南の世界拾い読み 第4回
このコーナーは、南の国々(発展途上国)のメディアやNGO/NPOで流されている情報を独断で選んで、そのサマリーをコメントをつけて紹介していきます。情報の詳細を知りたい場合は、併記のホームページにアクセスしてくださいね。(本田真智子 常務理事)
 

1. From bombs to eco-tourism
http://www.lapress.org/article.asp?IssCode=&lanCode=1&artCode=3758
プエルト・リコ(米国自治領)
米海軍の基地が撤退して1年のプエルト・リコでは、その跡地の利用を巡って、さまざまな動きがあった。大手のホテルは基地跡地の美しい砂浜が見える場所にホテルを建てたいと望んだ、また、桟橋をつくり観光客が空港から来やすくしようという計画もあった。しかし、多くの住民はここを非暴力による市民抵抗運動のモデル及び持続可能な開発のモデルとしたいと望んでいる。なぜなら、米海軍が1999年に民間の警備員を殺害したことに怒った市民が抗議行動を行い、住民投票を実施、68%の国民が直ちに米海軍に出てって欲しいという意思を表示した結果、米海軍がここを後にすることになるのだが、住民が一連の市民運動を誇りに思っているからであり、また、海軍跡地には美しい自然が残されているからだ。商業観光ではなく、自然を楽しめる、小さなエコツーリズムを促進したいと考えている。
コメント 米国自治領ではあるが、プエルト・リコは住民投票を行い、米海軍の基地を撤退させた。このこと事態、すばらしいのだが、それ以上に跡地利用に関して、スモールスケールのエコ・ツーリズムをすすめようとしていることに、敬意を表したい。プエルト・リコは米国市民にとって気軽に行けるリゾート地なのだが、商業主義をとりよりも、カリブ海全体の自然保護に方針をとろうとしている住民の行動がゆがめられることなく、邪魔されることなくすすんで欲しい。
(latinamerica press.org より)
  

2. Endangered Snow Leopards a Peril to Yak Herders
http://www.ipsnews.net/interna.asp?idnews=23704
KICHO-TAL(ネパール)
ヒマラヤでは、ヤク放牧をしている住民たちとユキヒョウ(Snow Leopards)との間で、攻防が続いている。ユキヒョウは自分たちの生息区域まで放牧を進めてきた住民たちが放牧するヤクを襲う。住民たちはヤクを襲われたことに腹を立てて、ユキヒョウを襲っている。例え、ユキヒョウが絶滅危機動物で、レッドデータブックに載っていたとしても。また、ユキヒョウの毛皮のとり引きも依然として行われているし、ユキヒョウにヤクを襲われた住民に対しての保証もないので、この攻防は続いている。
コメント 自然保護、動物保護と住民の生活保障の問題は大きい。私は住民が、自分のヤクを襲われたときに、ユキヒョウを捕まえようとするのは自然なのだと理解する。それは、日本でも日本狼が絶滅して過程を考えれば分かることだ。また、同じように、一度絶滅してしまった動物は生き返らないし、1種の動物が絶滅することは、絶滅の理由が人に狩られたことであればあるほど、環境への影響は大きい。住民と野生動物の共存は難しいが、全く出来ないわけではないだろう。広い視野と、住民参加型のプロジェクトを進めることで、可能となる。この行動にこそ、人類の英知が試されるだろう。
(IPS " INTER PRESS SERVICE NEWS AGENCY" より)
  

3.World Cup Bonanza Awaits SA
http://allafrica.com/stories/200405170691.html
ジョハネスバーグ(南アフリカ)
2010年のサッカーワールドカップの開催が、南アフリカに決定した。2010年はアフリカ大陸で行われるということは決定していたので、モロッコ、チュニジア+リビア、エジプトなどとともに、南アが立候補していた。そして、南アが本命視されていた。さて、南アにとっては、この機会を経済発展のために最大限活かそうとしている。特に、観光産業は、ワールドカップでの訪問者をリピーターにすべく計画しなければならないと考えている。また、8人の観光客によって1人の永久的な仕事が生み出されるとも考えている。特に、ワールドカップ後にその効果的な影響が現れると考えている。
コメント 2010年のサッカーワールドカップが南アで開催されるというのは明るいニュースである。招致のためにノーベル平和賞受賞のマンデラさん、ツツ大司教、アカデミー主演女優賞受賞のシャーリーズ・セロンまでが会議の会場であるスイスのチューリッヒに集った。一方、日本のメディアはこの決定に対して、南アの治安などを懸念している。治安の問題の1つに部族対立などを挙げているが、これは既に誤った認識であるというのが世界の共通の見解になっているというのにだ。南アの2010年までの取組みが、サブサハラの諸国にとって、大きな前進になればいいのではないかと願わずにいられないし、そのための協力を惜しみたくはない。
(all Africa.comより)
  
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