3.日米エコ・コミュニティ・レストラン協働プロジェクトの目的
バークレーは、1970年代のフリースピーチ・ムーブメント(言論自由化運動)の発祥の地であり、カリフォルニア大学バークレー校で知られる学園都市ある。多くの人は、バークレーというと、豊かできれいな街のイメージを思い浮かべるだろう。しかし他方では、低所得者が多くすむ地域には商店が少なく、場所によっては自宅から歩いていける範囲にスーパーがなかったり、スーパーまで行く交通手段(たとえば車を持てるほど家計に余裕がない場合)がなかったりという環境だ。
エコロジーセンターは、バークレー・ファーマーズ・マーケットや、ファームフレッシュ・チョイスというプロジェクトを通じて、地域の人々のフードアクセスを改善してく役割も担っているといえる。とくに、バークレー・ファーマーズ・マーケットは、農産物直売所としての機能の他にも、ファミリーファーム(小規模農家)を支援する機能や、地域に根ざしたコミュニティとして人々が集まる憩いの空間提供の機能を持ち、毎週多くの人が訪れている。
TRCは、1998年から日本国内を中心にコミレスのコンセプトの普及啓発活動、そしてコミレスを起業運営できる人材を養成してきた。今回の日米NPO協働プロジェクトを通じて、日本のコミレスを米国に発信し、地域の問題解決にむけて柔軟に対応できるコミレスの汎用性をさぐる。
このような背景を踏まえて、日米エコ・コミュニティ・レストラン協働プロジェクトは、次の5つの目的を持って実施した。 (1)
日本からはコミュニティ・エンパワーメントとしてのNPOによるエコレス運営のノウハウを、米国からはファーマーズ・マーケットをNPOが運営するノウハウを交換し、互いに学び、日米のNPOが協力して"食を"テーマにしたコミュニティ・エンパワーメントを推進するプログラムを開発する。 (2)
日本からエコ・コミレスの必要性、有効性を米国に提案し、エコ・コミレスのコンセプトの社会化をはかる。
(3) 食を"テーマにしたコミュニティ・エンパワーメントにむけて市民の意識形成や活動づくりにつながる具体的な場としてエコ・コミレスが機能するよう、エコ・コミレスをNPOとして起業運営できる人材の発掘と養成のきっかけづくりをする。
(4)
日米NPO団体の交流を通して、多様な市民の参加とNPOや地域団体(農業、商業等)、行政等とのネットワーキングのきっかけづくりをする。 (5)
日本でエコ・コミレスフォーラムを開催し、本プロジェクトが日米NPO協働モデルとして活用できるよう情報発信し、成果を社会化する。
これらの目標に基づき、2003年に日本と米国にて、「コミュニティ・レストランワークショップ」、日本にて、「エコ・コミュニティ・レストラン公開フォーラム」を実施した。
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