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カンクンという街

全日空が商品として開拓したカリブ。その中で、ハネムーナーを中心に人気が出つつあるジャマイカなどと較べると、まだまだ日本人が少ないカンクン。ガイドブックなどを見ても、『カリブ海』や『メキシコ』の中のほんの数ページを割かれているに過ぎず、日本に入ってくる情報も限られているが…。

まずいちばんに驚くのが、リゾートとしての規模。ワイキキなどを遙かに上回り、デラックスクラスのホテルが立ち並ぶ様は圧巻である。アメリカの、特に東海岸地域の人たちの避寒地としてたいへん賑わっているということも、日本に居てはわからないことである。ハワイやグアムなどの“右も左も日本人だらけ”というリゾート感の無さに辟易している人にはおすすめだが、日本人が少ないということは、言葉を変えれば日本人には不便な点もいろいろある、ということでもある。

まず第一に言葉の問題。公用語はもちろんスペイン語。ホテルや主なレストランでは英語が通じるが、日本語はまったくダメ。本当に全く通じない。そういう状況だから日本食レストランもない。ダウンダウンには1、2軒それらしい店があるらしいが、ホテルのある地区には皆無である。筆者などは1週間程度なら米粒なしでもどうということはないが、それがかなり切実な問題だという人もいるだろう。また、日本人が少ないから免税店もない。今や世界中のあちこち、少なくとも日本からの直行便が就航する都市のほとんどではすっかりお馴染みになったデューティーフリーショップはもちろんのこと、ヴィトン、シャネル、プラダ、フェラガモなどのブティックもまったくない。買い物が目当ての人は帰りのダラスの空港で買うしかない。

さらに、ツアー客のバックアップ体制も少々心許ない。ホテルにツアーデスクを設けている旅行会社もいくつかあるが、全日空ハローツアーを除いてほとんどのところが委託である。つまり、その旅行会社の社員ではなく、現地のオペレーター(代理店)が出店を出しているにすぎない。米国本土やメキシコシティーから物理的距離のあるカンクンに日本の旅行会社が支店や営業所を置けないという事情はわかるが、一般に、韓国や香港などの東南アジアのオペレーターが“至れり尽くせり”の日本人好みのサービスをしてくれるのに対し、欧米系の場合は極めてビジネスライクで、これで「困った時に本当に助けてくれるのか」という不安は拭えない。

と、いろいろマイナス面を書き立てたが、これらの問題点をクリアできる人は「いいホテルと青い海」に必ず満足できるだろう。(1998年)12月21日からアメリカン航空が関空に乗り入れし、ダラス線を開設。関西の人にもカリブが少し近くなった。

 

*このページの内容はメールマガジン No.013(1998.12.18発行) に掲載したものを加筆・修正したものです。

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