Vol.37 2007年4月10日号

「世界の潮流とNGOの動き 第26回」
グリーンピースのエスペランサ号をめぐり、日本で起こっている信じ難いこと

長坂寿久(拓殖大学国際学部教授)

キーワード・・・ グリーンピース、エスペランサ号、寄航拒否、捕鯨

 日本でこんなことが起こっています。今、今日、起こっていることです。

 国家権力の力、恐ろしさ、バカバカしさを感じます。事実でないことを、誤解のままに、単につまらない面子に固執するために、歴史や世界の流れと逆行していることも思い至らず、権力を使って押し通す。港湾という世界の公共の財産を、個人的面子(国民の利益ではなく農水産省の面子)のために権力を使ってエスペランサ号の寄航を拒否しているのです。

 皆さんに、ともかく知っていただきたいのです。日本の権力の実態が、憲法九条を放棄しようとする実態が、単に憲法「改正」問題にとどまらず、このような場でも起こってきているということを。

 どうか今後の推移をご注目下さい。3月29日に続いて、4月3日午後4時から衆議院内で集会を開催されました。

 なお、グリーンピース・ジャパン事務局長の星川淳さんが『日本はなぜ世界で一番クジラを殺すのか』(幻冬者新書)を出版しました。非常にいい本です。

 以下の(1)はエスペランサ号問題への現状説明(グリーンピースのHPから)

 (2)と(3)は全日本海員組合宛に長坂が送ったメールです。

(1)グリーンピースの 4月2日のホームページです

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      グリーンピースの船は日本の港に着けないの?
      ―― 反テロの時代にNGO活動と市民権を守る
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      エスペランサ号を拒絶する日本
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  今年2月、南極海で火災を起こした日本の捕鯨母船・日新丸に対し、まっさきに駆けつけて救難協力を行なったグリーンピース最大のキャンペーン船エスペランサ号は、先週5日間におよぶ八丈島沖での不当な待機状態から、4月1日(日)現在、ようやく日本への入国を認められ、横浜港外の錨泊海域に錨をおろすことができました。ご支援、ご協力をいただいた皆様に深く感謝いたします。
http://www.greenpeace.or.jp/press/releases/pr20070401_html

  しかし、いまだに横浜港・東京港とも着岸許可は得られておらず、国際法上認められた水・食料の補給や乗員交代さえ危ぶまれます。引き続き着岸を求め、全力を尽くしていきます。
  この間の妨害は想像を絶するものです。
  すでにお伝えしたとおり、エスペランサ号の入港関連手続きを代行していた川崎市の船舶代理店に、全日本海員組合がグリーンピースの船舶の入港業務代行をやめるよう迫り、船舶代理店はグリーンピースとの仕事をキャンセルせざるを得なくなって、すべての手続きが中止されました。また、これに先立つ3月15日、全日本海員組合は、グリーンピースが南極海の捕鯨問題に関わる活動で、別の環境保護団体シーシェパードと連携してテロ行為を行ったとの理由により、エスペランサ号入国を拒否するよう麻生外務大臣に要望書を提出しました。
http://www.greenpeace.or.jp/press/reports/rd20070328_html

  さらに、横浜港周辺で営業するチャーター船業者にも軒並み、グリーンピースの仕事を引き受けないよう強い圧力がかかっています。これには、全日本海員組合からの申し入れだけでなく、国家権力の影がちらつくことも、関係者から漏れてきています。全日本海員組合は介入を否定していますが、川崎市の船舶代理店を訪れた人物が同組合関東支部長代理と名乗ったことは判明(氏名も)しています。さらに、南極海で動力を失った日新丸が危険な漂流状態にあった1週間、グリーンピースからの救難支援を受けたことを日本政府は否定していますが、グリーンピース側の記録映像には、捕鯨船団からの協力要請に応え、ヘリコプターなどを使っての情報提供に、繰り返し感謝を述べつつ、協力の継続を望む捕鯨船団長との交信の様子がはっきり残っています。
http://www.youtube.com/watch?v=pZsNfgdwiHM

  にもかかわらず、最近の水産庁記者会見で、グリーンピースをシーシェパードと同列の「テロリスト」と名指し、告訴すべきだと言い放った捕鯨船団長の態度豹変に、南極の現場で救援にあたったグリーンピースのスタッフ一同、驚きを隠せません。

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      情報操作による問題すりかえと言論封殺      
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  第一回院内集会のご案内にも記したとおり、グリーンピースと全日本船員組合とが対立させられるのは、とても残念です。これでは、南極地域の環境保護を大きな目的に含む南極条約の適用海域で、日新丸がここ10年のあいだに2度も火災を起こし、今回は尊い人命まで失われたことや、日本の “ 調査捕鯨 ” が20年近くのあいだに「科学調査」としての実質的成果をほとんど上げていないこと、それでも年間1000頭近いクジラを捕殺し、昨シーズンから絶滅危惧種のナガスクジラ、来シーズンは絶滅危急種のザトウクジラも殺しはじめることなど、捕鯨問題の本質を覆い隠そうとする政府側の思うつぼでしょう。労働組合とNGOとは、政府や企業をチェックする役割を共有するはずです。

  全日本海員組合からだけでなく、現在グリーンピースに寄せられる批判・非難の大半が、日本の捕鯨船団に発煙物質を投げ込んだり、文字どおり船を体当たりさせたりした別の団体シーシェパードと単純に取り違えています。それはここ数年、水産庁や日本鯨類研究所などの捕鯨推進勢力がグリーンピースとシーシェパードを意図的に混同するデマを流してきたこと、TVをはじめマスコミが、シーシェパードの攻撃を受ける捕鯨船団の映像にグリーンピースの名前をかぶせるなど、誤解を増長する無神経な報道姿勢を続けてきたことに起因します。シーシェパードが日新丸を攻撃したとき、まだ500マイルも離れていたグリーンピースのエスペランサ号に「テロ行為」ができるわけがありませんし、ましてその数日後に起こった火災(漏電によるものと見られます)や乗組員の一酸化中毒死とは無縁です。現場に到着したエスペランサが捕鯨船団に申し出、そして実行したのは、捕鯨に関する立場の違いを超えて、できる限りの救難支援を提供することでした。捕鯨船団の乗組員たちは、それをよく知っているはずです。

  いま、必死になってエスペランサ号を日本の岸に着けまいとする人びとは、捕鯨をめぐる事実が多くの国民に知れ渡るのを恐れています。日本人の92%が “ 調査捕鯨 ” のことを知らない現状に変化が起こったら、南極海での国営捕鯨はとても続けられなくなるのを見越しているからです。ここでは捕鯨問題そのものに立ち入りませんが、私の新著『日本はなぜ世界で一番クジラを殺すのか』(幻冬舎新書)をご一読いただけば、「海の靖国」状態を呈している捕鯨問題の本質が一目瞭然になると思います。

 グリーンピースの活動は非暴力を大原則としており、「テロ」「テロリスト」といった中傷はまったく事実無根です。そもそも、全世界に290万人の会員を擁し、国連のオブザーバー資格も持つ国際NGOが、「テロ行為」など行なって組織を維持できるでしょうか? グリーンピースに対して政治家やマスコミがこれほど幼稚な誤解と偏見を公言するのは、先進諸国で日本だけです。

 

 2001年の9・ 11 事件以後、「テロ」といえば国家権力が何でもできる脱法世界をつくったのは米ブッシュ政権でした。その余波をかって、日本でも共謀罪をはじめとする悪法案が次々と国会に提出され、一部はなんとか市民/国民とメディアの共闘による歯止めをかけています。しかし、「テロリスト」の偽称を浴びせてグリーンピースを排除する今回の事態は、共謀罪体制の先取りにほかなりません。これほどあからさまな言論封殺を許せば、日本の民主主義はとめどなく崩壊していくでしょう。

 第二次大戦中、反ナチス運動に立ち上がった牧師マルチン・ニーメーラーは、こう告白しました。「ナチスが共産主義者を弾圧したとき、私は不安に駆られたが、自分は共産主義者でなかったから、何の行動も起こさなかった。その次、ナチスは社会主義者を弾圧した。私はさらに不安を感じたが、自分は社会主義者でないので、何の抗議もしなかった。それからナチスは学生、新聞、ユダヤ人と順次弾圧の輪を広げていき、その度に私の不安は増大したが、それでも私は行動に出なかった。ある日、ついにナチスは教会を弾圧してきた。そして私は牧師だった。だから行動に立ち上がったが、もうそのときはすべてがあまりにも遅すぎた」

   「グリーンピースがまた捕鯨問題でいじめられてるね …… 」と見すごされているうちに、いつか「 …… 遅すぎた」とならないために、私たちグリーンピース・ジャパンも今回は力の限り踏ん張ります。ぜひ応援してください。そして、グリーンピースの船が岸に着けない日本社会でいいのか、話し合いましょう。マスコミの皆様も、政府のプロパガンダにまどわされず、問題の本質を見すえていただくよう、よろしくお願いします。

星川 淳/事務局長
Jun.Hoshikawa@jp.greenpeace.org
特定非営利活動法人 グリーンピース・ジャパン
〒 160 − 0023 東京都新宿区西新宿 8 − 13 − 11 NF ビル 2F
Tel: 03-5338-9800 (代表) 03-5338-9805 (直通)
Fax: 03-5338-9817
http://www.greenpeace.or.jp

(2)長坂が全日本会員組合に送ったメールです( 3月29日付け)

全日本海員組合
組合長 藤澤洋二様

 桜が色濃く咲き始めました。

 未来を感じる季節です。

 グリーンピースのエスペランサ号が日本での寄航に対して御組合が反対をしておられると聞き、メールをさせていただくことにしました。

 私は、長坂寿久と申します。拓殖大学国際開発学部でNGO論を教える教員をしております。

 大学に入る前はジェトロ(日本貿易振興機構)というところに30年程勤めておりました。

 アムステルダム・ジェトロに駐在した折りにグリーンピースを知るとこととなり(ご承知のとおりグリーンピースの本部はアムステルダムにあります) 、 グリーンピースを知る者の一人としてメールを差し上げます。

 グリーンピースは非暴力をしっかりと前提としているNGOです。テロ活動には真っ向から強く反対している団体です。

 例えば、WTOのシアトル閣僚会議で激しいデモが行われ、一部暴力的になったことがありました。その際も、以後このような暴力的な事態になる恐れのあるデモには参加しない旨決定しています。従って、いうまでもなく、シーシェパードとは一切関係なく、むしろシーシェパードのような暴力的に近いと思われかねない行動は一切しないこと、およびそのような誤解をうけかねないので、シーシェパードとは交流しないことを方針としてきています。

 この団体を管理するための基準の厳しさをグリーンピースは強くもっています。さもないと国際的な組織は管理できないからです。

 グリーンピースがシーシェパートと関係があると誤解し、かつ誤報を流しているのは、世界の中で日本だけ(鯨類研究所と政府関係者だけ)なのです。非常に残念なことです。

 グリーンピースが暴力的と日本で誤解されているのは、二つの理由があると思います。

 一つは、問題を単に論じるだけでなく、その「現場」に行って、その現場から世界へ報道するという手法をグリーンピースはとっていることです。そのため核実験があるとその現場に行き、捕鯨があるとその現場に近付いて報道する。それによって世界の人々は問題を気付いてくれるという手法です。その姿が、日本の人々には過激と感じるようです。この点は、国際赤十字から分離して設立された「国境なき医師団」も同様の姿勢/手法をとっていますが、日本ではどういう訳かグリーンピースだけが過激という国民感情を与えてしまっています。

 その理由が二つ目の理由となります。捕鯨との関係です。確かに捕鯨は日本人にとって戦後の食料難を救ってくれたこと、あるいは太地などの捕鯨の歴史など日本の文化や生活と非常に深い関係にあると思われてきました。その捕鯨に反対し、しかも捕鯨船を追跡してまで反対するグリーンピースは非常に過激という印象を与えたかもしれません。しかし、むしろ、それは日本の農水産省の意図的な広報によるものだったと思います。

 現在では、すでに鯨の肉を食べなければならないほど日本は食料不足の状況にはありません。鯨の数が少なくなってしまったため、太地など日本の沿海に鯨が来なくなり観光産業としても打撃を受けています。

 しかも、業界(水産業界)も捕鯨産業を持続しなれば生き残れないような状況ではなく、業界としてはむしろ捕鯨問題についてはすでに農水産省の面子を中心とする依怙地な姿勢に嫌気がさしており、捕鯨推進によって失う業界の国際協力姿勢へのダメッジの方が大きいと感じています。

 グリーンピースは、90年代後半から、他のNGOもそうですが、「協働戦略」を(パートナーシップ戦略)を強くとっており、成功してきています。

 協働戦略とは、政府や企業と対立するのではなく、協働して取組み、世の中(世界)を一緒によりよくして行こうという姿勢です。

 1993年に決定した2000年のシドニー・オリンピックは、グリーンピース・オーストラリアが中心となって、オーストラリア・オリンピック委員会と協働として、

 「グリーンゲーム」という環境対応型のオリンピックを造り上げました。1999年に国際オリンピック委員会は、環境問題については最初から環境NGOたちも参加した委員会を造り、環境ガイドラインを設定してオリンピックに取り組むという「グリーンゲーム」方式を、オリンピックの誘致条件にしました。その誘致条件による最初のオリンピック誘致が2008年の北京でした。北京も、この「最初からNGOも参加して環境対策を考える」という「グリーンゲーム」方式によって誘致に成功しました。中国にはすでに100万のNGOがあります。

 また、グリーンピースは企業との協働も推進してきました。1995年にロッヤルダッチ・シャルとグリーンピースとはブレンドスパー油井をめぐって紛争状態になりますが、その経験を経て、グリーンピースは「協働」戦略の必要性や意味を痛感していくことになりますが、このブレンドスパー事件を通じて、企業とNGOの協働関係が構築されていき、以後「CSR(企業の社会的責任)」という新しい経営システム論が急速に理論化され形成されていくことになります。

 現在のCSR論の形成は、グリーンピースと企業との協働が大きな意味をもって造り上げられてきたものです。

 その点で、グリーンピースは政府や企業と一緒になって世の中(世界)をよりよくして行こうという国際NGOの一つとなっており、今では世界の企業が競ってグリーンピースとの協働関係を造り上げてきています。

 しかし、残念ながら日本だけが世界の中の例外となっています。NGOと政府、NGOと企業は協働していく時代なのに、そのようにNGOは捉えられていません。その部分がまさに日本が世界から遅れている部分です。しかも、グリーンピースと御組合は、まさに国際的に見方同士であり、御組合の利益を守ることを共通の利益とする団体なのですが、日本ではそう思われていないようであることも実に残念です。

 どうか、グリーンピースの実態について、あらゆる角度からお調べいただき、グリーンピースの正しい実態を踏まえて、エスペランザ号の問題に対処していただきたいと思う次第です。

 どうか、日本政府とはいえ、一部の政府関係者の依怙地な面子や誤解や報道に惑わされることなく、事実を踏まえていただきたいと思う次第です。

 どうか、御組合のような国際的にも日本を代表する組合が、グリーンピースを誤解のままに、エスペランサ号の寄航を拒否する中心的役割を果たし、それが契機となって、日本が国際的な批判をうけることになることがないよう願う次第です。

 私たち日本人のNGO・NPOに対する理解の不足や偏見は、国際的にも残念なところです。

 今や、どの政府も、どの企業も、どの市民も、NGOとの協働によって、世界をよりよくしていくべく取り組んでいる時代です。

 以上申し述べた見解について、私自身が書いた論文などもありますので、お申しつけいただければお送りいたしますし、またいつでも喜んでご説明にお伺いいたします。

 どうか誤解によって、日本を世界の批判に晒すような事態だけは避けたいと思う次第です。そんな思いでこのメールをお送りいたす次第です。

 なお、冒頭に「エスペランサ号が日本での寄航に対して御組合が反対をしておられると聞き」と書きましたが、御組合に対して確認したわけではなく、これも私の早とちりかもしれません。そうなら赤面の至りです。このメールを通して、御組合のお考えを確認させていただければ幸甚に思います野で、御組合のお考えについてお教えいただければと思います。

 長い文章を読んでいただきありがとうございます。

 失礼いたします。

 長坂寿久 拝

(3)長坂が全日会員組合宛に送った 2 通目のメール( 3 月29日夜)

全日本海員組合
組合長 藤澤洋二様

 本日 (29 日 ) 昼間に、グリーンピースのエスペランサ号の件でメールを差し上げた長坂寿久です。

 その際にお伝えすることを忘れた点が一点あり、それをお知らせするためにもう一度メールを差し上げます。

 グリーンピースの活動手法は、テロ的 ( あるいは暴力的 ) なものでは全くなく、問題点について「現場」から世界に向かって報告する手法をとっていると申し上げました。

 この活動手法によって日本が大きなメリットを得た活動についてご報告することを忘れていました。

 以下の記事にありますように、ロシアが日本海に放射性 ( 核 ) 廃棄物を投棄していることをグリーンピースが「現場」から世界に向かって報告してくれたことによって、国際問題となり、以後投棄を阻止することができた事例です。

 写真はロシア海軍の放射性廃棄物投棄船 TNT-27 で、日本海周辺では判明しているだけでも、過去 220 回以上も核廃棄物を投棄していたそうです。グリーンピースがこれを世界に向かって報道してくれたのは1993年のことです。ニュースで覚えておいでかもしれません。

 日本政府もロシアが放射性廃棄物を日本海に投棄していることを非難してきました。しかし、ロシア政府を変えることはできませんでした。このグリーンピースの活動がなければ、今日もなお、ロシアは日本海で放射性廃棄物を投棄し続けていることでしよう。

 このように、グリーンピースは過去に日本ために非常に貢献してくれたのです。この過去の貢献のおかげで、日本海は現在汚れないでいるのです。

 このように、グリーンピースは、「現場」から報告するために現場に近付くことはありますが、決してテロ的 / 暴力的な行動をとるNGOではないのです。

 どうか、偏見に惑わされず、実態をよく調べていただき、真実のグリーンピースの姿を知っていただくべきかと思います。

 私が心配しているのは、エスペランサ号の寄航が拒否されることによって、日本が余計な国際批判に晒されることです。

 国際感覚をもっておられる海員組合の皆さんなら、その重要性はお分かりいただけると思います。

 お読みいただきありがとうございます。グリーンピースに限らず、世界のNGOの動きなどについてご説明が必要な場合はいつでも喜んで伺わせていただきます。

 エスペランサ号の寄航について、よきご判断をお願い申し上げます。

 長坂寿久

日本海への核廃棄物投棄を阻止( 1993 年)(グリーンピースHPから引用)

 旧ソ連の時代から、放射性廃棄物を海に投棄し続けてきたロシア海軍。その実態を追い続けてきたグリーンピースは、 1993 年 10 月、ついに投棄の現場を捕捉することに成功した。

 現場映像は衛星回線を通じて世界に配信され、各国に大きな衝撃を与えた。国際世論は核投棄の禁止を求めて沸騰し、ロシア海軍はついに投棄中止に追い込まれた。

 この約一ヶ月後、ロンドン条約(正式名称:廃棄物その他の物の投棄による海洋汚染の防止に関する条約)の締約国会議が開催された。
 世論の沸騰を背景とした各国代表団は、この会議で、核廃棄物の海洋投棄を全面禁止とすることに合意。日本政府も禁止決議案に賛成し * 、ついに、「放射性廃棄物の海洋投棄の国際的全面禁止」という歴史的決議が採択された。


 

グリーンピースが核廃棄物の海洋投棄に取り組み始めたのは、 1978 年。それ以来グリーンピースは、投棄を繰り返していた各国に抗議を繰り返し、投棄海域の実態を調査・告発するなどしてきた。
 ロンドン条約会議にも 1981 年以来オブザーバー参加し、精力的なロビー・ワークを展開してきた。
 そしてついに、グリーンピースの行動がきっかけとなって、わずか一ヶ月の間に、超大国ロシアの行動が変わり、次いで、国際規制も強化されるに至った。
 長年の地道な活動が結実した、劇的な一ヶ月間だった。
1978 年以来、グリーンピースはこの問題に取り組んできました。日本海への核廃棄物投棄についても、実態を告発する調査レポートなどを発表し続けてきました。
 しかし、その現場を映像で捉えることによって、初めて世論が動き、ロシア政府を中止に追い込み、国際規制も強化することができたのです。現場での行動がいかに重要かを教えてくれる、好例です。

[ グリーンピース・ジャパンの HP から引用 ]  


 

 



 

 

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