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第2回 読者アンケート 結果をふまえて

私のメールマガジン「こんなホテルに泊まりたい!」誌上での平成11年6月に実施した読者アンケートにいただいたご意見やご質問などをご紹介します。

 

いいホテルの条件とは?

「あなたが考える『いいホテル』とはどういうホテルですか?」というご質問を頂きました。これは本来なら創刊時に明記しておくべきことだったかも知れません。これまでにも述べてきたように「旅のスタイルや好み」は十人十色であり、ホテルに求めるものも人によって違うでしょう。

まず、その前段階として、そもそも「旅」とは、「日常からの脱出」=「非日常の体験」だと思います。「美しい風景を見たい」「異国の文化に触れたい」「のんびりしたい」「ショッピングをしたい」「ダイビングやスキーをしたい」などなど、旅の目的はいろいろあるでしょうが、いずれも根底にあるのは「非日常を味わいたい」という気持ちではないでしょうか。

また、これもよく言われることですが、旅の印象の大半はホテルの良し悪しで決まります。たとえ1泊であれ、滞在型の旅行であれ、ホテルが快適でなければ旅の楽しさも半減してしまいます。

そういう前提で、私の考える「いいホテル」とは以下のようなものです。

1.設備が充実していること。(客室だけでなくホテル全体として)
これが貧弱では話にならない。例えばリゾートホテルであれば、客がホテルの外へ出ずに、ホテル内で楽しめるような付帯設備やイベントなどの工夫があるか。シティホテルであれば、各種機器の用意をはじめ、ビジネスマンの仕事場になり得るか。

2.客室内にゆとりのスペースがあり、インテリア・内装・家具類・客室全体の雰囲気に高級感があること。また、バスルームが充分に広く、質感が高いこと。
息が詰まるような部屋では「非日常」は味わえない。また、ユニットバスでは日常生活と何ら変わらない。

3.清掃・メンテナンスがしっかりしていること。
バスルームに前日客の髪の毛が落ちていては興ざめ。絨毯のタバコの焦げ後をそのまま放置しておくような無神経さではサービスの質も知れている。また、これらがしっかりしていれば、施設が少々古くても「古さ」を感じないもの。

4.客室数に比して従業員の数が充分に多いこと。
多ければいいというものでもないが、サービス(ソフト)のほとんどが「人手」による以上、従業員の数が少なければ必ず「手落ち」が出てくる。

5.従業員教育が行き届いていること。
スタッフによりサービスにムラがあってはならない。

6.客からのどんな無理難題にも前向きに対処しているか?
たとえ結果がダメでも「なんとかしよう」というプロセスがあれば客は満足するもの。「言葉だけ丁寧」では三流以下。

というようになります。冒頭に書きましたように、ホテルに求めるものは人によって異なるでわけで、異論・反論もあるでしょうが、上記の条件でおすすめホテルを選択しています。さらに付け加えて、このマガジンで採り上げる基準として

7.10人中8人が満足できるホテル

という項目を加味しています。これには2つの意味があり、「10人中1人か2人しか満足できないような絶対的レベルの低いホテルは採り上げない」ということと、「特定の客層しか満足できないホテル(=利用目的が限定されるホテル)は採り上げない」ということです。

 

B&Bやプチホテルも採り上げてほしい

というご意見も複数の方からいただきました。お気持ちはたいへんよくわかります。私の経験上でも、そういうタイプのホテルに興味をお持ちの方が少なくないことはわかっています。けれども、上の7つの条件に当てはめてみた場合、どうしてもこのタイプのホテルは外さざるを得ません。同じ理由でペンションや民宿も対象外になります。そこまで範囲を広げてしまっては本誌の主旨から外れてしまします。何卒ご理解下さい。

 

料金紹介があいまいすぎる。もっと旅行会社でのレート、ホテルのオンライン予約でのレート、さまざまなプランの紹介、などもほしい。

ご指摘の通り、ホテル紹介の中で表示している料金は「おおよその目安」に過ぎず、「あいまい」とお感じになるのはごもっともです。そもそも創刊当初は料金の表示は一切していませんでした。これは手抜きをしていたわけではなく、私なりの考えがあってのことでした。

本誌の基本的な考えとして、「たまの旅行だから」「年に1度の旅行だから」こそ、料金にこだわらずに本当にいいホテルに泊まりたい(泊まってほしい)という思いがあります。もちろん、実際のホテル選びでは「料金」という条件なしには考えられないでしょうし、料金によってホテルの評価が変わってくるということも有り得るでしょう。絶対額の高い安いということだけでなく、料金の割にいいという、いわゆる「コストパフォーマンス」という点もホテルの評価を左右する要素となり得ます。しかし本誌では、あえて「料金」という最も現実的な要素を省き、純粋な意味でホテルの良さをお伝えしたいと思っています。「料金から選ぶ」のではなく「ホテルから選ぶ」という視点があってもいいのではないでしょうか。

各社・各種のレートを調べ、「どこが安いか」という実用的な情報を提供することにも意義はあると思います。しかし、ホテルによっては1つの旅行会社だけで3〜4種類もの商品が設定されていることも珍しくありませんし、大手の旅行会社であれば地域ごと(営業本部ごと)に商品が異なります。(例えば、TDLのあるホテルについて、関西営業本部と中部営業本部では別々に商品を作成しているということ。)それらすべてを調べるのは実際には不可能で、中途半端になるのは明らかです。

ただし、各ホテル独自の宿泊プランやオンライン予約の特典などは、可能な限りご紹介していこうと思います。

 

紹介されるホテルはどれも高くてなかなか利用できそうにない。もっと安くていいホテルの情報がほしい。

これも上に述べたことの続きになりますが、私は決して「高いホテルがいいホテル」とは思っていません。発想の原点が逆で「いいホテルは高く、そこそこのホテルは値段もそこそこ」との持論を持っています。「当たり前じゃないか」と言われるかもしれませんが、その当たり前のことが、実際に利用してみて初めて分かる、というケースが多いと思うのです。私自身の経験の中で「料金の割には良さそうなホテル」に泊まって満足したことは皆無に近く、むしろ後悔することがほとんどです。

  廊下の声がまる聞こえ
  隣室の水洗の音が大きく伝わってくる
  豪華そうな家具の中仕切がただのベニヤ板
  絨毯にはシミがあり、壁のクロスは黄ばんでいる

というような経験は誰しもあると思います。これら「設備投資への手抜き」はガイドブックやパンフレットでは分かりません。また、

  フロントへ電話してもなかなか出ない
  ルームサービスが届くのにひどく時間がかかる
  チェックイン・チェックアウトがいつも待たされる
  予約した内容と食い違い、その対応もお粗末だった
  スタッフの慇懃無礼な態度に立腹・失望した

などの「スタッフの数が足りていない、もしくは適切な配置が出来ていない、教育が充分に出来ていない」ということも、実際に利用してみなければ分からないことです。

かなり乱暴な言い方ですが、「料金の割によさそうなホテル=お手頃価格のホテル」は、上記のようなハード・ソフトでの「見かけ倒し」が隠されている確率が極めて高いと思っています。少なくとも私の経験で判断すれば、そう断言できます。これらの点をふまえた上で「おすすめホテル」を取捨選択した「結果」が「高いホテルばかり」という状況になっているわけです。

繰り返しますが、「安いホテルは採り上げない」ということではなく、「10人中8人が満足できるホテル」というレベルで考えた場合、ある程度高いホテルばかりになってしまうのはやむを得ないと考えています。

 

ファミリー向けかどうかは、どういう基準で判断しているのか?

明確な基準はありませんが、これまでの経験で言えば、一度でも利用すればそのホテルがどういう客層をメインに考えているかが直感的にわかります。その印象を基に判断しています。具体的な目安としては、4名(もしくはそれ以上)定員の部屋をどれだけ持っているか? がポイントになるでしょう。いくら「ファミリー歓迎」と謳っていても、ツインやダブルしかないようでは本当に歓迎しているとは言えません。

 

読者の体験談や泊まった人の生の声を聞きたい。

実に多くの方から同様のご意見をいただきました。本誌では次回に採り上げるホテル名を予告し、皆さんからの投稿をお待ちしているのですが、実際にはこれがかなり少ないのです。いえ、私は少ないとは思っていません。

一般論ですが、メールマガジンに「投稿する」という能動的な行動をとる人の割合は5%前後、多くても1割程度といわれています。今回のアンケートでも回収率は約8%でした。読者数3500名の1割は350名です。350名の内、「特定の1軒」のホテルを利用したことのある人が1人もいなくても不思議な話ではありません。ハワイやグアムなどの定番ホテルならともかく、ヨーロッパの「ツアーで利用されないホテル」となれば投稿が無くて当然でしょう。

発行者として、「ネタがない。投稿して!」などという情けない言葉は吐きたくありません。ですから「投稿はいただけないもの」というつもりでやっています。ですので、たったおひとりでもメールをいただければたいへんありがたく思っています。

一方、読者の立場とすれば、発行者一人の考えだけでなく、いろんな人の、しかも実際に利用された方の意見は大いに参考になります。現状の方法では多くの投稿は期待できず、従ってやり方を変える必要があると考えています。(下に続く)

 

ダメホテル情報をどうするか?

本誌ではこれまで、若干の例外を除いて「ダメホテル」の話題には触れずにやってきました。私の気持ちとして、特定のホテルを誹謗中傷するのは本望ではありませんし、そういった「マイナス部分」よりも「プラス部分」を前面に出し、「ホテルの良さ」をお伝えしたいという思いがあります。

一般のガイドブックなどでも、ホテルのマイナス部分に触れることはまずありません。誌面スペースの都合もあるのでしょうが、やはり利害関係が絡めばやむを得ないのでしょう。旅行会社のパンフレットでも同様で、「どのホテルもいい」という前提でなければ商品作成及び販売に支障を来してしまいます。

一方、こういう言い方は語弊がありますが、ワイドショーの「サッチー」に象徴されるように、我々日本人は「ゴシップネタ、悪口、陰口」が大好きです。そういう内容の方が(善し悪しは別にして)読者の気を引くことは事実でしょう。これが旅行やホテルの話となれば、「お金を払ってイヤな思いはしたくない」という気持ちが作用しますから、尚更「ダメホテル」の情報を希望する方が多くなるわけです。

今回のアンケートでも、
 「ワーストホテルや評判倒れホテルの情報がほしい」
 「絶対行かない方がいいホテルの情報を聞きたい」
 「二度と泊まりたくないホテルの特集も面白いと思います」
などのご意見が本当にたくさんありました。

私なりに考えた結論として、新コーナーを試験的に作ろうと思います。先述の「投稿」のことと合わせ、実際に利用された方のご意見を誌面に反映できるものにするつもりです。詳しくは近日中にお知らせいたしますので、今しばらくお待ち下さい。

(注)「二度と泊まりたくないホテル」という新コーナーを始めています。

 

今後の検討課題 ・・・・・ その他のご意見から

▼部屋の広さが具体的に数字で表れると解りやすいのですが。

▼部屋のタイプ別の写真があると選ぶときに大変参考になります。

▼地域特集などを組めばいいのでは? 1軒のみのホテル情報だと、そこの地域の全体像がつかめない。(比較が出来ない)

▼宿泊券のプレゼントなんかが増えるといいですね。

▼私のホテルに泊まった時の楽しみは朝食ブッフェです。朝食にブッフェがあるかの情報も欲しいです。

▼ダイニング、料理のメニューの特徴など。(例えば、ダイニングには小学生以下の利用の可否、服装の規定など)

▼クルーズ船やブルートレインなども取り上げていただければ、より幅のあるものになると思うのですが・・・

 

私の心に残ったコメント

▼実際泊まった方の感想や、旅行雑誌等には書かれていない、詳しいホテルの様子など知ることができて、なかなか参考になりました。実際泊まってみなければ分からない事って、多々ありますよね。パンフレットや雑誌で見ると、凄く綺麗なホテルや旅館も、実際行ってみたらがっかりと言う事もありますものね。

▼海外ではどうしても無難なホテルに泊まりがちですが、もしあまり規模は大きくないけれど、おすすめといったホテルがあれば、ぜひご紹介いただきたいものです。本当は日本でも同じようにご紹介いただきたいけれど、日本だと予約が殺到したりして、「穴場」を紹介していただくのは無理でしょうね。(「穴場」の多くは、大規模ではないと想像するので。)

▼パックツアーが嫌いで(以前いやな目にあったことがあるため)最近では全て自前で旅行を手配しています。その際、やはり宿泊先には気を使います。いろいろと情報を集めるのですが、どのメディアも、ある程度は利害関係がからんでいますから、信用していいものかどうか悩みます。また、一軒に割かれている情報量も少ないです。ですから、私はこのMMが非常に気に入っています。独断と偏見でもいいですから、忌憚のない情報をお願いします。

▼海外にしか興味がなかったんですが、日本国内のホテルでも良いとこがたくさんあるんだなあと思いました。なんかとっても旅行に行きたくなります。いつも楽しく読ませて頂いてるのでこれからも頑張って下さい。

▼せっかくのインターネット・メディアなので、中立的な内容よりも、個人の好みが前面に出てくるページのほうが良いのではないでしょうか?

 

作者より

ここにご紹介したのはほんの一部で、これ以外にもさまざまなご意見をいただきました。個別にお返事は差し上げられませんが、個々のご意見を充分に考慮し、より充実したマガジンにしていきたいと思っています。

 

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*このページの内容はメールマガジン No.050(1999.06.24発行) に掲載したものを加筆・修正したものです。

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