないよう丁寧に民営化を行ってください。

一、また、順次民営化を行うとされている保育園については、来年度の入園申請時期に間に合うよう、平成18年度中に同様の説明会を実施し十分な準備期間を経て選考、引継ぎ、移管を行ってください。

一、民営化ガイドライン及び当該園(19年度移管予定園・高津西保育園父母会)の提言書を遵守し、その内容に不十分な点があった場合は、保護者と協議の上進めてください。

1.保護者への説明

市は、民間移管を行う理由を、公立園に在籍している保護者、移管後の園を利用する親に対し説明会を開き、説明を行ってください。

民営化に関する情報を全保護者に知らせるために、丁寧に、文書または説明会を行ってください。

(1)民間移管を行う理由
(2)その方法と選定基準
(3)
スケジュール(選定方法、選考委員会の時期、保護者への説明の時期、選考過程への参画)
(4)
受託法人の決定の期日と引き継ぎ方
(5)転園希望者への対応策を説明会で具体的に示す。

2.説明会後の保護者との協議と計画について

 説明会後、保護者の要望を反映させるための協議の場と、意見を取り入れた計画作りを行うこと。

3.選考方法とその基準

(1)基準について

  ○運営主体は、(保育園運営を行ったことのある)社会福祉法人とすること。
  ○障害児保育の実績があること。
  ○地域子育て支援の実績があること。
 ○受諾法人の選考にあたっては、保育園民営化ガイドラインの基準に適合した法人を選考すること。基準に満たない場合は、選考を取りやめること。保育園民営化ガイドラインの水準を満たす法人が見つからない場合は、条例で定めた期日の民間移管は行わないこと。

 ○受託法人決定後すみやかに、移管法人の新園体制を検討するチームを新園職員予定者7名(園長予定者含む)を作り、保護者と対話する機会を設ける。
 ○11月以降、定期的に新園体制チームと保護者が運営に関して、対話、協議できる場を計画すること。
 ○移管期間は、移管後年度末までとし、期間内において、園長予定者及びクラス担任が3名以上入れ替わることのないように、職員の定着における努力を市及び法人は行うこと。
  ○前年度の退職者とその理由、保育に関すること(指導計画、保育マニュアルなど)を応募にあたって、提出書類とすること。
  ○以下の書類を選考時の提出書類とすること。
  ・既存園の全職員の職種、氏名(個人が特定できる表現)、年齢、常勤(有期雇用、無期雇用の区別)、非常勤、勤続年数(現施設、他施設別立てで)、兼務している場合の職種、本年と昨年度の本俸支給状況、等級と号数、給与総支給額(期末勤勉手当含む)、諸手当を表で提出。平均年齢を記述。
  
・異動計画と採用計画の名簿一覧
    年齢別、常勤、非常勤、経験年数、性別、採用時期、新規採用、現施設からの異動
  
・全職員のローテーション計画

(2)選考方法における保護者参画について

 ○事業者選考の際の点検・評価項目、また採点方式を明確にし、保護者に示すこと。
  ○選考過程における保護者の参画計画を立て、参加する機会を保障して欲しい。
 ○応募法人の園長予定者が、保護者と対話する機会を持つために、選考委員が視察を行うときに保護者が同行する。
  ○保護者会の選考委員会への傍聴を認めること。
 ○法人の応募状況について、保護者側に提供すること。例えば、随時又は定期的に(公募開始から12週間単位)報告する。
 ○既存保育園を視察する機会を保障すること。
 ○選考した受諾法人については、選考理由を説明する。応募資格要件及び選考基準と照合した資料を提供すること。
 ○市が「ヒヤリング項目」と考える全項目については、提言書とは別に、市または選考委員会が「点検・評価項目」として明記し、保育園父母会連絡会もしくは高津西保育園父母会に示す。

4.引継ぎについて

移管期間は原則移管後の年度末までとし、受諾法人側の職員が全員そろった状態で、公立保育園の職員と合同保育の形を最低3ヶ月確保し、引き継ぎを行ってください。

 ○特に、新卒者や法人が新規採用する経験者、看護師、栄養士を含め、全職員が合同保育に参加する期間を最低1ヶ月は確保してください。
 ○引き継ぎ保育は、新園の全職員名簿を提出した翌月から行い、2月末までに提出できない場合は、4月の移管を取りやめること。
 ○合同保育開始前と終了後も含めて移管期間完了までの十分な引き継ぎ計画を立てること。
 ○移管における協議体の中で、引継ぎ期間完了までの一年間の十分な引継ぎ計画を立てること。
 ○公立保育園の職員は、段階的に引き上げること。同じ時期に全職員の引き上げのないようにすること。
 ○協議体の中で引き継ぎの際、受諾法人が看護師、栄養士を正規職員で配置出来なかった場合、公立保育園の看護師、栄養士が引き継ぎを行うこと。看護師は正規職員で配置し、中核職員として最低3ヶ月の合同保育に参加する。
 ○対象園の保育士は、子どもの負担を軽減するために、近隣の公立保育園に異動させること。
 ○法人の質の維持向上のために、補助金、研修、人材育成の面で市が積極的に支援を行うこと。

5.転園について

  ○民営化を理由に、転園を希望するものについては、転園を保障してください。
  ○転園については、来年度の申請に間に合うように説明会を行い、申請締め切り後の転園希望も受け付けてください。
  ○移管期間が完了するまでの間の転園希望を保障してください。

6.受諾法人に望むこと

 ○保育園の運営については、保護者会と協力し、保護者の参画や参加を位置づけて、共に、子どもたちの成長・発達、働く親の子育てを支援するためによりよい保育園作りを行うこと。
 ○園を介して、保護者同士や地域とつながることを、子育て支援として位置づけること。
  ○職員の定着率を高める努力を行ってください。(育児休暇・介護休暇などの諸休暇制度を含めた福利厚生制度を充実させること)
 ○市が定める保育料以外の費用(制服、教材費、延長保育料など)は徴収しないでください。
 ○引き継ぎの際、受諾法人は、看護師、栄養士を正職員で配置してください。

7.その他

 ○市は、保育園が、地域子育て支援の重要性を認識し、保護者同士や地域住民と連携しながら、支援を行える環境(専用室・担当者)を整えてください。
 ○保育ガイドライン作成に保護者も参画させてください。
  ○保育ガイドラインの中に、保護者の参画も位置づけてください。

以下 付録:同日提出の「連絡会要望書」

高津西保育園の19年度民間移管に関する選考時における要望書
                         

2006.9.15
                         八千代市保育園父母会連絡会会長

 日頃より保育行政におきましては、深い理解をいただきありがとうございます。
 この度、保育園を19年度に民間移管する際、選考時に関することを緊急の要望としてあげ、回答を9月21日までにいただきたいと思います。
 よろしくお願い致します。
一、高津西保育園の民間移管に関して、受諾選考委員会におけるスケージュールに変更があった場合は、速やかに、連絡会及び当該園にその理由および説明を十分に行うこと。
一、選考時における当該園の保護者の参画の要望を聞き、十分その意見を反映させること。
一、選考にあたっては、事業者選考の際の点検・評価項目、また採点方式を明確に し、保護者に示すこと。以上。



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