傷痕 T

 

そっと、傷口に口づけて・・・その痛みを確かめる

狂気の象徴となった左手に残るリストカットの痕

そこだけ血が濁るような、嫌な感覚

あの日、誇らしく傷つけた傷も、今は消えない痕が邪魔なだけ

少しずつ、狂っていくリズムに気づかずに

深く、深くなる傷痕・・・

その度に心は狂気に侵されてゆく

身体の内に違和感が残り、夜はふるえが止まらない

奏でる不協和音が何故か妙に心地よくて

哀しみさえ懐かしんで・・・堕ちてゆく、ノイズの中へ・・・

2000.1.28

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