特別報告
 「2004年NPO交流プログラム:韓国、中国、日本」参加報告
 2003年3月22日〜25日まで、韓国のソウル市で、日本の国際交流基金と韓国の美しい財団が主催した「2004年NPO交流プログラム:韓国、中国、日本」が開催された。
 このプログラムは2002年3月に中国北京市で開催された国際交流基金主催の「日中韓NPOセミナー」のフォローアップ事業として行われたもので、日本からは特定非営利活動法人NPO研修・情報センター(TRC)の代表理事世古一穂と理事孫 明修が招聘された。また、常務理事の本田真智子とフェローの久保田由美が研修としてこのプログラムに参加した。
 中国からの参加者は7名。中国NPOネットワーク、北京地球村、中国青少年友展基金会、陜西省女性理論婚姻家庭研究会、北京大学、国際交流基金北京事務所からの参加があった。
 韓国側の主催となった美しい財団はこれまでTRCの行ってきた東アジアNPOのネットワーキングプログラムのなかで、カウンターパートとなってきた団体である。
 3月22日、ソウルに集合した私たちは美しい財団主催の歓迎夕食会に参加して交流を行うと共に、翌日以降のスケジュールの確認をおこなった。
 23日は政府のNPOサポートの状況のヒアリングということで、国務総理室を訪れ、行政自治部や市民社会発展委員会の市民社会のサポートについての話を聞いた。市民社会発展委員会は諮問機関で、政府に対してどのようなサポートが市民社会の発展に必要なのかの諮問を行い、政府はそれに対してどのような政策を行うのかの回答を行っている。また、行政自治部ではNPO事業補助金を出している。この事業補助金の位置付け、あり方、選考方法、評価方法などの説明も受けた。
 続いて、やはりTRCのカウンターパートである参与連帯への訪問、チャリティショップである美しい店の見学、美しい財団の見学及び説明を受けて、この日のプログラムが終わった。
 美しい財団や美しい店は、人々の中に分かち合いの心を醸成していこうとするもので、美しい財団では個人の名を冠して助成金のプログラムを作り、プロ野球選手や俳優、大学教授等がその収入のうちの何割かを助成金にし、NPOへ資金援助している。同じく、美しい店では多くの人からただでさまざまのものを寄付してもらい、それを販売することで収入を得、NPOセクターの資金づくりをしている。美しい店は約2年前にスタートし、現在は全国に13店舗展開している。
  美しい財団の朴元淳さんは「自分たちの組織が大きくなればいいと思っているわけではない。広く分かち合いの心を醸成することで、市民社会を強くしていきたい」と語った。
 24日は、午前中は環境正義市民連帯と女性連帯を訪問し、その活動を聞いた。午後は、日中韓の参加者に加えて、韓国の市民社会を研究している大学教授等が加わり、韓国、中国、日本の市民社会の現状と課題について話し合った。この中で、韓国の参加者からこれまで日中韓のNPOは様々な団体が個々に交流を行ってきているが、そろそろ交流の次の段階に進み、東アジアの市民社会が強くなるために何をすべきかを考えるべきだろうという意見が出された。

 研修として参加しての感想だが。
 参与連帯でも環境正義市民連帯、女性連帯でも同じような話が出た。それは、それぞれの団体が、個々の問題には対応しないということ。しかし、個々の問題から見えてくる社会改革に必要な活動を行っていくことだ。例えば、個人のセクハラ問題に対してのアクションは専門分野のNPOや地域のNPOに任せるが、セクハラに対しての社会的な対応や法整備についての政策提言や社会的なアピールを行っていくという。個々の問題を収斂して、政策提言にしていくということが、日常の活動になっていっている。
 また、韓国のNPOを研究する大学教授と食事をしながら話をしたこと、韓国のNPOの課題である草の根の活動は日本のNPOの方が優れているので、お互いに持っている長所を学びあうことが東アジアの市民社会を強くしていく上で大切だということを、私も改めて感じた。
(報告 本田真智子 常務理事)
  

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