家路
西日をうけて長く大地に刻まれる影
静かな時の中で、少しずつ、家路をたどる歩み
空は紅く、雲も紅く、
全てのものが同じ色に置きかえられる中
時が止まったように、あの頃のままの風景が暮れていく
優しく髪をなでる風が心地よく、
立ち止まり、見上げた空には夕暮れに昇る月
霞む空、日をうけた街並み、吹きぬける、冷たくなりはじめた風
そして、この道・・・
今では、思い出の中にだけ、
懐かしい家路をたどる事もない
同じ夕日をうけて、過ぎ行く時を少しずつ歩いてきた
見えない未来が少しずつ僕を歩ませていた
2000.3.1