南の世界拾い読み 第8回
このコーナーは、南の国々(発展途上国)のメディアやNGO/NPOで流されている情報を独断で選んで、そのサマリーをコメントをつけて紹介していきます。情報の詳細を知りたい場合は、併記のホームページにアクセスしてくださいね。(本田真智子 常務理事)
 

1.Telemedicine Brings Care to Indigenous Peoples
http://www.ipsnews.net/interna.asp?idnews=25485
Banlung(カンボジア)

カンボジアには多くの少数民族が住んでいるが、特に北東部の森林の囲まれた高地に住んでいる少数民族は、健康問題を抱えていた。マラリア、下痢、急逝の呼吸器景の伝染病、結核、寄生虫などが大きな健康問題になっているが、それらは現在では治療可能である。しかし、住んでいる地域が首都であるプノンペンから離れており、経済的にも貧しい地域であるために、医療に対するアクセスがかなわないできた。しかし、IT技術の発達により、通信による遠隔医療が可能となったために、インターネットを使った検査や医療ケアの指示を受けられるようになった。ただし、この技術も緊急医療には使えないために、緊急事態で命を落としている住民はかわらない。

コメント 
東京に住んでいると、医療のアクセスに対する問題がいまいち想像できない。ただ、日本でも地方の山村や島などに住んでいる人たちは、医療のアクセスが未だに大きな問題になっているようだ。カンボジアでは、地方特にベトナムとの国境地帯に住む少数民族の医療問題の解決に、IT技術を使っているというのは、驚きだ。発展途上国に旅行すると、日本と違って携帯電話やパソコンを使った通信が意外にすすんでいるのに驚かされる。それは、インフラ整備が進んでいないという一面でもあるのだが。ITに頼りすぎるのは良くないとは思うし万能でもないが、その一方で今まで医療になかなかアクセスできず、本当なら治療可能な病気で命を落とす人がIT技術のおかげで命拾いをするということは、まさしく天恵と思わずにはいられない。
 (IPS " INTER PRESS SERVICE NEWS AGENCY" より)
  

2.Good government, Zapatista-style
http://www.latinamericapress.org/Article.asp?lanCode=1&artCode=3922
Chiapas(メキシコ)

サパティスタは自治を構築し、チアパスの良い政府をすすめる。
サパティスタがつくったカラコル、すなわち五つの善き統治評議会(JBG)と自治協議会の発足の一周年記念行事が、8月にチアパス地方で行われた。JBGは地方自治をドラマチックに構築し、すすめた。JBGの良い統治を支えているのは、有機栽培のコーヒーで、これらは世界各地の様々な団体にフェアトレードとして輸出されていく。収益はチアパスのジャングルのインフラ整備に投資され、最近は50の学校を建てた。JBGは健康、教育、住宅、地域に役立つ農業と構成な業務の監視を行っているが、それは連邦政府のような方法ではなく、そこに住む先住民の伝統、文化、管理の慣習などによっている。JBGは新しい自立的な地方自治のあり方を提示している。 

コメント
メキシコのチアパス州のサパティスタというと、反政府組織といわれるサパティスタ民族解放軍(EZLN)である。しかし、日本でもEZLNを支援する団体があるし、フェアトレードでチアパスのコーヒーは世界中に、その主張とともに流通している。メキシコをスペインが植民地にする以前から住んでいた人たちが、自分たちの生活、文化、主権を主張しているのだ。そして、彼らが自治をすすめると、中央政府よりも近い関係にあるため住民を第一の考えた政策を行っていく。JBGの自治のすすめ方に、地方自治の本質的なあり方が存在しているのではないかと、そう思える記事だ。もっとJBGの情報を集めてみよう。
(Latinamerica Pressより)
  

3.Zim Life Expectancy Plunges to 33 Years
http://allafrica.com/stories/200409230120.html
Harare(ジンバブウェ)

国連開発計画(UNDP)の報告書によると、HIV/AIDSの大流行によりジンバブウェの平均寿命は43歳から33.9歳に急降下した。ジンバブウェは15から49歳の年齢集団の24.6%がHIV/AIDSに苦しんでおり、HIV/AIDSが大流行している国の一つに上げられている。人間の開発の基礎的な要素である、平均寿命、識字能力、適正な生活水準へのアクセスをもとにした、人間の貧困インデックス(HDI)では、下位に分けられた95の国の一つである。このような危機的な貧困は、孤児を増やし、犯罪率を引き上げる原因にもなっている。
ジンバブウェの人口は1280万人だった2002年から2015年には1300万人に達すると予測されるが、そのうち65歳以上の人口割合は4.2%の割合でしかないことを、予測されているという。

コメント 
ジンバブウェの平均寿命が33.9歳である。その前でも、43歳でしかなかったという。平均寿命が短く、経済的に不安な社会というのは、人々が刹那的に行き、犯罪が増えてもしかたがないのだろう。アフリカの各国の平均寿命はHIV/AIDSによって大分下がった。まず、自分の人生から創造してみよう。自分が34歳で、HIV/AIDSによって死ぬとなったら、どう生きるだろう。本も新聞も読めず、名前も書けなかったら、毎日お風呂に入るどころか、飲み水にも事欠く生活だったら・・・それでもミッションを持って社会的な活動をするだけの精神的強さが自分はもてるだろうか。

毎回毎回、ここではHIV/AIDSと生きる、闘う、苦しむ人たちの記事を紹介しているのは、少しでもいいから世界のHIV/AIDSの闘いを知って、サポートして欲しいからだ。HIV/AIDSはアフリカや東南アジア、南アジアの人たちだけの問題ではないのだし。
 (all Africa.com より)
  

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