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●ジャン・クロード・ブリソー監督 会うやいなやとても神経質で、私はこの人は何を考えてるのかしらと思ったの。 本気でケンカしそうになった時もあったの。ブリソー監督はとっつきにくく、彼を心底から理解するようになったのは、撮影の途中からだったわ。 私も頑固。私も難しい性格だし、でもいつもお互いに理解しようと努め、ものすごく仲良くなったわ。 ●セルジュ・ゲンズブール&アルバム「ヴァリアシオン」 '60年代、'70年代のことを教えてくれたのはセルジュ(ゲンズブール)よ。そう、彼からも多くのことを学んだわ。 子供の頃からセルジュ・ゲンズブールが好きだったの。父が彼のファンでいつも聴いていたから。 7歳の時には歌のコンテストに出たりしていたけど、全然シリアスじゃなくて。う〜ん、そうねぇ、私がシリアスになったのは「夢見るジョー」がヒットした頃かな。 正直言って、デビューアルバムを作る頃からアーティスティックな方向性は考えていたの。でも、なにもかもが夢のようで…だって、まだ学校に行っていたし、初めての体験だったから。ただ、セカンドアルバムの頃には全てがはっきりしてたわ。どんな世界を作りたいとか…。 本当は彼に1曲だけ書いてもらいたかったの。ところが、メロディだけでき上がっていた11曲を彼に聴かせたら、全部やらせてくれって…もちろん、大喜びでOKよ。その1年後に彼が死んじゃったんだけど、あの時のショックはとても言葉じゃ表せないわ。たったの3ヶ月しか一緒じゃなかったけど、赤ん坊の頃から彼を聴いていたんだもの。 ●名声 (名声なんてすぐに)諦められるわ。名声のためにやってるんじゃないの。名声なんて何にもまして面倒なものだもの。 ●シャイ 私は臆病者だし、これをやりたいとか人にはっきり言えないの。 私は凄くシャイで野生動物みたいなところがあるの。 人が私に関して何か言うと、とても気になるの。無視すればいいんだけど。それよりももっと大事なことがあるんだし…。 ●才能 少しは才能あるかもしれないけど、私は別に特別な人間だと思ったことはないのよ。歌だってそんなに上手くないし、ただ凄くツイてただけ。マジックみたいなものね。 ●友人 本当の友達は私がポップ・スターであることを喜んでくれてるみたい。でもやきもちを焼かれて友達を無くしたわ。 女の人とは絶対上手くいかないわ。でもそのことをどうこうしようと思わないわ。友達の殆どは男性よ。 ●恐怖 愛する人たちが死んでしまうこと。それが恐くて時々自分が先に死んでしまおうと思うこともあるわ。でも絶対的なものだから、いつかきっと皆また会えると考えるようにしてるの。 ●演技 (白い婚礼)撮影の第一日目は、恐ろしさで真っ青になり、震えが止まらなかったの。私のまったく経験しなかった事の連続だったのよ。 演技は私にとって今まで私自身が生きてきた経験や見聞きした事柄そのものをとり出し再現しようとしたもの。 一つのシーンを演じるのには十通りの演じ方があるかもしれないけど、私は何も考えずに自然に出てくるのにまかせたの。 ●セックス・シンボル 別にそんなこと考えないわよ。3〜4時間もフォト・セッションをやっていると、ちょっと遊びたくなるのよ。セクシーなドレスを着てるからセクシーになるわけでもないしね。 私は平凡な女の子よ。人が私をセクシーだって言うのを聞くと吹き出したくなるわ。外見の美しさは重要だと考えたことなんて一度もないわ。 ●嫌悪 「夢見るジョー」のブームがようやく収まりかけた頃フランスの人たちは私を嫌い始めたの。女の子たちが私を道で見かけると駆け寄ってきて「ヴァネッサ、この売女!!」って叫んで髪を引っぱったり、叩いたりするのよ。 ティーンの子達が私を嫌ったのは、私が彼らと同じ年齢なのに違う風に見えたからだと思うの。 14歳の頃は「私が何をしたの?」って感じで、どうして嫌われるのか理解できなかった。でも今は人が私を傷つけようとしても何とも思わないわ。でも私が感情のない人間というわけじゃないのよ。すぐ傷ついてしまうし、泣くことだってあるわ。でも下らないことには気にしないの。 フランスでは私は隣に坐った男と寝ずにはいられない女と思われているらしいの。それが私がアバズレと呼ばれる理由のようね。 私のことを嫉妬している人もいるでしょうね。本当は好きなのにそれがわかってない人もいるかもしれない。愛と憎しみは裏表だから…。 ●レニー・クラヴィッツ&アルバム「vanessa paradis」 もう全てが最高だったわ。作曲から歌詞、プロデュースの仕方、音楽の響きに彼のメンタリィ…もちろん、才能ある人と仕事したいけど、鍵を握るのは人間性だと思うの。 3時間一緒のスタジオで過ごしたんだけど、私はずっと靴の先を見つめて何もしゃべれなかったの。それから彼がディナーに誘ってくれてお互いを知り合うようになったの。 (初めて)会えるかもって聞いた時は、レニー?え?クラヴィッツ?まさか!!ちょっとまってよっ!!って感じだったわ。 初めてレニーに会った時私の英語は酷い物だったのよ。彼は言葉を教えてくれたし、外見だけじゃなくて私の内面まで理解してくれた。 最初は遊びでベルベット・アンダーグランドの「ウェイティング・フォー・ザ・マン」を録音したの。レニーだけじゃなくて、彼のスタジオのエンジニアとか…みんながこれを気に入ってアルバムを作ろうってことになったのよ。結局、1年かかったかな。 彼には何も注文を付けることはなかった。いつもいっしょにいて、私のことは充分わかってたと思うし、例えわずかな期間しか知り合っていなくても、ずっと一緒にいるような…そんなのってあるじゃない?私と彼の間にはそんな感覚があるのよ。 初めて全曲英語でやったのは、ただ新しいことにトライしてみたかったから。別に世界がどうかなんて考えてもいないし…これから先も英語でやるとは限らない。いずれにせよ、私は先のことは考えないタチなの。今を懸命に生きることの方が素敵じゃない。 ●ゲンズブール、ジャン-ポール・グード、モンディーノ、そしてレニー・クラヴィッツ 全員、才能溢れる人たちで人間的にも素晴らしいしユーモアもあるプロ。こういう人たちと一緒に仕事がしたい!って、一方的に、熱狂的に思っていたの。それが、こうして一緒に仕事ができ、お互いに理解し合えるなんて!!本当に私はチャンスに恵まれているんだと思う。そうね、私の頭の上にはお星さまがイッパイ輝いているのかしらね。大切にしなくちゃ。 ●ヴァネッサ・パラディ 信じられないほど我慢ができなくて、リアルでやっかい者。でも皆そうじゃないの? |