「協働コーディネーター」の役割
これまでに、筆者が「協働コーディネーター」として関わった3つのプロジェクトについて、失敗例も含めて紹介した。前回のまとめに加えて、今回紹介した事例からも「協働コーディネーター」の役割を再度、整理してみたい。
<協働の場や体制づくり>
・課題に参画すべき人々を集め、協働の場を設置すること
・事業に関係する主体が関わる検討体制を整えること
・課題に関心のある人が参加しやすい方式をとること
<目的共有>
・参加者が目的を共有し、合意を得る手助けをすること
・協働の場における具体的な目標と活動内容を定めること
<プロセスデザイン>
・クリティカルパスを見極め、全体のスケジュールを組むこと
・事業の進捗にあわせて臨機応変にスケジュールを組みなおすこと
<検討の推進とネットワーク>
・必要な情報と合意形成に向けた選択肢を提示すること
・様々なツールを使い、専門用語を分かりやすく翻訳すること
・事業推進に必要な専門家を巻き込むこと
・言葉を形に昇華できるデザイナーとのネットワークを持つこと
・地域の様々な主体への働きかけによって賛同を得ること
<関係者の調整>
・課題に関する行政担当者・管理者との調整を行なうこと
・必要に応じて行政担当者や関係者を教育し、協働への理解を促すこと
・ハード整備を伴う場合は、施工業者との意思疎通を図ること
<市民活動のエンパワーメント>
・必要に応じて、参加の枠を広げ、イベントを開催すること
・パブリシティを利用した広報リリースを行なうこと
・必要な資金調達やそのためのアドバイスをすること
・維持管理の楽しいしかけづくりをすること
以上のような「協働コーディネーター」の役割は、文献でも学ぶことができるが、現実には、協働の原則やルールが理解されていない現場で、セオリー通りに事が運ぶことはむしろ稀なことである。それでも、「これは正しい協働の姿ではない」と嘆いたところで、実際のまちづくりは進んでいくわけで、その中では次のような役割や資質も必要になってくる。
<番外編>
・関係者の中で、発言力や影響力のあるキーパーソンを見極めること
・いわゆる地域の有力者への理解を得て、トップに話を持っていくこと
・原則論を振りかざすより、地域のやり方に従うこと
・地域の問題点に寄り添い、愚痴に耳を傾け、ともに悩むこと
七尾で取り組んできたまちづくりから、「協働コーディネーター」の役割とその重要性について、事例を紐解きながら検証してきた。今回までは「協働コーディネーター」の役割に焦点を当ててきたが、次回は、さらに事例の紹介を交えて、どのような主体が何のテーマでネットワークを組んでいるのかを整理し、多様な主体が関わるまちづくりの姿に、さらに迫っていきたい。 |