「南」の世界拾い読み 第11回

このコーナーは、南の国々(開発途上国)のメディアやNGO/NPOで流されている情報を中心に独断で選んで、そのサマリーを紹介し、最後にまとめてコメントしていきます。情報の詳細を知りたい場合は、併記のホームページにアクセスしてください。
 今回は2004年12月26日にインドネシア、スマトラ島沖で発生した地震によって引き起こされた津波被害についての報道を紹介していく。(本田真智子 常務理事 )

キーワード   津波、救援活動、大規模な災害、子供の売買

 

1. Tidal Wave Kills Two in Malindi As Quake Effects Hit Kenyan Coastline
http://allafrica.com/stories/200412300775.html
Nairobi (ケニア)2004年12月26日

 アフリカの角からタンザニアから南へ、広くアフリカ東海岸ではインドネシアスマトラ島で起こった地震による津波に襲われた。ケニア政府は津波の被害を防ぐために、1000キロに渡る海岸線沿いに住む人々、ホテル、外食産業協会等に警告を出した。しかし、マリンディ(ケニアの海岸部の町)では2人が水泳中に津波に襲われて死亡している。観光地であるモンバサとその周辺では何百人もの外国人観光客が滞在しているが、自身による津波の影響で閉鎖している。津波は突然襲ってくるために、ケニア政府関係機関は緊急体制を敷いて、海岸線の封鎖や警報発令、野生生物の保護などを行っている。
( all Africa .com  より)

2. Biggest Relief Operation Underway for Tsunami-Hit Areas
http://ipsnews.net/interna.asp?idnews=26849
Bangkok (タイ)2004年12月29日

 巨大地震による津波に襲われたアジアで、世界でかつてないほどの大規模な人道主義による救援活動が、各国の軍隊を中心にして行われている。日本政府は津波による行方不明者の捜索のために海上自衛隊を派遣した。580人の海上自衛隊による創作活動をどのくらい継続するか、今のところ明言されていない。また、580人の海上自衛隊は15000人のグアムや香港から派遣された米軍に加わる。国連機関は被害者に対して清潔な水や医療の緊急支援を行っている。国際赤十字社・赤新月社連盟協会(IFRC)はこれまでの活動の中でかってないくらい大規模な災害の中で、必要とされる支援と実際に出来る支援の間に大きなギャップがあると訴えている。各国、オックスファム、ユニセフなどのNGO、国際機関等も支援を行っているが、これから起こると予想される伝染病などの懸念が広がっている。
( IPS “ INTER PRESS SERVICE NEWS AGENCY ” より)

3. TSUNAMI IMPACT:Aceh Children Becoming Vulnerable to Traffickers
http://ipsnews.net/interna.asp?idnews=26912
Jakarta (インドネシア) 2005年1月5日

 インドネシアのファーストレディは津波によって良心をなくしたアチェ州の13歳の少年を養子にすると発表した後、彼の姉が現れ、唯一の残った身内である彼を返してほしい、母親代わりになって養育する、と訴えたためにファーストレディの計画は実現しなかった。また、この表明は賞賛よりも、批判のほうを多く浴びた。批判をした市民はアチェ州の子供たちが売買されていると懸念したからだ。
 ユニセフによれば、インドネシアでは毎年約10万人の子供及び女性が、貧困や若い人たちの経済的出世のチャンス不足、性労働、安い労働、法規制がなかなかされない、腐敗などの理由により売買されている。
 支援期間によると、アチェ州の10から30万人の子供たちが津波の被害から生き残ったが、親を失い孤児になったか、他の家族や地元から離れ離れになっている。アチーの難民が、人身売買目的の何人かに親がいなくなった子供を買いたい、ジャカルタに連れて行って売りたいといわれたと語った。NGOによると、少なくとも20人の子供たちが津波の後にこっそりとアチェ州より連れ去られたという。
 子供売買を防ぐために、アチェから子供を連れ出さない命令が出ているが、一方でこの命令に対して、子供の精神的な成長のためにはアチェ州を去る権利も認められるべきであると主張する人もいる。
( IPS “ INTER PRESS SERVICE NEWS AGENCY ” より)

コメント  インドネシア、スマトラ沖大震災によって16万5000人が死亡した(1月7日現在)。災害状況が明らかになるにしたがって、死亡者数が増えていくことに胸が痛む。インドネシアでは11万3306人が死亡している。この未曾有の災害に世界各国及び各国際機関、NGO等が支援を始め、国連が主導で支援の枠組みが出来上がった。

 今回紹介した記事は、津波の被害があったが日本ではあまり取り上げられていないケニアでの地震当日の状況、タイでの国際的な支援活動の様子、インドネシアでの被災者(孤児)にさらに降りかかる不幸。
 特に、注目してもらいたいのは、インドネシアで被災地アチェ州で被災し孤児になったり家族とはぐれた子供たちが今度は国際的な人身売買の被害にあっているというものである。弱いもの、苦境にある人たちをさらに痛めつける人の行いに、私たちはどのように対応したら言いのだろうか。
  インドネシアのアチェ州は 70 年代半ばから内戦がつづいており、インドネシア国軍が駐留し、開発も困難な地域だ。 だからこそ、11万人以上もの人々が死亡するような状況になるのだ。災害があったときに、被害を最小限に抑えるには、人々にとって住みやすい地域、人権が保障される地域づくりではないだろうか。

 ちなみに以下のURLで『55 , 000人の死 米国の役割:世界的規模の犯罪的怠慢 戦争政策の犠牲者 怠慢、企業の貪欲 国際行動センター声明(翻訳・山崎久隆 TUP)』が読める。 ここでは津波の発生が予想されながらも、米国が適切に警告を発しなかったことの犯罪性を問うている。
http://groups.yahoo.co.jp/group/TUP-Bulletin/message/464

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