2.デジタルデータの量の基礎知識
書籍、音楽、映画などの動画の順にダウンロードが簡単で、商品取引がしやすくなる。ここで、それぞれに、どのぐらいの大きさなのかを考えてみたい。
コンピュータで情報をやりとりするときの最小単位をビットという。私たちが数字を使う場合、算用数字は0から9までの10種類の記号を使い、10で一桁上がる10進数を使っている。年は365日ごとに1年増える桁上がりをする、365進数。日は24時間で1日の桁上がりをする24進数といった具合。私たちは10進数以外にも、いろいろな数字の体系を使い分けている。そのため小学校で時間の計算や、日数計算などを練習したわけである。
コンピュータはとても単純で、1と0の2種類を使った2進数で計算をしている。その最小単位を1ビットという。0、次に大きな数が1、次が10、その次が11、100、101・・・というように、使えるのは1と0。2以上の数字を使わない方式である。1ビットでは1と0の2種類、2ビットでは、00、01、10、11の4種類、3ビットで8(2の3乗)、4ビットで16(2の4乗)というように、ビット数が大きくなるに従ってたくさんの種類の記号を示すことができる。
8ビット (2 の8乗=256種類) あれば半角英数文字のすべてに対応させることができる。 そのため8ビット( bit ) を1バイト (byte)とよんでいる。「ビットとバイト」よく似ているのでご注意を! アルファベットで1文字を8ビットで示すことが出来るので、データ量を示す場合1バイトを基本単位に使っている。1バイトというのは、半角英数1文字と理解しておくとよい。漢字やひらがななど日本語の文字は種類が多いので、半角2文字分で1文字を表している。
128MB(メガバイト)のUSBメモリーには、漢字で64,000,000字(6千4百万字)。A4用紙は、1行半角40文字、38行で1,520字が入る。換算すると、小さなUSBメモリーにA4用紙42,000枚の情報を記録することができることになる。上質紙が0.07mm程度なのでA4用紙を積み上げると約3メートルの高さになる量である。
テキストファイルという、文字だけを記録する方式で書籍を記録する。この場合、夏目漱石の『明暗』は、 727KB(キロバイト)。漢字で36,3500文字。『吾輩は猫である』が731KB。芥川龍之介の『羅生門』は14KBである。夏目漱石全集全11巻はフロッピーディスクで5〜6枚のデータ量である。
ブロードバンドでは、実効速度が 20Mbps(メガ・ビット・パー・セコンド)。この転送速度は1秒間20メガビット、1秒間2.5MB(メガバイト)、でデータを転送できる。夏目漱石全集全11巻(731KB×11=8MB)を約3秒程度でダウンロードできることになる。
音楽ファイルは、 120bpsという圧縮比で記録すると3分間の曲は約2.7MBのデータ量。『吾輩は猫である』が3.8冊分に相当する。3曲で夏目漱石全集全11巻の量にあたる。デジタルデータにしてしまうと、いかに書籍が小さいデータ量であるわかるであろう。
同様に、映画やテレビ番組の動画ではどうだろう。 MPEG2という規格(DVDに相当する圧縮率)で記録すると、60分番組が約2.33GB(ギガバイト)。3分間の音楽860曲分に相当する。夏目漱石全集全11巻で30万セットにあたる。このように、デジタルデータに換算すると、たかだか60分のテレビ番組でも文字データと比較すると、転送するデータが大きいことに驚く。
現在、所沢の自宅で原稿を書いているが、BフレッツというNTT光ブロードバンドでは最大 100Mbps。通信速度を測定した実効速度で16.83Mbps程度である。60分番組でも18〜19分程度でダウンロードできる時代になったわけである。
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