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新高輪プリンスホテル (東京・高輪)

▼読者投稿

二度と泊まりたくないホテルといいますと、もう私にはあのホテルしか思いつかない、というところがあります。今から2年半程前に宿泊した新高輪プリンスホテルです。いつもはラフォーレ東京に宿泊していたのですが、その時は空室がなく、同じ品川近辺で探していたところ、旅行会社の格安プランで新高輪プリンスを見つけ宿泊しました。

宿泊以外の用事ではよく品川のプリンス村を訪れていましたが、実際宿泊するのは初めてでした。部屋の入り口には小さな白い門があり(それはわりと古ぼけてはいますが)、今まで宿泊したことのない雰囲気にワクワクしました。部屋に入り私がいつも一番最初にするのは、トイレ・バスを確認することです。どれくらいの広さなのかを確認するのです。新高輪プリンスは、他のホテルに比べて多少広い感じはしましたが、白い蛍光灯が古臭く、全体的に無機質な感じがし、あまり居心地のいいところではありませんでした。部屋全体は想像以上に広く、その日の天気が晴れだったことや、ベッドカバーがピンクの花柄のせいもあり、大変明るい雰囲気でした。

窓側に置いてあるこれもまたちょっと古臭いイスに座り、ふと、部屋備え付けの真っ白なコーヒーカップに目が行きました。「お湯を沸かしてお茶を飲もう」と思いました。しかし、一つのコーヒーカップを手にとって驚きました。ふちにべっとりピンクの口紅がついているのです。もちろん私は今部屋に入ってきたばかりなので口にもつけてもいません。前の宿泊客のものに違いありませんでした。

今までいくつかのホテルに宿泊していましたが、そんなことは一度もありませんでした。レストラン等で最初に出てくるお水のコップを、必ずきちんと洗っているか確認してしまうほど神経質な私は(わりとレストランのコップにも口紅の残りや食べ物のカスがついていたりします)、やはりそれと同じことをホテルの部屋にあるコーヒーカップにものしたです。というか、調べる前に口紅の跡は発見できる程はっきりした物でした。

大型ホテルで従業員の手がこういう細かいところにまで行き届かないのかなあと思いましたが、人気があるにもかかわらず、こういうところで手抜きをしているのかとも思い、いくら安いプランを使ったとはいえガックリしました(それでも一人10,000円程は出していますが)。ホテル側にすぐ連絡をすればよかったのですが、そんな気分にもなれず、とりあえずその日はそのことを抜かせば楽しくすごせたので、連絡せずに翌日チェックアウトしました。

このような理由で、もう二度と新高輪プリンスには宿泊したくないと思いました。また、新高輪がこんな状態ならば、きっと品川の他のプリンスも同じようなことになっているのではないかと思い、泊まり気をなくしてしまいました。こんなことってよくあることなのでしょうか? 私ははじめての経験でした。
(Rさん、女性、20才代)

 

■作者コメント

以前に、「筆者が考える『いいホテル』の条件」について述べたことがありますが、その一つとして「清掃・メンテナンスがしっかりしていること」という項目を挙げました。その中で「バスルームに前日客の髪の毛が落ちていては興ざめ」だと書きましたが、今回の件はそれと同質のことと言えます。建物や調度品などの物理的な古さは別として、清掃や手入れがどの程度キチンとできているかが、そのホテルの基本姿勢を計る一つのバロメーターになると私は思っています。

Rさんが「新高輪がこんな状態ならば、きっと品川の他のプリンスも同じようなことになっているのではないか」と思うのは当然です。たしかに、日常茶飯事的にこのようなことが起こっているとは思いませんが、清掃係のたまたまのチェックミスが一人のリピーター獲得の機会を逸したわけです。

 

■関連サイト

新高輪プリンスホテル
http://www.princehotels.co.jp/newtakanawa/

 

 

▼読者の声・拡大版

上記の件に関していただいたご意見をご紹介します。

 

私も2年前の11月にRさんと同じ経験をしました。私の場合は帝国ホテル大阪でした。1週間くらい神戸で仕事があったのですが、何泊かオークラ神戸に泊まった後帝国ホテル大阪に1度は泊まってみたいと思い、足を運んでみました。大阪駅からは少し離れていてホテルの送迎バスを利用しなくてはならないのがちょっと不便でした。そこで例の問題は起きました。

朝、寝ぼけながらカップにティーパックを入れてお湯を注いで飲もうとしたところ、なんと飲み口に真っ赤な口紅がついているではありませんか。これで目がすっきり覚めてしまいました。まだオープンから1年経ったばかりで、まさに手抜きとしかいいようがありません。仕事などで結構いろいろなホテルに泊まりましたが、こんなことは初めてでした。すぐに客室係に連絡するとアシスタントマネージャー(?)と客室係の女性が謝りに来ました。チェックアウトするときにフロントの人も謝っていましたが、あまり気持ちのいいものではありませんよね。
(Y・Sさん、男性、30才代)

 

かつて(10年位前のバブルの頃)都内の某プリンスホテル(高輪ではないです)で客室清掃のアルバイトをしていた経験からすると、カップの口紅のような清掃ミスはよくあることです。私のいた時期は「湯飲み」と「タンブラー」、それに洗面台のうがい用グラスの3種でしたが、前のお客様が使用された後、あったとおりに置いてあるとうっかり見落としそうになります。

また、私のようなアルバイトは時給が固定されており、ゆっくりやっても怒られないのですが(あまり遅いと他の仕事に回される)、清掃のパートさんは1日に何部屋できるか競い合っているところがあり、時給にも反映されるので、ベテランだから丁寧というようにはなかなかいかないのです。

清掃した客室は、清掃会社の男性社員が点検するのですが、親しい点検係にチェックリストを見せてもらうと、多くの部屋に「グラス指紋」「バスルーム髪の毛」「バス垢」「ティーバック不足」「デスクほこり」といった不適切な状態がかなりの割合で見られたものです。その点検係も人間です。これら清掃係のミスをうっかり見落とすと・・・ 特に、繁忙期には点検係の男性社員も清掃にかり出されることがあり、清掃の片手間に点検などというシーンも見られました。

実際、私が廊下を歩いていると、「おい、兄ちゃん。このグラスはなんだ、汚いぞ」とお客様に呼び止められたこともあり、すぐにきれいなグラスを持っていったこともありました。この場合は現場で片付いたので、先輩に報告して終わり(そこから上には話がいかなかったようです)でしたが、たとえば内線を通してホテルの客室係に電話でグラス交換の要請が行ったりすると、あとで私たちは大目玉で、そういうことは短いバイト期間の間に何回もありました。

先日の赤坂プリンスのときにも書きましたが、とにかく不満があるときにはそれをホテルの責任者に伝え、対処させることです。カップの汚れを放置した高輪プリンスや約束の部屋を用意しなかった赤坂プリンスをかばうつもりはありませんが、せっかくのホテルライフを不満のうちに終わらせるのでは料金と時間がもったいないと思います。

もちろん、責任者とはいえ完璧な解決はできないかもしれませんが、それでも現状より快適に過ごせるよう努力はするはずです。そういった対処・努力をしないホテルこそ真の「2度と泊まってはいけないホテル」と言えるでしょう。お客様の苦情、ご意見は私たちホテルマンにとって反省材料であるとともに、ある意味では肥やしでもあります。
(N・Sさん)

 

投稿の方のご意見十分理解いたします。確かに自分が宿泊しても嫌な思いは当然でしょう。しかし、少々思いました。その理由で、2度と泊まりたくないと思うかなと。私だったら、その場でホテルに忠告してその後の対応を見てみたいですね。

今回の1件は1年間で1〜2回起きるか起きないかのミスだったのかもしれません。相手のミスはミスとして認めた上で、その後のホテル側の向上に期待したいものだなと思います。それを「2度と泊まりたくない」としてしまうのは、過剰反応としか私は思えないのですが。

このメールはマスコミの一端を担っているのかもしれません。これを読んで、「ああ、私も高輪ホテルには2度と泊まりたくないな」と思う人がいるでしょう。ぜひ反論投稿の掲載やホテル側からの意見なども掲載してくだされば幸甚です。
(A・Yさん)

 

■作者コメント

N・Sさんが書かれているように、「清掃するのも点検するのも人間」である以上、ミスは起こりうるものだと思います。別に「手抜き」をしているわけではないのでしょうが、諸般の事情を考えれば、この手のミスを完璧に無くす(防ぐ)のはなかなか難しいだろうと思います。

「“ティーカップに口紅”くらいで二度と泊まりたくないと思うのは過剰反応としか思えない」とのことですが、これは人それぞれだと思います。世の中には、電車の吊革を触れないほどの潔癖性の方も存在します。そんな方なら“ティーカップに口紅”はとうてい許し難いことでしょう。

「ホテルの責任者に伝え、対処させること」はたしかに正論だと思いますが、“ティーカップに口紅”の段階ですでに“二度と泊まりたくない”と結論づけてしまう人がいてもまったく不思議ではありません。

「二度と泊まりたくないホテル」のコーナーでは、基本的に投稿者のご意見・お考えを尊重したいと思っています。よほど常識を逸脱した自分勝手なわがままが書かれてあれば別ですが、そうでない限りは反論を展開するつもりはありません。ご了承下さい。

 

*このページの内容はメールマガジン No.077(1999.12.18発行)、No.079(1999.12.27発行) に掲載したものです。

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