ナイフ Y

この痛みはなんのため・・・?

何が僕を傷つけるの?

何が僕から奪ってゆくの?

何が僕を・・・殺すの・・・?

赤い手首・・・そこから流れ出す鮮明な液体は輝いて・・・

トク・・・トク・・・って鼓動とともに溢れてくる

その音とともに意識は消えてゆく

麻酔をかけられたように・・・僕は遠くなる・・・

そして・・・不意に突き刺さる痛みが僕を醒ます

滲み出す・・・赤く染まる・・・

左手に刻みつけた十字架・・・

祈りは届かず・・・痛みははしる

痛みは・・・僕を蝕んで・・・

体が痛い・・・傷つけた手首が痛い・・・

体が痛い・・・?傷つけた手首が痛い・・・?

違う・・・本当は・・・心が痛い

心に刻まれるナイフが痛い・・・

壊れてしまいそうなほど・・・

心が痛い・・・

だけど・・・その痛みは・・・心を壊さず・・・

ただ・・・痛みだけを僕に刻む・・・

狂えるのなら狂いたい・・・

壊れるのなら壊したい・・・

その願いも・・・届かない・・・

僕を失くしてしまいたい

ただ・・・永遠に眠りたいだけ・・・

無限に続く痛み・・・心を刻んで・・・

いったい何処へ向かうというの?

何処へ向かえるというの・・・?

終わりに向かう・・・終末の時

そこでは痛みは消えているの・・・?

僕は・・・僕は・・・僕は・・・?

終末の詩・・・詠うだけ・・・

そう・・・僕が消える・・・その瞬間に・・・

すべてが消える・・・終わりの時に・・・

2000.3.3

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