3. Perilous Crop Uniformity
http://www.ipsnews.net/interna.asp?idnews=25887
Rio De Janeiro (ブラジル)
1846年から1850年のアイルランドのジャガイモのブラント疾病による飢きんは、当時食糧のほとんどをジャガイモに頼っていた人々を植えさせ、多くの人をアメリカへの移住へと駆り立てた。世界が生物の多様性を破壊し続けると、飢きんは人間が直面する大きな危機の一つとなる。その一つの例がアイルランドのジャガイモ飢きんである。国連食糧農業機関( FAO )による10月16日の世界食料の日の今年のテーマは「食料安全保障のための生物多様性」である。
過去5世紀に人類は「遺伝子侵食」と言われる、食物の多様性を放棄し、均質の食料の生産へと流れていっている。歴史を通じて、人類が食物としてまたは飼料として生産した種は約1万種類であったが、最近は約150種類の種しかつくられていない。
ジャガイモが南米のアンデスが原産地であるのに「ポテト」と英語名で世界に流通している。多くの種が熱帯に属する貧しい国々が原産であるが、それが海外に持ち出されて権利をよその国が取るような状況にもなっている。それらの種の帰属をめぐっての裁判も起こされる状況となっている。
コメント
生物、遺伝子多様性は人類の未来にとって大切な安全保障であるが、現在その多様性がなくなり、少数の植物に頼ることで、生存の渕を自ら歩いているといっていいかもしれない。また、遺伝子組み換え作物の作付けが進むことは、生物多様性の面に置いても、また経済の支配構造においても決して人々の未来を明るくするものではない。
私の支援するジンバブウェ南部の地域では、ヨハネスブルグサミットに参加して他の国の農民と交流した人々が、これまでのFI種のメイズだけでなく、自家採取できるOPV種のメイズも生産しようという試みが始まっている。
食料を経済の指標ではなく、生存に必要不可欠なものであると考える世界の多くの農民が生物や遺伝子の多様性を重視し、遺伝子組み換え作物にノーといい、自分たちで種を管理しようという動きを少しずつはじめている。それはもちろん日本国内でも始まっている動きだ。
( IPS “ INTER PRESS SERVICE NEWS AGENCY ” より) |