硝子ケース


止まる事も、途切れる事もなく

糸を紡ぐように生命は続いていく

時は流れるもの、と誰かが言った

時は移ろうものと・・・

たとえ、時に背を向けても、あの時のまま、立ち止まってしまっていても

無慈悲に未来は訪れる

世界はその色を変え、風向きも変わる

笑顔で無邪気に生きていけない

時として、哀しみが、苦しみが、痛みが・・・

心を翳め、その度に俯いて・・・




前に進む事を躊躇った

明日を見つめる目をこの手で覆った

未来なんて信じてないから

この指先が動く事さえ僕は恐れた

少しでも、後少しだけでもこのままでと・・・

思い出に変わっていく時にしがみつくだけ

それでも・・・秒針は動き続け、朝も訪れた

傷ついている未来が、哀しみが、・・・止まらない時が・・・

少しずつ色を失くしていくのならそれでよかった

この瞬間に囚われて次の瞬間には僕が消えているのなら・・・



この願いは聞き届けられ、宣告された死・・・

2000.4.23

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