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スペインでは与党の社会労働党などの賛成多数で同性同士の結婚を認める法案を可決、成立した。欧州では同性カップルに法的保証を認める国や地域が多いが、男女間と区別することなく「婚姻」という形で完全に認めたのは、ベルギー、オランダに次いで3番目となった。
同性同士の結婚と聞いた時に、婚姻という法律の下での枠に入らない関係が築けるのに、わざわざ法律の下に入りたいという気持ちが理解できなかった。せっかく婚姻から自由な関係でいられるのに。
しかし、パートナーが入院した際に法的な保障がない関係では、医者と治療の相談ができないし、死んでも相手の葬式を行うことも、遺骨を受け取ることもできないということを聞き、法的な保障が必要な場合もあるのだと知った。最初に紹介したアルゼンチンの例でも分かるとおり、法律に保障された関係でないと遺産や扶養などの権利を得られないこともあるのだ。同性結婚が認められたスペインでは、同性カップルでも養子がもてる他、遺産相続や年金などでも異性カップルと同等の権利が認められるようになった。
一方、アムネスティのHPから紹介した通り、社会的な偏見により性的嗜好が生命の危機にまで及ぶ場合もある。性的嗜好、障害の有無、性別、国籍や民族によって差別されないというのは、基本的人権である。それは誰もが理解しているところであるが、当たり前に理解し、行動できる人はなかなか多くない。
アフリカの中のキリスト教者では、同性愛者の結婚はアフリカの問題ではなく、欧州などの先進国の問題だと声明を出している。そのため、実際にアフリカに存在している同性愛者、その活動家などが暴力を受けて、生命の危機に立たされている。
アジア各国でも同性愛者は多いが、一方で貧しさゆえに異性愛者であるが同性愛者に体を売る人もいる。
自分以外の人を尊重して、権利を認めるということをすることが、性的嗜好、障害の有無、性別、国籍や民族による差別がなくなる第一歩となるし、南北格差、世界の貧しさを是正することにつながるはずなのだが。 |