1.三位一体改革とは
無駄な公共事業をやめること、そのためには住民に身近な自治体の決定権を強めようという改革である。
@国から地方自治体への補助金を減らす A見返りに、地方が自由に使える税源(税金による財源)を国から地方に移す B財源不足を穴埋めするために国が地方に分配している地方交付税のあり方を見直す・・・という3つの改革を一度に行おうとするものだ。
財政的には、国税で賄っている国から地方への補助・負担金を廃止し、その分を地方税として自治体に税源移譲する仕組みだ。地方が自主的に住民から集めたお金で仕事をするように変われば、受益と負担の関係が明確になり、住民が監視しやすくなる。
では、なぜ無駄な公共事業が行われてきたのだろうか!
国の地方向け補助金には細かい基準や条件があり、地方自治体が自由には使えない仕組みになっている。しかし、地方自治体にとって補助事業を採用すれば財源の数割が国からもらえる。残りのお金さえ調達できれば事業が実施できるので、地域の必要性は二の次で安易に採用してしまい、必要以上にりっぱな道路や施設を造ることになり、結果として税金の無駄使いになるというわけだ。
補助金をもらえば得をしたように思っているが、国の補助金といっても、もとは税金である。補助金に頼って無駄な公共事業をやっては、実は借金を増やす構造になっている。
国の補助金を地方自治体の税源に切り替えれば、地方自治体は独自の判断に基づいて、地方自治体の費用で、その地域に本当に必要な行政サービスができるようになる。国から補助金をもらうために、中央省庁の言いなりになる必要もなくなる
しかし、その反面、地方自治体ごとに教育や福祉などの水準に格差が生まれる恐れがある。この改革の行方次第で、住民の暮らしは大きく変わることになる。
2. 補助金削減への各省庁、官僚の抵抗
補助金を通じて地方自治体をコントロールしてきた各省庁やいわゆる族議員は地方自治体への影響力を保つため、なるべく補助金を温存したい。
補助事業をどの地方で実施するか、規模をどのくらいにするか、優先順位をどうするかといった権限は官僚が握ってきた。補助金が廃止されればその影響力がなくなる。さらに省庁間の省益争いが絡んで、抵抗勢力が大きくなっているというわけだ。
各省庁は「国の責任」「行政の統一性」を主張しているが地方分権は散々議論し、2000年の地方分権一括法の施行で決着済みの話である。各省庁の主張はいまさら持ち出す話ではない。
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