参考資料
地域自治区・合併特例区制度の概要
1 一般制度としての地域自治区
(1)地域自治区の趣旨、設置手続き等 地域自治区とは、地域の住民の意見を行政に反映させるとともに行政と住民との連携の強化を目的として、市町村の判断により設けられる区域であり、その区域の住民のうちから市町村長が選任した者によって構成される地域協議会及び市町村の事務を分掌させるための事務所を置くものである。地域自治区の名称や区域は、市町村が条例で定める。
(2)組織と権限 1. 地域協議会 地域協議会は、住民及び地域に根ざした諸団体等の主体的な参加を求めつつ、多様な意見の調整を行い、地域自治区における協働活動の要となるものである。
ア 構成員 (ア) 地域協議会の構成員は、当該地域自治区の区域内に住所を有する者のうちから市町村長が選任する。任期は4年以内で条例で定める期間とする。
(イ) 市町村長は、(ア)の選任に当たって、区域内の住民の多様な意見が反映される構成となるよう配慮しなければならない。
(ウ) 構成員には、報酬を支給しないこととすることができる。
(エ) 地域協議会に会長及び副会長を置く。
※ 地域協議会のあり方は、国会審議における最重要論点のひとつであった。その結果、衆参両院の総務委員会において、1.地域協議会の構成員の選任に当たっては、公平性、透明性等の確保に十分配慮すること、2.地域協議会は住民の主体的な参加を期待するものであるから、構成員は原則として無報酬とすること、の2点について政府において周知に努めるべき旨の附帯決議がなされた。
イ 権限 (ア)必要的諮問事項 市町村長は、地域自治区の区域内の重要事項を決定・変更するときは、あらかじめ地域協議会の意見を聴かなければならない。重要事項は条例で定めるが、例としては、区域内の公の施設の設置及び廃止、市町村の策定する基本構想等のうちその区域に係る重要事項、などが考えられる。
(イ)その他の事項 地域自治区の事務所の所掌事務や市町村が処理する地域自治区の区域に係る事務等に関し、市町村長等により諮問された事項又は必要と認める事項について審議し、市町村長等に意見を述べる。
こうした事項の例としては、地域福祉(学童保育、福祉ボランティア活動支援 等)、地域内の環境保全(リサイクル、清掃 等)、地域内道路・施設の管理、地域防災、地域防火、地域防犯などが考えられるが、これらについて、地域協議会は単に意見を述べるにとどまらず、住民を巻き込んで協働活動を展開することが期待される。
2. 事務所 (ア)市町村長の権限に属する事務を分掌する。 (イ)地域協議会の事務を処理する。
2 合併特例の地域自治区
合併時に、期間を定めて一又は複数の旧市町村の区域を単位として地域自治区を設置する場合には、次の特例が適用される。
(1)設置 地域自治区に関して条例で定めることとされている事項は、合併関係市町村の議会の議決を経た協議により定める。
(2)区長 地域自治区の区域における事務の効果的な処理のため、特に必要があると認めるときは、合併関係市町村の協議により、事務所の長に代えて区長(特別職)を置くことができる(合併市町村長が選任。)。任期は2年以内で合併関係市町村の議会の議決を経た協議により定める期間とする。
(3)住居表示の特例 住所の表示に地域自治区の名称(「区」のほか「町」、「村」も可。)を冠する。
3 合併特例区
(1)設置の目的 合併後の一定期間(5年以内)、旧市町村の区域ごとの住民の意見を反映しつつ、その地域を単位として一定の事務を処理することが合併市町村の一体性の円滑な確立に資すると認めるときは、合併関係市町村の協議により、一又は複数の旧市町村の区域を単位として、特別地方公共団体である合併特例区(法人格を有する。)を設けることができる。
(2)設置手続 合併関係市町村の協議で規約を定め、廃置分合の申請に併せ、設置を申請する。
(3)合併特例区の権能 旧市町村において処理されていた事務であって、合併後の一定期間、旧市町村の区域を単位として処理することが当該事務の効果的な処理に資するもの等のうち、規約で定めるものを処理する。
例としては、地域の公の施設(集会所、コミュニティセンター等)の管理、地域振興イベントの実施、コミュニティバスの運行、地域に根ざした財産(里山、ブナ林等)の管理などが考えられる。
(4)組織と権限
1. 合併特例区の長
(ア) 合併市町村長が選任する特別職とする。(任期は2年以内で規約で定める。)合併市町村の助役又は支所・出張所長と兼ねることができる。
(イ) 合併特例区の長は、合併特例区を代表し、その事務を総理する。
(ウ) 法令等に違反しない限りにおいて、合併特例区規則を制定することができる。
2. 合併特例区協議会
ア 構成員
(ア) 合併特例区協議会の構成員は、合併特例区の区域の住民であって合併市町村の議会議員の被選挙権を有する者のうちから規約に定める方法(準公選制など可。)により合併市町村長が選任する。任期は、2年以内で規約で定める期間とする。
(イ) 合併特例区協議会に会長及び副会長を置く。
(ウ) 構成員には、報酬を支給しないこととすることができる。
イ 権限
(ア) 合併特例区の長は、予算、決算の認定、規約の変更、合併特例区規則の制定等の重要事項に関しては、合併特例区協議会の同意を得なければならない。
(イ)
地域自治区の地域協議会と同様、必要的諮問事項、その他の事項について合併市町村長等に意見を述べることができる。
3. 合併特例区の職員 合併特例区の職員は、合併市町村の職員のうちから、合併市町村長の同意を得て、合併特例区の長が任命する。したがって、合併特例区は独自の職員採用はできない。
(5)財務及び財源措置
1. 予算 合併特例区は、予算を作成したときは、直ちに合併市町村長の承認を求め、かつ、その要領を公表しなければならない。
2. 決算 合併特例区は、毎会計年度、決算を調製し、合併市町村の監査委員の審査に付した上で合併市町村長に報告し、公表しなければならない。合併市町村長は、これを議会に報告しなければならない。
3. 財源措置 合併市町村は、合併特例区の運営に必要な予算上の措置をするものとする。(合併特例区には、課税権、起債権がない。)
(6)財産及び公の施設
2. 公の施設 ・ 合併特例区は、規約に定める公の施設を設置することができる。 ・ 合併特例区は、公の施設の利用につき使用料を徴収することができる。
2. 財産の処分等の制限 合併特例区は、合併市町村の条例で定める財産を取得又は処分しようとするときは、合併市町村の議会の議決を経て、合併市町村長の承認を受けなければならない。
(7)監査及び報告等
1. 監査 合併市町村の監査委員は、毎会計年度少なくとも1回以上期日を定めて監査する。
2. 報告等 合併市町村長は、必要があるときは、合併特例区に事務の報告をさせ、書類及び帳簿を提出させ及び実地について事務を視察することができる。
3. 住民監査請求 合併特例区の区域内に住所を有する者は、地方自治法上の住民監査請求をすることができる。
(8)解散
合併特例区は、設置期間の満了等によって解散する。
(9)住居表示の特例
住所の表示に合併特例区の名称(「区」のほか「町」、「村」も可。)を冠する。
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