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どこで予約する?

■はじめに

みなさんはホテルを予約する際、どういう方法で予約されるのだろうか?

1.ホテルへ直接予約する
2.旅行会社を経由する
3.カード会社などの組織を経由する

他にもあるだろうが、大別集約するとこの3つになるだろう。私が旅行会社勤務時代によく尋ねられたのが「ホテルへ直接予約するのと旅行会社で予約するのとどちらが安いか?」ということ。この質問に正確に答えようとするとたいへん話が長くなる。それだけで1冊の本ができあがってしまうくらいだ。立場上、「旅行会社の方が安い」と答えることが多かったが、必ずしもそうではない。そこで、料金面を含めてそれぞれの長所・短所を挙げながら少し話をしてみたい。

通常、たいていのホテルでは、すべての部屋の予約を自身がコントロールするのではなく、何割かを予め旅行会社にわたしている。例えば、筆者が在籍したA社の場合、平成9年度では京王プラザで1485室中43室、舞浜のシェラトンで782室中50室、大阪のリーガロイヤルで 1166室中35室、沖縄のかりゆしビーチで 515室中90室などである。この数、割合はホテルと旅行会社との力関係でさまざまである。また一般的に、沖縄恩納村地区のように観光客が多いホテルほど旅行会社への依存度が高く、逆にビジネスの常連客が多い都市型ホテルほど旅行会社を頼らずに自力で売る割合が高い。(勿論例外はいくらでもある。)極端な例が地方の小規模なビジネスホテルで、旅行会社とは全く契約しないというホテルもたいへん多い。

ここでいえることは、ホテル自身の持ち部屋、A社の割り当て分、B社の割り当て分、C社の……、はそれぞれ独立して予約販売されるということ。つまりA社では“満室”でもB社にはまだ空きがあったり、すべての旅行会社で満室でもホテルにはまだ空室があったり、ということである。泊まりたいホテルがはっきり限定している場合、あちこちに問い合わせればどこかで空いているケースは可能性としてある。ただしこの場合は料金的な選択肢はほとんどない。では空室がいっぱいある場合にはどこで予約するか。つづきは次回へ。

 

■ホテルに直接予約する

ホテルに問い合わせや予約の電話を入れると、まず案内されるのは“ラックレート”と呼ばれる正規料金である。(つまり定価のこと。ガイドブックなどに載っているのもこの料金。)ツインルームのラックレートで見ると、高級ホテルで3万円台後半から5万円前後、都市圏の一般のシティホテルで2万円台後半から3万円台といったところ。格式やステイタスを重んじるホテル界では、このラックレートがそのままホテルの価値やランクを示すと言っても過言ではない。が、全国の平均で見ると、実際にラックレートで宿泊している人は全体の1割にも満たないと言われている。つまり、ほとんどの人が何らかの割引料金で宿泊しているのだ。

割引料金と一口に言っても実にさまざまだが、一般客向け、法人契約、ホテルメンバーに大別できる。

一般対象のホテルオリジナルの宿泊プラン
今やほとんどのホテルでいろいろな名目で割引プランを設定している。「ウィンタープラン」や「開業○周年記念」などのほか、ひと頃流行った「誕生日割引」、帝国ホテルで話題になった「レディースプラン」などなど。最近では「インターネット割引」や、航空業界を真似た「早割(=早期予約割引)」を始めているホテルも多い。概ね10〜20%程度の割引に相当する。さらに、「1日10部屋限定」などでかなりの割引率のプランを設定しているケースもある。これらは基本的に“公”になっているプランであり、ラックレートしか案内されなくても、尋ねれば必ず教えてくれるはずである。競争の激しい地域や客離れが著しいホテルでは、ホテル側から積極的に割り引きプランを案内してくるケースも最近では多い。予約する際は「お得なプランはありませんか?」の一言を是非忘れずに。 (つづく)

 

■海外のホテルを予約する

ここまでの話に対し、読者の方から「海外のホテルでもそういうことがあるのか」というご質問を頂きました。

基本的には海外でも同じと考えていいと思います。もちろんすべてのホテルで当てはまるわけではありませんが、地域性やシーズンによってはかなり大幅な割引キャンペーンが設定されることがあります。また、連泊を前提とするリゾート地では「4連泊すれば次の1泊が無料」というようなケースもあります。

ツアーでよく利用されるホテルやチェーンホテルのほとんどでは日本国内に営業所や予約事務所を置いていますので、基本的にはそちらで問い合わせ・予約ができます。ただし、日本に窓口がないホテルの場合は現地との直接交渉になりますし、日本語が通じないホテルでそういう問い合わせをする場合、ある程度の語学も必要になります。ただ単に予約するだけならなんとかなるでしょうが、どういうキャンペーンでどういうタイプの部屋がいくらになる、という説明を正しく理解できるかとなると、決してハードルは低くありません。

それに、ホテル特有の用語(の英語)を知らなければ誤解が生じる心配もあります。さらに、日本のホテルとは違い、海外ではデポジット(前払い予約金)を請求されるケースもあり、以外とめんどうだったりします。

また、ツアーで利用されるホテルの場合、ツアーの料金自体がホテル代、航空運賃ともにかなりディスカウントされていますので、ツアーの料金(または日本の旅行会社が商品として設定している料金)と個人で予約した料金のどちらが安いのか、さらに航空運賃を合わせた場合はどうか、空港とホテル間の移動を考えればどうか、ということを充分に比較検討する必要があります。通常では、ピークシーズン以外ではツアーの方が安いケースが多いと思われます。

それ以外の場合、例えば

・ツアーで利用されないホテルに泊まる
・ツアーで利用されない特殊な部屋に泊まる
・ツアーにはない自分オリジナルなコースで旅行する
・航空券は他で調達できるので、あくまでホテルだけを予約したい
・料金には関係なく、あくまで「個人」で旅行したい。

という場合には、キャンペーン商品をうまく利用すれば少しでも経済的な旅行ができることになります。

 

■ホテルの割引プラン

ホテルへ直接予約する場合の割引プランについては、一般客向け以外に次のものがある。

法人契約(コーポレート料金)

文字通り企業とホテルとの契約による割引料金。概ね20%前後の割引が多い(らしい)が、個々の契約内容はまさにケースバイケース。中には50%オフという場合もある。ある程度名の通った企業ならどこかのホテルと契約しているはずなので、担当部署に確認してみるといいだろう。

また、やや主旨は異なるが、企業が福利厚生の名目で補助金を出していることも多い。この場合は“見かけ上の割引率”はさらに大きく、半額以下というケースもある。例えば、某コンピューターメーカーでは、以前に採り上げたロイヤルオークホテルにひとり 8,000円(朝食付き)という料金設定があったし、読者の方からの情報では横浜ニッコーが50%引きというのもある。もちろんこれらはその企業に所属する人のみが対象であり、基本的には「社外秘」の情報なので第3者が知ることは難しいし、知ったところで利用するのはさらに難しい。

会員割引(ホテルメンバー)

多くのホテルが、顧客の囲い込みのためにホテル独自のハウスカードを発行している。ホテルの営業方針により特典はさまざまだが、基本的には10〜15%程度の割引。年会費もいろいろだが、無料のところも多い。クレジット機能と提携しているケースも多く、この場合は原則有料になる。

一般的には、利用金額に応じて宿泊券やオリジナル商品がもらえるポイント制をとっていることが多く、中にはキャッシュバック、マイレージへの換算などができるホテルもある。会員になると、毎月のようにキャンペーン案内や優待券が送られてくる。チェーンやグループとしての組織のほか、単独で発行しているホテルも多い。中には入会基準がかなり高いケースもあるが、一般的には誰でも会員になれる。入会金・年会費が無料なら入っておいて損はないし、有料の場合でも 2,000円程度なら年1回の利用で“元がとれる”ので、ある程度利用するホテルが決まっているなら入会を考えてみてはいかがか。

また、海外の有名ホテルチェーンも同様にカードを発行しているが、案内書などが原則英語なのがやや難点。

参考までに、私が利用しているリーガロイヤルホテルの場合、宿泊50%割引券が年2枚、直営レストラン20%引き券が年10枚のほか、グループホテルの優待券(20%割引程度)が頻繁に送られてくる。これで年会費 2,000円。

○海外旅行好き 集まれ!
http://www.tintin.com/
海外チェーンホテルの会員プログラムが詳細に紹介されている。
そのほかにもマイレージ情報、クレジットカード情報など。

 

■旅行会社を利用する

次に、旅行会社を通じてホテルを予約する場合のメリットとデメリットについて。

以前にも書いたが、日本のほとんどの宿泊施設(ホテル・旅館・一部のペンションなど)が、自力ですべての部屋を直接売っているのではなく、その何割かを旅行会社に売ってもらっている。そして売ってもらったかわりに「送客手数料」を旅行会社に支払っている。その率は平均12〜15%程度。(あくまでも平均であり、個々のケースでは大きな巾がある。)旅行会社にとってはこの手数料が収入の大きな柱の1つであり、「宿泊券販売」が日本の旅行会社の最も基本的な販売商品になっている。

この「宿泊券」は大きく分けると2種類あり、一つは純粋な意味での“代売”。多くの場合、ラックレートそのままの金額であり、そういう意味ではホテルへ直接予約するのと条件は同じ。また、どこの旅行会社で予約しても同じである。(ただし、「取扱料金」や「予約手数料」などの名目で300円〜500円程度の手数料を別途請求されるケースが多い。)

もう一つは“主催旅行商品”としての「宿泊プラン」。主催旅行商品とは、要するにツアーのことで、“添乗員同行北海道周遊5日間”などと商品分類上は同じ。交通機関など一切を省いた“宿泊だけのツアー”として販売しているのである。一般的にはラックレートより幾分安くなっていて、“1泊朝食付き税サ込み”で販売されることが多い。(旅館の場合は“1泊2食付き税サ込み”)この場合の料金は理屈の上では各社によって差が生じ、さらに“チェックアウト延長”“プール無料利用券”“お部屋にフルーツバスケット”などの特典を付けるなどして、他社との差別化を図っていることもある。ただ、一部の例外を除いてはどれも似たりよったりで、料金的にもそれほど安くなっているわけでもない。ホテル自身がさまざまな割引プランを設定している昨今では、少なくとも料金面だけを考えればホテルへ直接予約した方が安いことが多いのではないだろうか。

ただし、希望のホテルがすでに満室というような場合には旅行会社も利用価値はある。ぎりぎりまで「キャンセル待ち」の作業をしてくれるからだ。これは是非とも知っておいてよいことで、ホテル・旅館の予約に限らず、JRや航空券のチケット予約にもあてはまる。特に、特定の旅行会社の“常連”になっておけば、少々無理な予約でもなんとかなることが多い。もっとも、“常連”になるためには普段から利用していないと無理もきいてもらえないが……。

 

■クレジットカード会社を利用する

これまでに述べた「ホテルへ直接予約する」「旅行会社で予約する」以外にも、様々な予約方法がある。

まず考えられるのが「クレジットカード会社を利用する」という方法。JCB、VISA、アメックスをはじめ、各社ともカード会員向けに宿泊プランを設定している。旅行会社に比べれば契約施設数は限られるが、予め部屋数を確保しているケースも多く、「他のルートでは満室でもカード会社なら予約できた」ということも有り得る。内容は各社それぞれであり、JCBのように温泉旅館とも多く契約しているケースもあるが、料金的にいちばんお得なのはアメックスだろう。他社の割引率が概ね10〜20%程度なのに対し、アメックスは平均30%くらい。

例をあげると、

帝国ホテル  43,000円 → 31,000円  (割引率28%)
フォーシーズンズ東京  42,000円 → 28,000円  (割引率33%)
ホテル日航東京  38,000円 → 28,500円  (割引率25%)
*いずれもツインの2名利用、オフ期の平日。

などなど。中には

シェラトングランデ東京ベイ  39,000円 → 20,000円  (割引率48%)
ウェスティン大阪  40,000円 → 20,000円  (割引率50%)
パンパシフィック横浜  45,000円 → 19,500円  (割引率56%)

などというのもある。これだけ安くできるのならラックレートそのものを下げればいいじゃないかと言いたくなるが、とにかくアメックスは安い。年会費は高い(10,500円)が、このクラスのホテルを年1回でも利用すれば元がとれる計算になる。アメックスといえば、以前は入会基準がそれなりに高かったらしいが、今ではそれほどでもないようである。筆者の周りにも、大卒社会人1年目でも問題なく加入できた、という奴がいる。さすがにビジネス系のホテルは契約していないし、リゾート系もすくないが、人によっては利用価値は極めて大きいのではないだろうか。

 

■その他の方法

前項ではアメックスの話が中心になったが、実際にはJCBの方がお持ちの方は多いだろう。では「CLUB JCB」はご存じだろうか。通常のJCBカードとは別に年会費(3600円税別)が必要だが、ホテル、レストラン、ショッピングなど、全国のさまざまな施設で割引が受けられるシステム。ホテルや旅館の割引は5%〜10%のキャッシュバックに過ぎないが、大手旅行会社のパックツアーも5%の割引になる。また、一部のホテルではレストランの利用でも10%程度の割引がある。ホテルの飲食関係が割引になるのは以外に少ないから、ホテルのレストランやバーを頻繁に利用する方には重宝するのではないだろうか。関西ではウェスティン大阪、ニューオータニ(大阪・神戸)、大阪全日空、京都ホテル、ロイヤルオークなどが割引対象。旅行以外では、日比谷花壇、紳士服のはるやま、メガネスーパー、かに道楽、居酒屋の贔屓屋や藩、お好み焼きの千房など、日常で使える店も多い。

車を運転する人にはお馴染みの「JAF」。ここも全国の宿泊施設や観光施設と契約している。ホテルはビジネス系のホテルが中心になるが、契約数が多く、この手のホテルが安くなることに魅力を感じる人も多いだろう。また、遊園地などの観光娯楽施設も多く、一度ガイドブックを隅々まで目を通せば必ず使える機会はあるだろう。

 

■インターネット予約

最後は「インターネット予約」について。

インターネットの普及に伴って、「ホテル予約を専門に扱うページ」はたくさん登場した。有名どころは国内の「ホテルの窓口」、海外の「ホテルホットライン」などだが、その他にも多数ある。「地域」や「料金帯」などからホテルを検索し、料金を確認してオンライン上で予約、というシステムはほぼ同じ。数百〜数千軒のホテルと契約し、料金は20%程度の割引というケースが多い。

「オンライン」か「店頭及び電話」かの違いはあるが、個別のホテルとの契約を元に割引料金で仲介販売する、という点では既存の旅行会社とやっていることは同じといえる。ただ、「電話やFAX」よりも「パソコン相手」の方が都合がいいという人も多いだろうし、曜日や時間に関係なく作業できるのは何よりのメリット。将来的にはこの手のサイトはますます増えると思われる。

筆者は、実際にこれで予約までした経験はないので、詳しく論ずる資格はないが、各サイトが提供する情報量にはやや差があるように見受けられる。国内の「ロテル」や海外の「ホテルサーチ&リザーブ」などは各ホテルの紹介がかなり詳しく、重宝する。反面、契約ホテル数は多いものの、単に料金表示のみというサイトもある。また、画面上で空室照会ができなければ折角のオンラインの魅力が半減しているように思う。実際の利用では、料金で左右されるのだろうが、ホテル自身のページの「インターネット割引」との比較も忘れてはいけない。

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*このページの内容はメールマガジン No.011(1998.12.11発行) ・ No.017(1999.01.11発行) ・ No.018(1999.01.15発行) ・ No.019(1999.01.19発行) ・ No.021(1999.01.27発行) ・ No.022(1999.01.31発行) ・ No.023(1999.02.04発行) ・ No.024(1999.02.08発行) に掲載したものを加筆・修正したものです。

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