南の世界拾い読み 第6回
このコーナーは、南の国々(発展途上国)のメディアやNGO/NPOで流されている情報を独断で選んで、そのサマリーをコメントをつけて紹介していきます。情報の詳細を知りたい場合は、併記のホームページにアクセスしてくださいね。(本田真智子 常務理事)
 

1.Iraq Still Attracts Filipinos Despite Govt Ban
http://www.ipsnews.net/interna.asp?idnews=24739
Dubai(アラブ首長国連邦)
 
イラクに派遣されていたフィリピン軍の撤退によって解放された、イスラム教の闘士によって誘拐されたフィリピン人のドライバーの例は、イラクに出稼ぎに行くフィリピン人を思いと留まらせることはない。ある調査によると4000人のフィリピン人が米軍及び民間会社と契約してイラクで働いており、イラクで働く外国人労働者では最多数だ。フィリピン人労働者の多くは未登録の労働者である。労働者はイラク行きは生命の危険があることを承知しているが、高い賃金が彼らをイラクにひきつける。米国と英国によるイラクの復興計画に、約4000人の未登録のフィリピン人の労働者が従事している。

コメント たとえ命の危険があっても、禁止されていても自国で働くよりも月に3〜7倍高い賃金をもらえるとなると、大家族を養わなければいけない人、外国への出稼ぎに慣れている人たちは出て行ってしまうものなのだろう。今、世界はものや情報と同じように労働者もやすやすと国境を越えていく。ものや情報、ルールなどのグローバル化はいいが、労働者のグローバル化は歓迎しないというのが、多くの先進国の本音ではないだろうか。外国人労働者の問題は、わかりやすい南北格差なのだろう。一方、広く世界に労働者を出している国家は、独自のしたたかな外交手腕が必要なのだろう。
(IPS " INTER PRESS SERVICE NEWS AGENCY" より)
  

2.LRA Kill 40 in Southern Sudan
http://allafrica.com/stories/200407260109.html
Kampala(ウガンダ)
 
ウガンダの反政府勢力神の抵抗軍(LRA)が、スーダン南部のMotiという小さな村を7月23日の早朝に襲い、7人のスーダン人民解放軍(SPLA)と含む約40人を殺害したと、教会リーダー及びSPLA職員が語ったという。南部アフリカを支配するSPLAは21年来の内戦に終止符を打つために、スーダン政府と和平協定に署名していた。一方、他の市民軍赤道の防衛軍(EDF)はスーダン政府軍がLRAを支援していると主張している。

コメント 国連のアナン事務総長はスーダンの事態を打開するために、アフリカのリーダーと会談する予定だ。また、国境なき医師団などのNGOがスーダンの現状に世界が目を向けるように、アピールを出している。日本でもスーダンの虐殺が報道されている。スーダンの内戦は長い間行われてきた。この間、世界はスーダンのことなど忘れていた、いや、存在しているという意識さえなかったかもしれない。最近では、98年にスーダンの首都ハルツームの医薬品工場をイラクと協力して毒ガスVXを造る工場だとして、米軍が攻撃した際に注目されて以来だ。この年の8月にケニアとタンザニアにある米国大使館爆破事件が起きたが、その犯人をかくまっていると米国からスーダン政府は警告を受けていた。

スーダン北部はイスラム教徒、南部はキリスト教徒とアミニズム信仰者が占め、南北での内戦が行われ、米国が南部の反政府軍を支援したために、内戦が長引いてきたという指摘をする人たちもいる。ここにあるのはポスト冷戦の内戦構造なのだ。そして、一番の被害をうけるのは冷戦中であろうと、ポスト冷戦であろうとも同じくそこに暮らす主義や主張を声高にしない人たちだというのがやるせない。
(all Africa.com  The Monitorより)
  

3.Mental health: Right or necessity?
http://www.latinamericapress.org/Article.asp?lanCode=1&artCode=3830
Lima(ペルー)

政治的暴力の犠牲者は精神的害性(トラウマ)の克服のための支援を求めている。真実和解委員会は20年間に渡る武力闘争の政治的暴力の犠牲者の証言を求めるために、何千人もの犠牲者がトラウマを克服するための支援が必要であるとしている。多くの犠牲者は、政治的暴力によって将来に渡って肉体的、精神的な問題を抱えることになるという。

犠牲者に対する精神的なケア及びリハビリテーションを進めることは、国家が民主的なものに移行するためにも重要なものである。

コメント アジアやアフリカに比べて、私の中でのラテンアメリカの知識は少ない。そのためかの地でこれまで何が行われてきて、今何が起きているのか、断片にしか知らない。ペルーというと日本とつながりが強い国のひとつというイメージがある。そこで行われている暴力や、非民主的な政策に日本がいかなる状況でも関連していないことを祈りたい。

また、政治的暴力や少年兵などのトラウマなどのケアには、もっと多くの労力と資金が費やされるべきものなのではないだろうか。
(Latinamerica Press Org. より)
  

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