「南」の世界拾い読み 第12回

 このコーナーは、南の国々(開発途上国)のメディアやNGO/NPOで流されている情報を中心に独断で選んで、そのサマリーをコメントをつけて紹介していきます。情報の詳細を知りたい場合は、併記のホームページにアクセスしてください。
 2005年は国連による国際マイクロ・クレジット年ということで、今回はマイクロ・クレジット関係の報道を紹介していく。(本田真智子 常務理事)
※マイクロ・クレジットとは、貧困者に、自活のための経済活動の元手となる少額資金を無担保で貸し付けるものである

キーワード・・・ マイクロ・クレジット、開発ツールの一つ、 地域に合わせ地域の人の声を聞いた開発

1. Micro-Credits May Make Macro-Difference
http://allafrica.com/stories/200501070462.html

Yaounde (カメルーン) 貧困開発の主要な方法のひとつであるマイクロ・クレジットに対する、世界的なキャンペーンがピークに達している。2000年に開催された国連ミレニアム・サミットにおいて参加した180人を超える世界のリーダーによって同意された、ミレニアム開発ゴールにおいて、2015年には1日あたり1ドル未満で生活する人の数を半分にすると設定した。発表されたマイクロ・クレジットの報告書によると、昨年最も貧しい人々の5400万人以上、その81%は女性であるが、小さなローンを受けて小商いを始めている。米国にベースがある NGO リザルト教育基金では、05年末までには、1億家族がマイクロ・クレジットを利用できるように計画している。米国や世界銀行、 UNDP ( 国連開発計画 ) などはマイクロ・クレジットへの投資を呼びかけ、貧困の中で暮らす人々がマイクロ・クレジットを利用することで、貧困から脱出することをすすめなければならない。
( all Africa .com  より)

2. WORLD SOCIAL FORUM: Delhi Youngsters Bank Way Out of Trouble
http://ipsnews.net/interna.asp?idnews=27169

New Delhi (インド) 世界社会フォーラム ( ブラジルのポルトアレグレで開催された ) で紹介された、開発の取り組みの成功例のひとつである。ニュー・デリーの子ども開発銀行には、多くのホームレスでストリートで働く子供たちがその日の稼ぎを貯蓄している。彼らは、この銀行で貯蓄することは、いつの日か自分で小さなビジネスを始めるか、専門的技術を身につけることが出来、恐ろしい貧困の状況から出られる可能性をあらわしている。子ども開発銀行の1300人の子供たちは、自分たちがルールをつくる。ローンの申し出を審査するローン委員会にはメンバーによって選ばれた12歳から18歳までの9人の子どもも入っている。子供たちは銀行に対してオーナーシップを持っている。多くの子どもたちはビデオカセットを借りるビジネスをはじめるか、手押し車を買い小商いを始めたいとしている。また、ローンを借りる有資格者になるためには最低6ヶ月間貯金をしなければならない。
デリーだけで約40万人のストリートチルドレンがいると推測される。マイクロ・クレジットがストリートチルドレンが直面する根本的な問題を解決することが出来るかは疑問である。
ドナーや主張者は重要な構造の問題を無視しているときには、マイクロ・エンタープライズ・クレジット及び関連の援助の力を誇張する。
( IPS “ INTER PRESS SERVICE NEWS AGENCY ” より)

3. Microfinance is now more than microcredit in developing countries, World Bank says
http://www0.un.org/apps/news/story.asp?NewsID=13116&Cr=microfinance&Cr1=

UN 世界銀行の役員によると数十年前、貧困層への単なる小口金融としてスタートした金融制度が、今はクレジットカードを発行するなど、さまざまな小規模なサービス提供するようになった。
貧しい人たちはローンに加え、借りたお金を安全に保管する場所も必要である。また、紙袋に入れられたお金がバスなど運ばれるので、安全に運ぶ方法も必要としている。開発途上国の貯蓄銀行や郵便局銀行は約7億5000の取引がある、時には損失を作っているが、全国的なインフラを持っている。これらの国々の銀行や郵便局は金融政策世予備銀行業務の中心の位置をとるべきであり、改革をし、貧しい人々を顧客として巻き込むべきである。50の国で政府または中央銀行が小規模融資機関のための政策を図っており、1ダースの金融機関がそれを評価しているという。1ダースの国の小規模融資機関がビザとマスターカードを出しており、国政的なATMネットワークを使用しているところもある。
( UN News Service  より)

コメント  今年は国際マイクロ・クレジット年だという。マイクロ・クレジットは開発のツールのひとつではあるが、それが打ち出の小槌ではないという自覚が必要である。マイクロ・クレジットがすべてを解決するわけではない。むしろ、ニュー・デリーからのニュースにあるように、問題の根本的な解決、社会システムの再構築から目をそらすために使われる場合もあるのかもしれない。

 今回マイクロ・クレジットの記事を紹介するにあたって、私と一緒にアフリカ関係のNGOを運営している友人たちと話をした。一人は西アフリカの村での調査をするなかで、マイクロ・クレジットの導入によって、それまでそこにあった自給自足の生活が破壊されてしまったこと、換金作物 ( 例えば綿花 ) づくりに追われてしまい、お金を返さなければならないのでそれをやめるわけにはいけない状況になっているという話。お金を返すために、結局他から借りて返しているような、ローン地獄に陥っている人も出てきていることなどの話をしてくれた。もう一人は、インフレがすごいジンバブウェではマイクロ・クレジットを行なう団体がインフレによって貸し続けていかないといけない状況に陥ってしまっているという。

 私たちが話をしている中で、マイクロ・クレジットを全面否定はしないが、どこでも使える万能な開発ツールではないということ。マイクロ・クレジットの成果が返済率で測られるが、本来はその地域の人たちの生活がどのくらい向上したかで測られるべきではないのか。地域の状況が異なる中で、その地域にあった開発の手法を地域の人たちと一緒に開発していくことが大切だということ。他の地域で成功した手法を導入する前に、その地域の人たちの力量形成が優先されるということ。開発は地域の人の声を聞きながら進めるべきであって、開発が国際機関で働く人たちの職として彼らの意思で持って左右されてはならないということなどの意見が出てきた。

 貧困に苦しむ人たちが、小規模金融によって自立どころか、返済に苦しめられることのないように、社会システムの改革も必要なのではないだろうか。

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