「陳情の採決とこれからについて、メッセージ」連絡会2004年度3月度定例運営委員会に寄せて

  2005.3.27.(次世代育成支援行動計画策定委員会・連絡会代表委員)

@「市議会の経過報告について」

 みなさまお聞き及びの通り、「学童保育・保育園の合理化に反対し、子育て支援の拡充を求める」陳情がこの23日、市議会本会議で見事採択となりました。これに先立つ10日の民生常任委員会では否決されていただけに、議会史上でも珍しいできごとでした。たまたま両日とも一部を傍聴した身として、今回の議会に長年動かなかった地殻変動の兆しが見えたことを少し細かくお伝えしておきます。

 今回の当初予算案は、財政難を理由に、これまで聖域だった福祉や教育分野を大幅に見直し、9億円をこす事業廃止・凍結を提案していました。学童保育料値上げ、障害児保育の中止など子育て分野以外にも、学校開放図書館の廃止、福祉タクシー助成の廃止、長寿祝い金の廃止など市民の生活に直結するものが軒並みターゲットにされました。これに対し、最終日の23日、共産党と「市民のひろば」の2会派から5議員が連名で、予算組み替えを求める修正動議を提出しました。不要で不急な事業を削って、削られた32項目の復活を求める内容で、議会史上初のことだそうです。

 この日の本会議場傍聴席は、ほぼ満席。おそらく6年前の保育園民営化を巡る陳情が否決された時以来と思われました。その中で、共産の植田進議員、次に市民のひろばの秋葉就一議員が修正動議に賛成する討論をしました。松原信吉議員も修正動議自体には細かい点で反対しながらも、市の出した予算案に対しても「民生費にメスを入れるのは最終手段のはずだ」と反対していました。一方、賛成の立場では江野沢たかゆき議員が、「財政状況からすると、事業削減はやむをえない」という趣旨の意見を述べました。この中で、新規事業の例として「子ども行政のあり方検討委員会」に30万円、というのがあがりましたが、内容は後でご説明します。

 結局、修正案に賛成したのは共産の4人と屋敷時子議員、秋葉議員の6人でした。ところが、否決はされたものの、こんなにギャラリーがいて、前例踏襲とは違う議事進行の様子に議員もただならぬ気配を感じたのでしょうか。ここから先はまた聞きですが、父母会の出した陳情について、共産の小林えみこ議員が「子育て支援を充実したり、保育条件に重要な変更がある時に市民に情報公開することに反対する理由があるのか」と、賛成を訴えました。すると、その後採決の段になって、意外に賛成に起立する議員がいたために、与党会派議員たちも回りを見てあわてて立ったり、中腰で様子を見たり、珍しい光景が繰り広げられ、結果として賛成多数となったのだそうです。

 議員というのは、嗅覚が鋭い人たちなので、寝ているように見えて実は 場の空気を敏感によみとるのだなあ、と私も感じ入った次第です。つまり、それまで署名活動をし、市と交渉してきた市民の無言の影響力があったところへ、傍聴席が埋まり、修正動議も出て、彼らの本能的バランス感覚が動かされたのだと思います。それはやはり、6年前の連絡会再結成以来、事務局長をはじめ、歴代の父母のみなさんが、地道に父母会や連絡会活動を続けてきたからこそ、ではないでしょうか。

6年越しの初勝利に拍手!! そして、議会も市役所もまだまだ、変わる余地はある、ということをぜひ、心に留めておいてください。

A「保育園民営化、いよいよ本格議論」

 議会で明らかになった「子ども行政のあり方検討委員会」というのは、保育園の民営化と統廃合を主課題に中長期計画を決める会議です。98年に市が決定した行革方針は「平成22年度までに4〜5園程度を民営化する」という内容でした。この方針は生き続けている状態で、茶々の移管以来、しばらく凍結状態だったのが、今回の予算カットの流れの中で、実施せざるを得ない状況になってきた、ということです。

 議会でのやりとりや私が聞いている範囲では、この期間に八千代台地区は統廃合したうえで民営化、村上地区、大和田地区、緑が丘・高津地区でも公立園民営化の構想があがっています。これに緑が丘地区で新設が検討されている1件が含まれるかどうか、はまだ分かりません。

 検討委員会について現時点で分かっているのが、有識者4、5人が主要メンバーで、06年度予算にかかわってくるので、最終結論は年内には出すこと。学童の全体像(カ所数、運営主体など)も決めたいが、陳情で通った「市民と共にガイドラインを作る」という点はここでやるかどうか、未定だ、ということです。

 父母会連絡会としては、99年6月議会で民営化反対の請願を否決されて以来、「茶々」の移行については、できうる限り公立と同じ条件をつけてもらうよう要望し、今につながっています。が、4、5園を民営化、という行革方針に対して、賛成に転じた訳ではなかった、と私は理解しています。まずは、「民営化」に対し、連絡会として考え方を早急にとりまとめ、検討委員会に加わるかどうか、加わるのなら、どんな意見をもって臨むのか、を決めなければいけません。

 民営化は時代の要請、という声も中にはあるかもしれません。が、率直にいって、今の財政方針では「茶々」のような手厚い内容の民間移管が続けられるかどうか、も危うい状況です。また、公立園自体も、退職者不補充が続き、看護師・栄養士も全園配置でなくなれば、このままの状態では滅亡する運命でしょう。

 私としては、公立が今以上のベストの状態で継続すること、かつ民営化するなら茶々の時の受託法人選考方式が守られることを、条件で確認するまでは、「民営化反対」の主張はおろすべきではないと考えます。順番としては、公立園にしか背負えない責務はなんなのか、をもう一度言葉にする。そのうえで、そのための条件として、新人や男性の採用、看護師・栄養士も残す、障害児保育や地域開放も充実する、などの条件を考えて要求する。これと並行して、検討委へのかかわり方について父母会で議論することが必要だと思います。まず、市民を入れるかどうか、から問題にしないといけないようです。

 小難しい問題のようですが、まずは連絡会に来ている人同士、園や行政への評価や不満などを出し合ってみてはいかがでしょうか。何か方向が見えると思います。

今後ともよろしくお願いします。


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