遺書 U


この言葉を・・・想いを・・・

全て遺書にして、貴方に届けましょう



明日が来るのが怖いと思う日が良くあります

このまま、この夜が永遠ならと何度想ったでしょう・・・

もうこの先を歩きたくないと思う事はいつもの事です

ただ、そうするためには終わらせなければいけない・・・

それはきっと逃げる事なのでしょうが、逃げてはいけないのでしようか・・・?

逃げてしまえばいいと思ってしまう

誰かのために自分がいるのか、自分のために自分がいるのか・・・

僕が消えたら、誰か哀しんでくれるのでしょうか・・・?

でも、誰かを哀しませないために生きる?

なんて理由、少なくとも今の僕には生きる意味にはなり得ないのです

もし、誰かが僕に生きていてほしいと心から願ってくれるのなら

確かにそれは嬉しいとも想うのかもしれません

誰かに必要とされるのは悪い気はしません

けどね・・・それはあなたの我侭なんじゃない?



生まれたんだから生きなきゃと思う事と

死ぬ事に、逃げる事になんとなく感じる罪悪感・・・

普遍的な・・・そして、後天的な価値観か

生きる本能・・・確かに生まれて人は、その体は、呼吸をはじめて、

生きるために酸素を取り込み、その鼓動は続いていく

血が巡り、体に生命の灯を燈す

この僕や君を形作る細胞がそうプログラムされているから、

本能は生きる事を望んでいるのか・・・

だけど、生きるという本能とは裏腹に、

分裂を繰り返す度に細胞がなくしていくDNA・・・

細胞の自己破壊プログラムは何?

人は・・・いつか死んでしまうもの・・・



本能が、この体が、どこかに生きる意志というものを持っていたとしても、

それ以上に心が終わりを強く願えば、それは訪れる・・・

今の僕は誰かの我侭になんて構っているつもりはない

だって、こう望むのも僕の我侭・・・

僕がいなくなった後で責めたければ責めればいい

もう、そんな声も届いていないはずだけど・・・

僕という人間を知ってしまったというあなたの不幸を嘆けばいい

そして、傷を背負わせるかもしれない僕の事を憎めばいい

無責任だとか、多分、どんな言い訳も僕には届かない

現実さえ捨ててしまえば、そんな社会的な枷なんてなくなるのだから・・・

生きられないと運命られた生命もある・・・

望まない死を迎える人もいる・・・

だったら、そんな運命を呪えばいい・・・

僕には関係ない

望む事を・・・

そう、だね・・・

それが夢だといえばあなたは納得する?

それを叶えるだけの事だよ

そんな夢を抱く僕を狂ったというなら、そう思えばいい

だけど・・・初めからそんな人間だったつもりもないよ

せめて、何が僕を狂わせたのか・・・それだけは考えていてね

そして、僅かな生命だけど、記憶に遺るのなら、嬉しい



僕にはこのまま見つけられないかもしれない、ずっと、求め続けてきたもの

その中で結局僕が辿り着いたのは『わからない』

特に普遍の真理なんて知り得ようもない事でしょう?

これまで普く哲学者の議論の結果もそれはあくまで仮説に過ぎず

それを信じ切る事も僕にはできないし、何かが違う

ただの生きるいいわけにしか聞こえなかった・・・

僕はいつからか、この心は囚われて、見つけたいと強く祈り願い続けた・・・

少しずつ、緩やかに心は壊れ、

それでも、今まで・・・惰性とも言えるような、意味のない時間を送ってきた



生きる事・・・それは無意味だ、無価値だ・・・

ただ、そこに在るという事だけだ!

ならば・・・消える事もまた、意味を問う必要もないでしょう?

ただでさえ、今死ななくても何時かは訪れる死・・・

だったら若くして死のうが

理由なんて何であろうと変わらない

それともあなたが・・・僕にその答えをくれる・・・?

生きる意味を教えてくれる?

・・・

無理・・・だね

だから・・・ねぇ・・・?こうして抱きしめるの・・・

〜終わらない生命の眠り〜

2001.12.12

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