「ハーフ・ア・チャンス」の撮影を終えてケベックでヴァカンス中、左足を骨折してしまったヴァネッサ。髪をバッサリとショートにして心機一転?新譜のレコーディングを匂わすコメントもしてくれてます。

-その足はどうしたの?
ケベックでスノーモービルの事故にあって、骨折したんです。骨はちゃんとつながってるけど、ギブスがとれるまで、少なくとも1ヶ月半はかかるみたい。
-ケベックで、あなたは本当についてませんね。税関でバッグからハシシ(麻薬)が見つかる事件もありましたし。
私はケベックの人たちが大好き。だから、「事件」のことは忘れることにしたの。
-ギブスの生活で困ることはありますか?
大好きなピンヒールが履けないことと、一晩中踊りあかせないこと。
-ルコントの新作「ハーフ・ア・チャンス」では、アラン・ドロンとジャン=ポール・ベルモントというフランスのビッグスターにはさまれてヒロインを演じましたね。世界中の女性の夢をかなえた心境はいかがですか?
テレビで彼らを見ていたときは、別になんとも思わなかったけど…まあ、実現してみると確かに夢のような感じではあるわね。
-ドロンは無口でベルモントは外交的というイメージは本当なんですか?
一見、ベルモントは凄く外交的に見えるわ。冗談を言って、人を笑わせるし、テーブルの上にあがってショーをしちゃったりもするし。でも、実はシャイで内気な人。ドロン?感情を内に秘めてるタイプ。だけど、すごーく衝動的よ!
-彼らは気が合っていましたか?それとも壁がありましたか?
二人の間にはかなりいい雰囲気があったわ。過去には険悪な時期もあったって聞いていたんだけど(29年前、「ボルサリーノ」のポスターに出る名前の序列について大喧嘩をして以来、二人は犬猿の仲だと噂されていた。)。人がもめちゃうのって、結局、根底には愛情が隠されているのよね。
-映画と歌とふたつの世界にいるということはバランスの面で大変ではないですか?
全然。音楽で息がつまりそうになると、すぐ映画の世界に逃げ込むことにしてるから。その反対もあるわ。
-映画のなかでは、なぜ歌わないんですか?
たまたまなの。ミュージカルは是非やってみたいと思っているのよ。夢は、フレッド・アステアのようなミュージカルコメディに出演すること。想像を絶するようなスゴい振り付けで踊ってみたい!でも、そんな監督が今いるかどうかは疑問だけど。
-映画のなかで、ヒロインのヴィルヌーヴは凄いスピードで運転していました。実生活でもあなたはスピード凶ですか?
どちらかというとそうね。でも、ヴィルヌーヴのように向こう見ずじゃない。パリではスピードを出さないと、一生車の中で過ごすことになるのよ。
-まだ、ニューヨークとパリを行ったり来たりして生活をしているの?
今はパリで暮らしているわ。でも、仕事があるからいるだけ。好きなのはニューヨーク。あの街にいると、新しい自分が発見できるし、興奮するの。
-ご家族との関係は良好ですか?
母とは友だちのような関係よ。何でも話せるし、周囲からも尊敬されていて、あんな人、ダイヤモンドより貴重だと思うわ!外見?小柄だけど包容力のあるおばさんっていう感じね。適切なアドバイスもくれるし、私にとっては心の支え的な存在なの。
-最近、やっと年齢相応の生活になりましたね。
ええ、やっとね。15、16のころは、友達がファーストギアを入れたときに、すでに時速200kmで走っていたような気がする。自分のアパルトマンに住んで、やりたいことは何でもやって…。でも半面、すべてをひとりで決めなくちゃならなかったから責任もあったし、自分を管理するのは大変だったわ。
-今までのキャリアで、後悔している失敗はある?
いろいろ失敗はしたけど、後悔はしてないの。ひとは失敗から多くを学ぶものだと思っているから。私にも自慢できないことがいくつかあるわね。映画が1本、歌が数曲、それにビデオクリップが1本!
-恋愛面では?
恋愛での失敗?それは絶対にないわ。
-ミュージシャンのレニー・クラヴィッツや俳優のスタニスラス・メラール、ジョニー・デップなど、ロマンスの噂が絶えませんが、今も熱烈に恋愛をしていますか?
ええ、いつもね。中途半端は嫌いだから。
-男性のどんなところが好き?嫌いな面は?
嫌いなところ?意地悪な言動。好きなタイプは、意外性のある人。よくも悪くもね。
-ひとりの男性のためにすべてを捨てることはできる?
それにはもう少し女性として成熟する必要があると思うわ。ひとりの男性のためにすべてを捨てられるか…あり得るかもしれないけど、簡単じゃないわ。
-最近、頭にくることはありますか?
いろんなことに対して頭にくるのよ。数えたら10本の指じゃ足りないでしょうね。いちばん頭にくること?方法があるのに、困っている人に救いの手をさしのべないこと。
-今でもすべてのプレスに対して「けとばしたい」と思う?
私がそう言ったのは、以前プレスが私につらくあたったときのことよ。唾をはきかけられたり、髪の毛をひっぱられたりしたんだから、しょうがないと思うわ。今では、そうね、けとばしたいかどうかは、そのときの感情の度合いによるはね。
-今後、人間性に欠けるスターにならないためには?
人間性に欠けるスターにならないためには!?スターになったとき身の程をわきまえることかしら。それが基本ね。
-ところで、自分の体でいちばん好きなところはどこですか?
左足の足首。
-グッドタイミングですね!ケガで隠れているところとは。では、嫌いなところは。
左足の足首。
-先日サッカースタジアムにいたあなたを見ました。サッカーは好きなんですか?
あれは、試しに行ってみたら、サッカー少年たちに囲まれてしまっただけなの。全然サッカーファンじゃないわ。
-では、ワールドカップ開催中は何をする予定?
サッカー観戦じゃないことだけは確かね。次のCDを録音してると思うわ。
-あなたは以前インタビューで発言していたように、自分のことを嫌みだと思う?
いいえ…でも、たまにキレて、言っちゃうこともあるかもしれない。
-自分のことをセクシーだと感じる?
セクシー?どちらかというとフェミニンだと思われたい。フリンジやモスリンのドレスにハンドバッグのような女らしいファッションに憧れているから。
-ドラッグはやっぱり好きなんですか?
「ドラッグ」っていう言葉は好きじゃない。いずれにしろ、私ってドラッグをやっているという実感がないの。ただ、おしゃべりしたり、ジョークをいったりしていると、成りゆきでそうなっちゃうだけなのよ。本当のことをいうと、依存性の弱いドラッグの解禁には賛成よ。たとえば「ペットライト」なんかは、ウイスキーより体に害はないと思ってるくらい。でもどちらにせよ、もうドラッグなんて時代遅れだと思うわ。
-20年後、あなたはどうなっていたい?
それがわかっていたら苦労しないけど…。子供たちに囲まれて暮らしていればうれしいわ!

〜エル・ジャポン 1998.9月号より転載