「南」の世界拾い読み 第14

 このコーナーは、南の国々(開発途上国)のメディアやNGO/NPOで流されている情報を中心に独断で選んで、そのサマリーをコメントをつけて紹介していきます。情報の詳細を知りたい場合は、併記のホームページにアクセスしてください。
  3月11日に閉幕した、女性会議 ( 北京 + 10 ) についての情報を紹介していく。スマトラ沖大地震での人身売買や復興と女性の問題など、災害が起こった際にさらに困窮する女性たちを救うには、平常時からの平等なシステムの構築が必要なのではないだろうか。また、軍隊による性暴力の問題も深刻だ。 (本田真智子 常務理事)

キーワード・・・  ジェンダー、差別、性的虐待

1. RIGHTS: World's Women Stand Together for Equality
http://www.ipsnews.net/new_nota.asp?idnews=27840

国連 3月11日に第5回世界女性会議は閉幕した。2週間のセッションでは、過去10年間のジェンダー差別解消に向けた取り組みを検証した。そして、10年前に北京会議で採択された女性のためのアドバンスゴールの再宣言がなされた。北京でなされたコミットメントには、抑圧と差別と暴力からセクシャリティの自由をコントロールすることが女性の権利であることや、国際法が男女に等しく適用されることを含んでいる。世界銃の国々の政府がそれを最宣言したことは重要なことであるが、それらの政府が女性の日々の生活の改善を目指した具体的なアクションをとらなければ、これらのコミットメントは単なる空約束になるだろう。9月の女性のステイタスに関する国連委員会で、コミットメントの実行に向けたさらなる要求がされるならば、これらは国連のハイレベル ミレニアムレビューになる可能性がある。
( IPS “ INTER PRESS SERVICE NEWS AGENCY ” より)

2. International Women's Tribune Centre reports on new resolutions passed at Beijing +10
http://www.civicus.org/new/content/InternationalWomen.htm

国連 北京 + 10として知られている女性の地位に関する国連委員会 (CSW) の第49セッション ( 2005 年 2 月 28 日〜 3 月 11 日 ) で、北京会議から繰り越された決議に加え、新しい 6 つの決議が採択された。しかし、いくつかの決議は一致に達することなく投票となった。新しい決議には、‘国策とプログラムにジェンダーの考えを取り入れることを主流にしていく'‘人身売買の需要の縮小'‘女性の経済的前進'などがある。
( CIVICUS: World Alliance for Citizen Participation “ CIVIL SOCIETY NEWS ” より)

3. Kenya's Samburu Women Take British Military to the UN Over Rape Cases
http://allafrica.com/stories/200503300077.html

Nairobi( ケニア )  ケニアのサンブルの女性は15年前に地域に駐留している英国陸軍によってレイプされたと訴えていたが、ケニアの人権問題に世界の注目を集めるために、この問題を国連に訴えた。女性はケニアと英国の両政府が英国陸軍による現地女性のレイプ問題に対して取り組まないと、国連で行われていた女性会議 ( 北京 + 10 ) で公正を求めるために、オプションのプロトコルを起動させると語った。
 ケニアの代表団は国連の女性の地位に関する委員会によって組織された会合で、他の60の先住民の女性のグループと共同し、女性に対する性暴行の問題を至急扱ってくれるように、全ての政府に訴えた。
 ケニアの地域では400人の女性がレイプされているが、ケニア、英国両政府ともに問題を扱わなかった。英国軍が駐留している地域では、レイプだけでなく事故も起きている。また、国連軍としてブルーヘルメットをかぶる軍隊の性的虐待の問題もある。
( all Africa .com “ The East African (Nairobi) ” より)

コメント  2月28日から3月11日まで国連本部で開催された女性会議は、1995年に北京で開催された第4回世界女性会議の次の会議として位置付けられるはずだったので、「北京 + 10」と呼ばれているが、第5回世界女性会議としているところと、女性の地位に関する国連委員会第49回セッションとしている報道がある。女性会議の位置付けが、一段低いものになった感は否めない。この間、どういった政治的なやり取りがあったのか推測するしかない。

会議の報告は国連のWEBなどでも見ることができる。しかし、どんなにいい決議をしても当たり前だが、実行が伴わなければ絵に描いたもちというか、空手形でしかない。各国政府にどのように実行させるのか、市民社会の力量が問われる。

ケニア駐留の英国軍の現地女性のレイプや、事故の件などは、どこの国でも駐留外国軍を抱える地域が抱えている問題だ。内戦に介入し平和をもたらしてくれると期待される国連平和維持軍でさえ、地域住民に性的虐待を加える事が大きな問題になっている。性的虐待を軍隊が行うということは、軍隊の本質に関わるものなのではないだろうか。

▲ページトップへ
 

 

 



〒160-0014 東京都新宿区内藤町1-6  御苑ハイツ305 IAVE日本内
TEL:03-5363-9016 FAX:03-5363-9026
E-mail:ticn@mui.biglobe.ne.jp

©2004 NPO Training and Resource Center All Right reserved