Vol.46   2008年2月5日号

 酒蔵環境研究会北海道支部発足にあたって

                   伊藤眞人(北海道支部代表幹事 )

 酒友遠方より来る。亦、楽しからずや。美酒有りて語るべきことも不問、只管咽喉過ぎし快楽に耽れり。と、私、お酒を耳目にして五十有余年(エッ、もう半世紀!)。僅かばかりの身銭を切って(スミマセン、他人の懐からもあります)飲みだしてからでも四十有余年。

 私が中学校を卒業した時世は戦後の高度成長期の端緒でして、当時風靡した金の卵で就職した鐵工所での新人歓迎会で、未成年でありましたが待遇は一応社会人ですから(私が勝手に)自己責任で飲酒は OK 。とは言え私ども若輩の懐具合からして、日本酒に限ってみますと、一合が二、三十円の廉価な合成酒、次がバクダンでした(現在巷ではカンチュウなどと言うブランド?とのこと、オドロキです)。ハガキが一葉七円、トウフ一丁十円位で、私の一ケ月の手当てが六千円位。ですから大瓶一本百二、三十円のビールは高嶺の華でほとんど手が出ません。で、その時の宴席では社長以下幹部数人のお膳にだけビール(サッポロ!)がありました。意地汚く今でも鮮明に憶えています(イヤダネー!)。でありますから今でも居酒屋に居て「先ずはビールでも」なんぞと注文する若者がいたりすると、真夏でもお燗を戴いている私はちょっぴり酩酊、そして悲しく目線が宙を舞います。兎に角、現し世の(なんと大袈裟な!)私の記憶する事象にお酒は常に存在するのであります。

 先日、私の妻が出張先の金沢から「挑戦する酒蔵」を持参、私に読まれよと厳命。酒はただ美味しく呑むものでして、なにを今更小難しい蘊蓄を披歴されても、としぶしぶ一読。しかし、読後は妻が熱心に(しつこく?)薦めてくれた理由を納得、我が愛する美酒に纏わる諸問題を再度、又は新たに認識いたしました。

 思いますに(緊張します)、「遊び」は民族の文化に大いに寄与すると謂われておりますが、こと日本酒の文化に関しても数多の先人達、特に酒作りに携わる練達の職人が守り育て、それこそ醸成してくれたお陰で私達はその文化の恩恵を頂戴しています。ところが、現在は酒蔵、特に小規模ながら良心的な、そして又それに付随する諸々の貴重な技術(文化)が人々から正しく認識され、評価されていない部分があります。その様な状況の中で、「挑戦する酒蔵」が頑張っていることを知り、お酒の大好きな私は、呑み手の一人として作り手の方たちを応援しようと、酒蔵環境研究会北海道支部の発足を思い到った次第であります。

この春、 北海道余市町 に私と妻が長年温めてきた思いを(相思相愛とは違いますヨ)実現しようと、茶房と民宿を開業いたします。酒蔵環境研究会の活動は、私どもがここを拠点に進める文化事業のひとつと考えております。肩ひじ張らず、楽しく活動を進めていきたいと思っております。

どうぞ機会をみまして自然豊かな積丹半島に位置する 余市町 にお越し下さいませ。ご一緒に美酒を堪能いたしましょう。お待ち申しあげております。     

「挑戦する酒蔵」出版記念交流会 in 北海道 案内

※ 当日は、酒蔵環境研究会北海道支部の発足会も兼ねます。


 



 

 

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