トップページ][このコーナーのトップ][二度と泊まりたくないホテル(インデックス)

横浜の某ビジネスホテル

▼読者投稿

出張で使ったときのことです。建物が古いとか部屋が狭いとかは、あまり予算のない仕事での出張においては了解済みです。しかし、あまりの出来事がありましたので投稿しました。

その日、移動中に急に気分が悪くなりはじめていたため、「やばいな」とは思っていたのですが、ホテルについてすぐにどうしようもないくらいの頭痛・関節の痛み・ふるえなどがきました。(後で判明しますが、40度以上の高熱が出ていました)

以下、すべて夜(深夜ではありません)に起こった数回にわたる電話のやりとりですで。(※S:Sさん、ホ:ホテルフロント)

フロントに電話して気分が悪いことを伝え、「置き薬か、もしくは販売されている薬はありますか?」と聞くと、
ホ:「ありません」。(バンソウコウしか置いてないそうです)
S:「あの、じゃあ、薬局に行きたいのですが、今の時間空いている薬局は近くにないでしょうか?」
ホ:「ありません(しりません)」
S:「じゃあ、明日の朝早くに買いに行きたいのですが、近くに朝から空いていそうな薬局があるか、明朝教えてください」
ホ:「近くの薬局はわかりますが、何時から空いているかは知りません」
S:「あの、本当に気分が悪いんです。自分で出かけられないくらいに…。今すぐ何か飲んで調子を戻したいんですが、薬局が無理なら… 近くにドリンク剤置いているコンビニとか、ありませんか?」
ホ:「あると思いますけど」
S:「たいへんたいへん申し訳ないのですが、お金を渡しますので、いちばん高いドリンク剤を買ってきてもらえませんか?」

私はしゃべるのがやっとなくらいの元気で、半分泣きながら話していました。

ホ:「ホテルを出ることは規則でできないんです」
S:「規則って…、じゃあ上の方に交渉しますので、電話を代わってください」
ホ:「上司は帰宅しました」
S:「じゃあ緊急ということで上司に了解をとっていただけませんか? とにかく、買いに行こうにも自分で動けないんです」
ホ:「規則なのでできません」
S:「じゃあお医者さんを呼んでもらえませんか?」
ホ:「それはできないので救急車になりますね」

救急車は大袈裟だと思ったわたしはそれは見送り、それでもホテルのあまりの対応に激怒して電話を切りました。ちなみに、上記のやりとり、実際には何度か同じことをお願いしていますが、何度もオウム返しで断られています。ここでは同じ内容のやりとりは1回に省略させていただきました。

数分後、ただならぬ雰囲気を悟ったのか、ホテルマンが部屋のドアをノック。カラダを引きずりながら出てみると「ドリンク剤を買ってくる」というのです。「一番高いのを」と、1万円を渡したところ、「1050円でいいです」と1050円を私からもらって去っていき、1050円の領収書とともにドリンク剤を届けてくれました。

つまり、ホテルマンは、近くのお店にあるドリンク剤の値段までちゃんと知ってたんですねえ。で、とても厳しい規則にかかわらず、ホテルの外に出てきたみたいなんですねえ。

ドリンク剤を飲んでもカラダの震えはひどくなるばかり。のども痛くてしょうがないし、とにかく尋常じゃないと思ったため、結局救急車を呼んでもらいました。救急車の中で熱をはかってもらうと40度以上であることがわかり、隊員の方も驚いていました。点滴を打ち、座薬を入れ、深夜にホテルに戻り(明日仕事のため)、その出張中は座薬はじめ各種お薬の世話になりながら過ごしました。

しかし、どうです?このホテル。薬は置いてない。臨機応変な対応もできない。人情はない。二度と泊まりたくありません。
(Sさん)

 

■作者コメント

いただいたメールにはホテル名も記してありましたが、本誌購読者ではないようでしたので、ホテル名は伏せておきます。桜木町や中華街から徒歩圏内の、ごくふつうの独立系ビジネスホテルです。

状況を考えれば、フロントに「何とか助けて欲しい」というお気持ちはよく理解できます。が、あまり質の良くないビジネスホテルはこんなもんではないでしょうか? むしろ、なんだかんだと言いつつも、結局はドリンク剤を買ってきてくれたわけですから、一定の評価はできると思います。「建物が古い、部屋が狭い」から低料金、ということではなく、「低料金=サービスのレベルも低い」との認識をもつべきです。

 

■読者の意見

○Sさん

今回の薬の投稿の件ですが、ホテル側は持ってても提供しないのが「常識」ですが…。もし、渡した薬で、そのゲストが急変されたら、誰が責任を取るのでしょうか。遺族?にどう説明されるのでしょうか。以上の理由から渡しません。その場合は、日本の場合は救急車を呼ぶかどうかの判断、海外の場合はホテルのホームドクターを呼ぶ判断(ただし、保険の有無確認要)となるはずです。

○Tさん

当時、Sさんは相当苦しんでいたと想像できますので、おかわいそうとは思います。しかし、医師であり、それが故に夜間病院で一人になることがある私は、冷酷と判断されたフロントマンの対応は、彼の裁量内で十分なものだと考えます。医師である私は、医療機関で薬剤を処方する以外は、プライベートでは薬剤を他人に渡しません。(家族ほど近い人は別ですが) お相手の常用薬・既往歴などにより、使用すべきでない薬剤が存在するからです。

もし、Sさんが喘息を既往としていた場合、解熱鎮痛剤(一般的に「熱冷まし」や「痛み止め」と呼ばれていて薬局で入手可能)が重症の喘息発作を引き起こし、死に至ることもあります。他に、Sさんが糖尿病薬を常用しているときに、特定の抗生物質を投与すると、糖尿病薬の肝臓での分解が妨げられて糖尿病薬が効き過ぎ、低血糖発作で意識消失に至ります。

これらの例でも、他人に薬剤を渡すことの責任の大きさをSさんに分かっていただけると思います。また、たった一人のフロントマンが外出をしている間に火災報知器が鳴りだしたら誰が素早い対応をするのでしょうか。ホテルスタッフは、旅客機のキャビンアテンダントと同じく、非常時には保安要員に早変わりするのではないでしょうか。

買い物をしたのはルールの逸脱ではありますが、精一杯のサービスをしたと思います。(ひょっとしたらSさんが翌日に上司に対して苦情を言うのを恐れて、Sさんの怒りを半分にするために、買い物に行ったのかもしれませんが…。)契約医療機関を持ち夜間も複数のスタッフが常駐するシティホテルと同等のサービスを規模の小さいビジネスホテルに求めるのはお門違いと私は考えます。話し方には問題があり、上手なセリフならSさんのお怒りを招かずにすんだかもしれませんが。

○Bさん

Sさんの病気になった時の対応の投稿を読んで思い出したので、ちょっと古い話ですが投稿します。私は年に数回プライベートで大阪に行くのですが、数年前、大阪の○○○ロイヤルホテルに宿泊しました。飛行機に乗っている時から少し調子が悪く、大阪に到着した時には頭痛と胃がムカムカしている状態でした。夕方だったのでそのままチェックインし、とにかく薬を飲んで寝てしまおう、でも部屋からは動きたくない、動けない、という状態だったのでルームサービスを取ることにしました。メニューを見るとあいにくお粥のようなものがなく、お米ものとしては、おにぎりとお茶漬けがありました。一緒にいた友達がお米とお湯があるんだから頼めば何とかなるかも、と係りの方に聞いてくれましたが、答は「できません。」 で、結局お茶漬けを少し食べて薬を飲んで寝たのですが、それ以降何となく○○○ロイヤルには宿泊していません。

その後、東京のパレスホテルに泊まる機会があり、その時は友人が発熱、どうしようかなとは思いましたがメニューにないお粥を頼んでみたら、何の問題もなく二つ返事で作ってくれました。どうという事はない事かもしれませんが、単純な事でリピーターにも不宿泊者にもなる、と感じた2ホテルでの出来事でした。

 

*このページの内容はメールマガジン No.186(2002.12.06発行)・No.187(2002.12.13発行) に掲載したものです。

トップページ][このコーナーのトップ][二度と泊まりたくないホテル(インデックス)