高橋青年のステファン・グラッペリ物語

12「留守電」


当時のシエスタ 鹿児島にて

 東京にやって来た高橋青年と山口あかねは、無我夢中で働きました。(若かった)
 遊園地、船上クルーズ、イヴェント、結婚式、パーティー、大道芸、呼ばれればどこにでも出かけ、演奏しました。
 仕事は比較的順調で、大きな舞台の仕事(ミュージカル)なども経験しました。

 やがて、東京での生活も2年が過ぎた頃、またもや、ステファン・グラッペリが日本にやって来ました。
 この時、グラッペリは既に87歳。
 足が相当悪いらしく、移動は車椅子で行っていました。
 でもステージではすごく元気で、とても87歳の老人とは思えませんでした。

 高橋青年と山口あかねはコンサートに行く際、何かプレゼントをと思い、黄色い花柄のシャツを買いました。
 そして、コンサート終了後の楽屋で、約2年半ぶりに再会し、プレゼントを渡しました。


4度目の来日 1995年4月2日

 その日、高橋青年が家に帰ると、ステファン・グラッペリから留守電が入っていました。

「今ホテルの部屋に戻ってプレゼントを開けてみたら、綺麗なシルクのシャツが出て来て、すごく嬉しかったから電話したんだ。素敵なプレゼントありがとうね。チュッ!チュッ!!」と、ものすごい喜び様でした。
 (ちなみに最後のチュッ!チュッ!!は、グラッペリのキスの音です)

 この時のテープは、今でも残ってます。(かなり貴重かも)

つづく

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