青い空から穏やかな日の光が湖面に映り、それはキラキラ螺旋となって彼に降り注ぐ。
さわさわと木の葉を揺らす風の音が耳に届くと同時に、水色の髪がふわりと踊った。
時折、岸に咲く馨しい花の香りに誘われて、小鳥やリスもここを訪れているようで、鳴き声が響いている。
森の湖の最奥にあるこの小さな東屋は、水の守護聖の館から程近い場所にあった。
彼が飛空都市に来てからすぐに見つけたもので、長く時を過ごしてもその静寂が破られたことがないことから、
おそらく他の守護聖や住民もまだ気付いていないらしかった。
しかしある時、金の光を宿した少女が、まるで幻想世界からの来訪者のように姿を現したのだ。
それ以来、ここは二人の秘密の場所になった。
「あの・・・」
「はい、何でしょう?」
「いいえ、何でも・・・」
最初はためらいがちに。
「今日、夢を見たんです。守護聖様方が出てらっしゃって」
「私は出てきましたか?」
「はい!夢の中でも、リュミエール様とってもお優しかったです!!」
そんな他愛のない会話。
「私でよければ、何でも話してくださいね」
「ありがとうございます、リュミエール様」
「いいえ、あなたのためなら・・・」
言葉の端々に紡ぐ想い。
───いつの間にか、あなたが来るのを待っている私がいる・・・。
そんな日々をくり返すうち、リュミエールが自らの中に生まれつつある感情に気づくまで、時間はかからなかった。
気がつくとつい東屋に足を向けてしまう。金の軌跡を、面影をだどってしまう。
そうして彼女が来た時に向ける自分の微笑みは、子供のように純粋であるだろうと、想像したりもした。
「それじゃ、リュミエール様・・・」
楽しい時は瞬く間に過ぎて行く。
夕暮れが空を染めるころ、二人は別々の館へと戻らなければならなかった。
「また・・・お会いしましょう」
「はい!きっと、また」
最後に交わされる挨拶は、もう一度ここで会う約束。
それが明日か明後日かなどわからないが、僅かな胸の温かさと期待を感じた。
あなたを想うのは罪でしょうか。
職務をまっとうすることすらできず───いいえ、もしかしたら、守護聖としての私自身さえ否定する想いなのかもしれません。
何よりも、あなたの目指すもの、あなたの夢を奪うとしたら・・・。
私の中にある水のサクリア───優しさを司るというこのサクリアに、何の意味がありましょう。
なのに、いっそ忘れてしまおうと思うほど、あなたに囚われてしまう。
その笑顔の輝きに魅せられて。
「愛して・・・います・・・」
口に出すと、ひどく現実味があるような気がする。
同じ言葉が返ってくることを願ってしまうのは、恋故に・・・。
永遠はありえない。
このままの時が続くことを願っても、彼女が女王になってしまえば、それも儚い夢と消える。
それでも、願う。永遠を願う。
もはや抑えることができないほどの、狂おしい胸の痛みに耐えながら───。
愛は、時に残酷に。
〜FIN〜
〜皐月より〜<br>
あああ、もう、すいません(T_T)記念日に遅れただけでなく、こんなわけのわからないもの送りつけちゃって(^^;)
ふっと頭に浮かんだんですぅ、ホントに突然に・・・。
結局リュミ様ってば何を言いたかったのか、さっぱり(爆)ホントにすいませんーm(__)m
ではでは、ayarinさん、HP一周年おめでとうございます!