IT技術を生かした社会参加  第13回 情報リテラシー                        

                          
池内健治(産能短大教授)

キーワード・・・ Web 、 Web2.0 、 Web1.0 、 Wikipedia 、はてな、 Google

Webの誕生
 Web の誕生を Wikipedia を参照して、簡単に復習してみよう。

 Web ( World Wide Web )は、ティム・バーナーズ=リーという研究者よって開発され、 Mosic というブラウザーの開発で爆発的に普及してきた。

 1990年11月12 日に、ヨーロッパ素粒子物理学研究所 (CERN) のティム・バーナーズ=リーは World Wide Web を具体的に示した提案書(注 :1 )を発表した。 1990年11月13 日からバーナーズ=リーはコンピュータへの実装が開始を開始し、最初の Web ページ(注: 2 )を NeXT ワークステーション上に置いた。

 注 :1 http://www.w3.org/Proposal

 注 :2http://www.w3.org/History/19921103-hypertext/hypertext/WWW/TheProject.html

 1992 年に、イリノイ大学の学生であったマーク・アンドリーセンたちが文字だけでなく画像なども扱える革新的なブラウザ「 Mosaic 」を開発。このソフトに改良を加えるために無料でソースコードを公開したために、 Mosaic はたちまち普及し、 WWW は誰でも手軽に使うことのできる世界的なメディアとなった。

 インターネットのサービスとしては、メール、ニューズ、 Gopher 、 Telnet 、 WWW などさまざまなサービスが提案されてきた。 WWW はハイパーテキストという仕組みを応用していて、文字や画像をクリックすると別の Web ページにつながる。そして、次の世界が広がる。このような仕組みと画像や音などの表現力から爆発的に普及し、インターネットの代名詞として WWW が語られるほどにユーザーが増えきた。

 この WWW が Web1.0 という世代から、 Web2.0 へと世代交代の時期を迎えているという考えが提示されている。

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2.Web1.0 から Web2.0 へ
 Tim O'Reilly は、従来のインターネットの世界を Web1.0 とよび、現在急速に普及しているモデルを Web2.0 と呼んでいる(注 :3 )。 Tim O'Reilly とは、コンピュータサイエンス関係の書籍の出版社の経営者であり、この世界のオピニオンリーダーの一人と目されている人物である。

 O'Reilly 社は、 2004年10月に第1回、 2005年10月に第2回の Web2.0 カンファランスという会議を開いて、新しい Web の時代に関する議論を展開した。 Web2.0のアイデアが提示されてきたのは、新しいサービスの出現に触発されたことによると、私は考える。たとえば、次のような新しいサービスがあげられる。

 ・前号で紹介したブログ

 ・ナップスターという個人間で音楽データ交換を行う仕組みを提供したソフト

 ・ Wikipedia というインターネット上で成長する百科事典

 ・ Flickr という写真にいくつかのタグというキーワードをつけておき、キーワード検索で写真を検索する仕組み

 彼の説によると、 Web1.0 は HTML という言語で書かれたあまり更新されない Web の世界であり、 Web2.0 は従来の Web より変化の激しいダイナミックな世界である。 Web1.0 の世界でも、ユーザーがホームページを開いて情報発信していたのだが、更新されない Web ページもたくさんあった。 Web2.0 では、ユーザーが簡単に情報発信したり、サービスに参画したりできる仕組みが提供されるようになる。

「 Web 2.0 Conference 」におけるミームマップ

ミーム:
遺伝子によらず、模倣によって人から人へと伝えらえる情報の単位。イギリスのオックスフォード大学の動物行動学者リチャード・ドーキンス (Richard Dawkins) が 1976 年に著した『利己的な遺伝子』 (The Selfish Gene) で提唱した言葉で、ギリシャ語の mimeme (模倣する)と gene (遺伝子)掛け合わせている。

 「プラットフォーム」としての仕組みを提供して、そこにさまざまなユーザーが参加する世界をイメージしているようだ。このコンセプトは議論の途中なので曖昧なところも多く、まだ固まった概念ではないが、 Web が新しい時代に入ろうとしていることを示唆する点で意味がある。

3.Web2.0 のサービス
 Briannica Online は Web1.0 の百科事典で、 Wikipedia は Web2.0 の百科事典。出版は Web1.0 で、参加は Web2.0 。個人の Web サイトが Web1.0 で、ブログが Web2.0 。といった例は直感的にあたっている印象がある。

 Web1.0 では、 IT企業はNetscapeやMicrosoft Office といったアプリケーションソフトウェアを普及させることに主眼をおいて競争をしてきた。ところが、 Web2.0 では、アプリケーションソフトからプラットフォームという仕組みを提示するように変化している。

 たとえば、 Wikipedia という百科事典は、誰でも関心のある単語を登録して、それに関する知見を書き込んでいける仕組みになっている。たとえば「ビー玉」や「かめはめ波」といった単語を調べることもできる。関心をもって書き込みをする人がいれば、百科事典の単語として登録できる。世界中の誰もが、書き手として参加できる百科事典なのだ。

 「はてな」も Web2.0 。「はてな」とは、質問者が掲示板スタイルで探しているホームページや知りたい情報のあるページを質問すると、ページ探しの得意な別の回答者が答えるサービス。さらに、「はてなダイアリー」というブログサービスや「はてなアンテナ」という自動巡回サービスなどに拡張している。ユーザー参加型のプラットフォームという点で Web2.0 のサービスといえる。

 このような世界を代表する企業が Google である。自分の近くのお店、自分の住む町の地図、知りたいニュース、世界のありとあらゆるものを検索できるプラットフォームを提供することを目指している。現に、 Google マップで私のマンションの写真を検索でき、通勤路にあるクリーニング屋、フラワーショップの名前まで Google ローカルにのっている。

 Google の提供するプラットフォームに既存の地図や情報がむすびつけられて、さまざまな形で提示される。 1 998年9 月にスタンフォード大学の大学院生 Larry Page 氏と Sergey Brin 氏が設立した会社のサービスに、私の家から歩いて数分のたった2名の工務店までのっている。

 こんな現実をみると、 Web2.0 ならずとも新しい WWW の時代に入ってきたというのが実感である。参加者がどんどん書き込みをして、そのネットワークが急速に進化していく世界。既存の情報をつなげて、新しいサービスが提供される世界。確かに、 WWW の世界がこれまでのホームページの集合という時代から「集合知の利用」や「参加のアーキテクチャ」といった時代に変化していることに眼を向けるべきだろう。

 最後に、先日逝去したピーター・ドラッカーの言葉をみたい。私たちが IT 革命のまっただ中にいるといい、その変化の渦中にある我々にはまだその変化がどのようなものか理解できないという意味のことを言っていた。彼は、 7000 年前の灌漑文明ですでに現在の主要な体制はできあがっていて、そのとき以来の大きな文明の変化に私たちが直面していると言う。 IT 革命は農業革命、産業革命に続く革命の時代ではなく、灌漑文明以来の大きな社会的・文化的イノベーションの時代なのだと語っている。

 彼の意見が正しいかどうか分からないが、 Web の利用形態の変化は大きな変化の一つの兆しかも知れない。とくに、知識をどのように使うかが大きな鍵を握っている点において、大きな転換点にあると私は考える。

参考になるサイト================================

Tim O'Reilly の論文
http://www.oreillynet.com/pub/a/oreilly/tim/news/2005/09/30/what-is-web-20.html

Tim O'Reilly の論文(日本語訳)
http://japan.cnet.com/column/web20/story/0 、 2000054679 、 20090039 、 00.htm

Web2.0 Conference のテーマ
■戦略テーマ: 「 Web はプラットフォームとなる」
■ ユーザーメッセージ: 「自分の情報は自分でコントロールする時代」
■ 競争要因:
−「サービス」 ・・パッケージソフトではなくウェブで提供される便益
−「参加型アーキテクチャ」 ・・ユーザを協力者にする構造
−「スケーラビリティ」 ・・規模拡大時のリソース対効果を最大化
−「所有データ」 ・・再構成可能なデータソースとその可変性
−「デバイスフリー」 ・・ PC ・モバイル・ TV ・ウェアラブル
−「群衆の叡智」 ・・集められたユーザー体験データは最大の武器

Web2.0 とは  7つの分類と MAP
http://ceonews.jp/archives/2005/10/web20_7map.html

Web 2.0 の主たる構成要素と代表的なサービスは以下の7分類
1. Folksonomy :
  階層分類学でなく、ユーザーの手で自由に分類する思想
  ・・・ Flickr 、 はてなブックマーク

2. Rich User Experiences :
AJAX 、 DHTML 、 Greasmonkey 等を駆使し、ページ上で直感的操作
  ・・・ Gmail 、 GoogleMap 、 goo 地図

3. User as contributor :
  ユーザー体験の蓄積をサービスに転化
  ・・・ PageRank 、 eBay のユーザ評価 、 Amazon レビュー

4. Long tail :
  ユーザーセルフサービスの提供でロングテールを取り込む
  ・・・ Google Adsense

5. Participation :
  ユーザー参加型開発、ユーザー生成コンテンツ
  ・・・ブログ 、 mixi

6. Radical Trust :
  進歩的性善説、知のオープンソース
  ・・・ Wikipedia 、はてなダイアリーキーワード

7. Radical Decentralization :
  進歩的分散志向、ネットワークの外部性
  ・・・ Winny 、 BitTrrent

Web2.0 時代に、ユーザーが経験しておくべき10のこと
http://www.heartlogic.jp/archives/2005/10/web2010.html

話題の次世代 Webサービス「Web2.0」っていったい何だ?
http://arena.nikkeibp.co.jp/col/20051108/114164/


 



 

 

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