磔
人を・・・自分を殺めるという禁忌・・・最も重い罪に僕は手をかけ続けている
赦される事はないのでしょう・・・
蝕まれた身体には足枷・・・何処にも行けず、時を止めて蹲る事しかできない
この手には杭が打ち込まれ・・・誰かに手を差し出すことも、抱きしめる事もできない
この声は・・・どんなに叫んでも誰にも届かず、誰にも記憶されない・・・
この背にあったはずの翼は殺がれ・・・一番大切な空に溶ける事も赦されはしない
この心は天秤のように両極に揺れ・・・光と闇に傾いては、人に関わろうとして拒絶して傷つける
・・・。磔になった人に、何ができるの・・・?
十字架に括られ・・・死を待つために生きる・・・
生きることに意味も資格もなければ、死ぬ事にも同様・・・
唯・・・無情に時が流れるだけだ
赦されはしない・・・誰からも・・・何からも・・・
だから・・・翼もない僕は大切な空からも遠く離れて堕天してゆく・・・
この生命も・・・永遠の刹那の中の終わらない眠りではなく
完璧に消滅してしまえばいい
この世界で死を罰とするのなら・・・
自ら望んでそれを受け入れ・・・自ら執行するだけだ
最期の時に・・・祈るだけでいい・・・
何も与えもしない、死んだ神にではなく
これからも時を刻むこの世界の未来のために・・・
生きてゆく・・・人の心のために・・・
貴方たちは・・・この血に潜む狂気に惑わされないで・・・
どうか・・・穏やかで幸せな生命でありますよう・・・
聖なる時を・・・福音を・・・
僕がもっとも大切だった・・・この空を護って・・・
・・・そう・・・祈り、この空から堕ちるんだ
2005.3.26