凪
上手く言葉が届かなくなって、澄んだ声が聴けなくなって
どれくらい過ぎたのだろう
歌えない鳥がその存在を示す術をなくすように
僕は僕である意味をなくしているのか
冷たい風が吹く季節になって、どこかに手を伸ばしたいのかもしれないけど
自分でも何処に行くのかわかってさえいない
唯・・・沈んで、霞んで、溶けて・・・
色も・・・容も・・・時もなくして
痛みから解き放たれゆく
静かに・・・穏やかに・・・すべてが消えてゆくのなら、滅んでゆくのなら・・・
きっとすべてを受け入れよう
生命の綻び・・・時は澱む事なく流れては、それを少しずつ白日のもとにし
すべては砂になり、土に還り・・・凪に埋もれる
まどろみに包まれるように少しずつ瞳を閉じて、その瞼に映るのは終わる世界か
すべてを忘れて・・・白く白く・・・消えてゆく中で星に還る
・・・僕が抱えていた世界は終わりの時に・・・滅びの時に
きっと初めて綺麗に輝き・・・唯一の意味を抱きしめて終わらない眠りへ・・・
愛しき生命の意味は、その眠りの先で抱きしめていて
--------------------------------------------------
懇意にしていただいている詩のサイト様にて即興で載せたもので
当時はタイトルすらないままだったのですが、気に入っていただいたようで
ページ内に載せていただきまして・・・
何年か前の作品ですがせっかくなのでUPいたします。
タイトルは悩んだ末につけてみましたがどうもはまってない感じ。
滅びとか、綻び・・・無気力に静かに崩れていくような感覚にしたかったのですが
まだ重い感じが残ってますね。もっと削ってもよかったかもしれません