南の世界拾い読み 第7回
このコーナーは、南の国々(発展途上国)のメディアやNGO/NPOで流されている情報を独断で選んで、そのサマリーをコメントをつけて紹介していきます。情報の詳細を知りたい場合は、併記のホームページにアクセスしてくださいね。(本田真智子 常務理事)
 

1.Sex Workers Come Together to Fight HIV/AIDS
http://www.ipsnews.net/interna.asp?idnews=24983
KARACHI(パキスタン)

性労働者の女性たちのグループが識字教育や、コンドームの普及に関してのプログラムを実施している。そのプログラムには国連HIVE/AIDSプログラム〔UNAIDS〕と国連人口基金〔UNFPA〕からの資金提供を受けている。パキスタンでは1億4000万の人口のうち、7万人から8万人がHIV陽性であるといわれているが、公式発表の数字はもっと低い。HIV/AIDSの拡大の理由は、情報が性労働者などのハイリスクグループに十分に与えられなかったことや、コンドームの使用が難しい(購入しようとすると嫌がらせを受けるなど)などであった。しかし、性労働者が一緒にHIV/AIDSに対しての戦いを挑んでいる。それは彼女たちを受け入れないコミュニティのためにもなっている。

コメント 
このニュースは、HIV/AIDSに関してのものでどうしてもその政策や対応のことに目が行きがちであるが、私がこの記事に惹かれたのは、性労働者の女性たちがグループを作り、パキスタンの既存の社会習慣や差別に挑んでいるところだ。社会的弱者が何かするためには、団結することが一番の力になる。だからこそ、パワーを持っている支配階層の人間は人々が団結することを嫌い、個別に分断していくのだ。社会主義体制を揺るがせた大きな出来事の一つは、ポーランドのレーニン造船所の組合「連帯」だった。今一番必要なのは、性労働者などをイリーガルな仕事として排除するのではなく、連帯し、性労働から抜け出せる新しい生きる方法をともに考えることではないだろうか。
(IPS " INTER PRESS SERVICE NEWS AGENCY" より)
  

2.Chavez Wins Referendum
http://www.focusweb.org/main/html/Article423.html
Caracas(べネズエラ)

8月16日に行われたベネズエラのチャヴェス大統領罷免を問うの国民投票は罷免の拒否という結果が出た。それに対して、反大統領派は選挙に不正があったとして結果の受入を拒否したが、選挙監視団の一員米国のカーター元大統領と米州機構(OAS)は大統領を指示するという選挙結果を受け入れた。 

コメント 
南米にあるベネズエラは世界第5位の石油産出国だ。最近の原油価格の値上がりの理由はイラク戦争と、ベネズエラの政治不安定にあるといわれている。ベネズエラは貧富の格差が激しい。せっかく石油資源があっても、ご多分に漏れず少数の裕福な層がその利権をほしいままにして、恩恵を多くの貧しい人々に分け与えなかったからである。そういう少数者の利益の独占にNOを言って大統領になったのがチャヴェスである。だから、反大統領派は企業家や大手マスコミなどが多い。米国政府も反大統領派を支援している。チャヴェスはこれまでクーデターなどを乗り切って、大統領職にとどまっている。しかし、政治的な混乱が続くと、彼に期待している多くの人々、特に彼と同じく先住民の血を引く人々がいつまでも困難な生活の中にいることになる。
はっきりいって、金持ちやマスコミは恥を知って、チャヴェス大統領や多くの貧しい人々と一致団結して自国全体の向上に努めるべきだ。それとも、金持ちほどけちであるという、世の倣い通り、自分の銀行の預金残高が減ることに耐えられない屈辱を感じるのだろうか。
実は、子どものときにアフリカのコンゴの次に覚えた国の名前がベネズエラなので、思い入れがあるのだ。石油の収入で人々が最低の社会保障を受けられ、基本的人権にかなう生活ができるようになることを切に祈っている。
(Focus on the Global Southより)
  

3.A New Hope for Orphans
http://allafrica.com/stories/200408161685.html
Kampala(ウガンダ)

7歳で親元から逃れた少年は、ストリートチルドレンとしてゴミ箱をあさったり、僅かなお金や食べ物と引き換えに年上の男性や女性から性的虐待を受けたり、警察から暴力をふるわれたりした。が、子ども回復アウトリーチセンターを見つけ、そこでのカウンセリングを1年受けることで、現在は高校に通い将来は医学を勉強する計画をもてるまでになったという。

ウガンダでは内戦やHIV/AIDSなどにより、多くの子どもが親から捨てられたり、親を失って孤児になっている。1990年に17%であった孤児の割合が、2003年には42%までになっている。

子どもの世話をしないということは、次世代を捨てることである、として、現在国連など支援を受けて、政府やNGOは子どもたちが安心して暮らせる環境作りに取り組んでいる。子どもは全てコミュニティに属するという、アフリカの概念を取り戻すことを最初のオプションとして、親の教育、経済向上、コミュニティの再興、HIV/AIDSや結核、マラリアなどに対する対策などの行動を起こしている。

コメント
子どもは未来である、子どもを傷つけることは未来を傷つけることである、とは誰がいったのか。困難な状況では未来を信じることが出来ず、1分1秒先の現実が最優先である。中央アフリカの女性のAIDS患者の話を聞いたことがある。AIDSで1年後、何ヵ月後かに死ぬことよりも、飢えて明日死ぬかもしれないということのほうが真剣な問題であるので、売春をするという。

困難な状況にあるとき、これまで通り自分の子ども、コミュニティの子どもをケアすることは難しい。だからこそ、コミュニティに属する大人たちが経済や健康問題を克服する活動は子どもを守る活動にもつながるのだろう。
毎度のこと、こういう記事を読みながら、自分が一体何ができるのか考えてしまう。
(all Africa.com より)
  

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