Vol.31 2006年10月10日号

「南」の世界拾い読み 第23回

 このコーナーは、主に南の国々(開発途上国)のメディアやNGO/NPOで流されている情報を中心に独断で選んで、そのサマリーをコメントをつけて紹介していきます。情報の詳細を知りたい場合は、併記のホームページにアクセスしてください。
  今回のテーマは‘年金'。日本でも年金の仕組みが問われる事件、また各種調査の発表などがなされています。南の国々では年金をめぐる問題はどうなっているのでしょうか。 (本田真智子  ( 特非 ) NPO研修・情報センター理事)

1. 私たちはリタイアのために貯蓄をしていない
Namibia : We Simply Not Saving for Retirement
http://allafrica.com/stories/200609190612.html

Windhoek (ナミビア) 2005年3月の公認退職資金の登録の統計によると、42万の経済活動人口のうち16万人が引退後のために何のたくわえもしていない。

 ナミビアの貯蓄率は毎年悪くなっている。1994年には家計収入の10.7%が貯蓄されていたが、2004年には3.2%に低下している。また、1080年には人々は65歳に退職し、13年から14年生きたが、利率16%の年金に対して、掛け金を払っていた。今後は約55歳で定年氏、28年の余生を送るが、年金の利率は8%となるだろう。

 人口や平均寿命は延びるが、インフレや経済の悪化などで、国が国民に支払う年金や、障害補助金の財政が逼迫している。個人が引退後の生活資金をためる必要性が高まっている。

( all Africa.com より)

 

2. 難しい年金制度改革
CHILE : Pension Reform to Combat Systemic Poverty
http://ipsnews.net/news.asp?idnews=34741

Santiago ( チリ )  20年で、チリの退職者は最小の年金給付金にさえ手が届かなくなるだろう。この問題の予測は、チリ政府に何らかのアクションを促すことになるが、それは年金制度の大改革である。このシステムは前の独裁政治によって1981年に整えられた私的な恩給制度で、世界的に賛美されたものだ。

 大統領の大臣のチームで、年金制度改革のための法案が作られ、議会に提案される準備が整っている。

 しかし、このチームで提出された法案は、社会状況を犠牲にし、年金制度のテクニックばかりにとらわれていると、市民団体に大きな非難を受けている。

 報告書によると、年金の継続のために、人口や男女不平等、高い運用などの適用の範囲が拡大され、不適とである。

 年金を受け取る人口が増え、また女性が年金資金へのアクセスが難しい中で、難しい年金システム改革が進められている。

( IPS Inter Press Service News Agency より)

 

3. 年金改革は女性を激しく攻撃する
LATIN AMERICA : Pension Reforms Hit Women Hard
http://www.ipsnews.net/africa/print.asp?idnews=26744

Santiago ( チリ ) ラテンアメリカで行われている年金制度改革は、ジェンダーに基づいた差別を深刻化させ、税制措置が採られなければ、女性の貧困や脆弱性をますますひどくすることになる。

近代化、自由市場などの新自由主義経済モデルの、ラテンアメリカにおける女性へのネガティブなインパクトの分析は、もっとも完全な年金システムのジェンダー差別に関する完全な研究である。

ラテンアメリカの年金制度改革はチリで1981年に始まり、1990年代に広がった。その目標は財政赤字の解消、米国ワシントンの国際金融機関によってかされた、社会サービスの縮小をすることであった。

女性の労働が家庭内労働であり、また低い収入でのインフォーマル・セクターの労働であり、年金基金への個人の積み立ての資金が難しい。受け取る年金の額は、どのくらいの年金資金を積み立てているかによるので、収入が少なく積み立てができない、または少なく女性は受け取る年金も少ない(または、ない)。また、女性のほうが長く生きる傾向にあり、貧困に拍車をかけている。特に、農村部に住んでいる女性にとって厳しい状況にある。

( IPS Inter Press Service News Agency より)

コメント つい忘れがちだが、南の国々に住む人たちも年金システムを持っている。企業や公務員などは一生働くわけではなく、引退して年金(恩給)で生活する。また、給与所得者や、銀行にアクセスできない人たちは一生働き、貧困の中で生を閉じる。

 私たちも年金制度の改革が大きな課題になっている。しかし、日本の場合は財源が少なくなっていること以上に、システムを運用している人たちの不正が目に付く。

 年金の問題は財源、運用システム、ジェンダー、貧困、社会の経済活動の環境など、様々な問題があぶりだされる。

 ここでは、年金基金を納めなければならないというシステムで、収入が男性より低く、家事労働に従事したり、インフォーマル・セクターで働いている女性は基金を納めることができない。また、女性の年金受け取り開始時期が遅かったり。年金に対して貧困層がアクセスできなかったり。そういうことが語られている。

 老後の生活は個人で賄うか、または一生働かなければいけないというのは、洋の東西または南北問わないかもしれない。しかし、社会保障のシステムとして国家を考えては意味がないということか。それならば、国家がある意味ってなんなのだろう?

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