SIN AND PUNISHMENT


僕は一人の弱い人間でしかない

今までいくつもの事に打ちのめされ、それでも今ここにいるけれど・・・

痛みを感じるたびに僕は逃げてきた

大切なものを捨ててまでも逃げてきた

だから・・・今の僕には足りないものばかり

それを強くなったというのなら、僕は弱くていいと思う

僕には強くなる事よりもなくしてしまってきた物の方が大切に思えるから・・・



でも、一度なくした物は二度と取り戻せない

だからこそ、何も知らず、笑っていられた頃を夢見るのかな・・・

そう・・・あの頃が一番幸せだった・・・

痛みを知る必要もなく、ただ・・・笑っていられたから

だけど・・・時は逆行しない

進むしかない僕には幸せな過去は哀しみしか感じさせない

助けて・・・その言葉に誰が気付くというの・・・

誰もが同じ言葉を繰り返して・・・

生き・・・そして死にゆくだけなの・・・

それは僕も同じで・・・同じ言葉を繰り返し、繰り返し・・・

いつか、言葉の意味さえなくしてゆく、そして、またこうして欠けていくんだ



ずきずきと痛みが走れば・・・止まらない・・・動けなくなるほどの激痛に僕が魅入られていたとしても

痛みは痛みとして僕には届かず、甘い、甘い罪の形だけ遺して終わらない贖罪の中へ・・・

何が足りない?何が要らない?何がほしい?何が・・・?

言葉にならない想いだけがいつまでも消えず・・・言葉にできない想いだけがこの心掻き乱して・・・

僕は狂ったように・・・ただ、狂ったようにしてここにいるだけ・・・

狂ったように・・・狂ったように、あの笑い声と聞きたくない言葉が脳裏から消えない



僕は、今もただ、終わらない痛みを抱いて・・・心にナイフを突き立てる

それは、甘い、甘い罪・・・だけどそれは・・・決して許される事のない終わらない罪

罪の意識に苛まれて、ありもしない妄想にからだを預けて虚構の中で悦びに溺れる

それは・・・ありもしない心の傷・・・消える事のない死の刻印



終わる事のない時があれば・・・そう思った日もあった・・・

今は終わらない時がある事が恐くて・・・繰り返す時間軸の中に囚われて疲れ果てて

それでも眠る事もできないの・・・心から願う・・・それは終わらない眠り・・・

全てを忘れて消えていたいの・・・それが叶うなら・・・

死にたい・・・殺して・・・死にたい・・・死にたいから・・・終わらない眠りになるように、この心までも殺して

何も心が見えなくて・・・僕自身の言葉さえ聞き取れないから・・・狂ったようにして・・・ただそうしていて



今日も・・・僕はここにいて・・・

ただ・・・生命を消費していくんだ・・・

それは、生きる事を忘れる日々、それは、僕の中に僕が・・・いない

からだに刻んだ十字架は救いの力は持たなくて・・・

心に刻み込んだ死の刻印は・・・僕を・・・終わらない眠りの中へ・・・

1999.8.27

Back