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旅行会社の一日

皆さんは、職業としての「旅行会社」にどんなイメージをお持ちでしょうか? カッコいい、華がある、楽しそう、ただで旅行ができていい… そうお思いの方が少なくないと思います。ひと頃は大学生の就職活動での旅行会社の人気は高く、JTBが文系女子のトップだったこともありました。たしかに仕事そのものは面白いのですが、少なくとも労働条件的にはかなりキツイ業種の一つだと思います。参考までに、私が勤めていた支店での1日の仕事は以下のごとくです。

08:30 出社、掃除と1日の仕事の準備
09:15 朝礼
09:30 開店
10:00頃〜17:00頃 外回り
17:30 閉店、デスクごとに終礼(報告会)

勤務時間は18時までですから、ふつうの会社ならこれで「おつかれさん」となるところですが、旅行会社(特に営業マン)の場合はこれからが仕事です。伝言の処理、企画書・見積書の作成、手配書の作成、夜しかコンタクトの取れないお客様への電話、ホテル・旅館・バス会社などへ手配・確認の電話、添乗精算書の作成などなど… 膨大な量のデスクワークが待ちかまえています。シーズンにもよりますが、平均で21時頃、時には日付が変わっても会社にいることも度々あります。

私がいた会社は週休2日制でしたが、休日出勤することも多く、その分も合わせれば1ヶ月の残業は80時間程度にはなっていました。残業手当が付かないのは業界共通のことであり、せいぜい1割程度です。つまり月70時間はタダ働きでした。世の中にはもっと過酷な仕事はいくらでもあるでしょうが、少なくとも体力的には楽な仕事ではないと言えます。

そういう状況ですから、若い社員にはデートの時間もまま成らず、結果として社内結婚が多くなります。最近はテレビドラマなどで旅行会社勤務の主役が登場することが時々ありますが、実体とはかけ離れた「楽しそう」という部分のみが描かれていて、結構おかしかったりします。ま、他の業界の設定でも似たようなもんでしょうが…

 

*このページの内容はメールマガジン No.062(1999.08.30発行) に掲載したものです。

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