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赤坂プリンスホテル (東京・赤坂)

▼読者投稿

私が「イヤな思いをした」のは、20歳代前半のころ赤坂プリンスホテルに泊まったときのことです。全日空ホテルがお気に入りだったのですが、東京タワーの夜景をみたいために、そこに電話で東京タワーの見える部屋を予約しました。

ホテルに着いたのは夕方だったと思います。ロビーに着いてちょっと客層が違うなと感じながらチェックインをしたところ、東京タワーの見える部屋は空いていないので他の部屋にしてくださいといわれました。その上、今は当り前に思うのですが、保証金というか前金を払わされました。なぜ、予約した部屋が空いていないのか聞きたかったのですが、なんだかあなたのような人が泊まるところではないといわれているようで、そのまま別の部屋に泊まることにしました。

東京タワーが見えないのなら赤坂プリンスに泊まる理由は何もないので他の東京タワーの見えるホテルを紹介してくれといいたかったのですが、そんな勇気もなく、一緒にいった妻(当時は恋人)もどこでもいいという雰囲気だったので、私はがっかりしながらそこに泊まりました。

それからはなるべく旅行会社で予約を取るようになりました。電話で対応した人の名前などいちいち覚えていないし、どうしてそういうことが起きたのか理由はわからずじまいです。そういうときは(予約内容と違うとき)どう対応したらよいのでしょうか。私などは、よく部屋の指定まではできませんといわれてしまいますが、この部屋番号の部屋に泊まりたいという希望が叶う人はどういう人達なのでしょうか。やはり、常連の方や大きな会社の役員の方なのでしょうか。一般の人でも花火大会の打ち上げ側の部屋に泊まれることはあるのでしょうか?
(T・Mさん、男性、30代)

 

■作者コメント

赤坂プリンスや東京全日空が HANAKO 族に大人気だった頃が懐かしく思われますが、東京のホテル勢力地図も当時とは大きく変わりました。さらに、今週号の「週刊ダイヤモンド」のホテル特集によれば、今後5年間にシティホテルだけで10軒以上がオープンするとのことです。

「予約した内容と違う!」というトラブルを経験された方も多いと思いますが、その大半は「部屋タイプ」に関するケースだと思います。今回のように、ホテル側の都合による「変更」の場合には、部屋タイプをアップグレードするなど、なんらかの「オマケ」が付加されることが多いでしょう。投稿の文面ではそのあたりのことがよくわかりませんが、「東京タワーが見えないのなら赤坂プリンスに泊まる理由は何もない」のであれば、断固として抗議すべきところです。当時は「そんな勇気もなく」とのことですが、今後は「一歩も引かない」くらいの意気込みで交渉して下さい。ホテル側のミスなのですから、言いたいことは「言わなきゃ損」です。

「部屋番号を指定する」という件は(個々のホテルによって状況は違うでしょうが)できないホテルが多いと思います。「一般客だから」という理由もありますが、何らかの事情でその部屋を用意できなくなった場合には、当然クレームになるわけで、ホテルとしてもリスクを伴う、というのがホテル側の本音だと思います。

花火大会などの地域の特殊なイベントの時には、(イベントの規模にもよりますが)事実上、一般客の予約を受け付けないケースも多いと思います。常連客やホテルカードの会員、出資企業などを優先し、それで「余れば」一般客も受け付ける、ということです。私の地元の花火大会の時には、旅行会社でさえ門前払いの状態でした。一概には言えませんが、そういうイベント時には(コネがなければ)しつこいくらい頻繁に問い合わせるしかないと思います。

 

■関連サイト

赤坂プリンスホテル
http://www.princehotels.co.jp/akasaka/

 

 

▼読者の声・拡大編

上記の掲載文に関し、現役ホテルマンの方から次のようなご意見をいただきました。

私の勤めているビジネスホテルは客室数65室の小さなホテルで、シングルルーム主体ですが、料金の安い「禁煙室」を持っているため、部屋の割振にはいつも悩まされます。筆者のおっしゃる通り、ホテル側の都合による「変更」の場合には、部屋タイプをアップグレードするか、料金を安いタイプに揃えて値引きするかしているので、赤坂プリンスホテルの対応は信じられません。タワーの見える部屋を提供てきなかった理由として考えられるのが、タワーの見える部屋のオーバーブッキングです。当日たまたまタワー側の部屋が不足したため、T・Mさんを初めとした何人かのお客さんが「狙われた」のかもしれません。

それでは、なぜT・Mさんが狙われたのかといえば、「ホテルに直接予約したいちげんさん」だからだと思います。JTB等を利用してホテルクーポンを買うと「アンケート葉書」がついてくるのですが、これにホテルへの苦情を書くと大変なことになります。そのため、クーポンのお客さんは極端に粗末には扱われないものの、私がシェラトンで味わった画一的なサービスしか受けられないということになります。一方でホテルに直接予約したお客さんの場合、ある意味では優遇されます。(旅行社に手数料払わなくていいもんね) 部屋数が足りなくなったとき、スイートにアップグレードされるのは、多分直接予約の方です。ただし、「タワー問題」みたいなケースの場合、直接予約の方のクレームは内部処理できるため、(いざとなれば責任者がフルーツを持ってお詫びに行く、など) いちげんさんである例えばT・Mさんのような人が狙われたのでしょう。この場合、T・Mさんがまず、奥さんをロビーの腰掛けにすわらせて落ち着き、勇気を出して抗議をすれば、ホテル側の対応は間違いなく変わったかもしれません。

ただ、バブル当時、一流ホテルでは、「ちょっと小金があるから泊まってみる」ようなお客さまを軽視する風潮があったのは事実で、(バブルの時、私は某プリンスホテルでバイトしてた) 部屋番号の指定ができたり、繁忙期にらくらく予約がとれるお客様は、一般的にはそのホテルを頻繁に利用するごく一部の方にすぎません。私の勤めているホテルでも、部屋番号の指定を受けているのは、ほんのひとにぎりの方です。また、保証金なしで宿泊できる方というのも、よっほどの常連さんかホテルが判断した信用のある方、カードを提示した方に限られるのではないでしうか?

結論として、分不相応な一流ホテルに宿泊する場合は、旅行社のクーポンを使った方が「旅行社の顧客」という立場で行けるので、初心者向きです。ただし、これから同じホテルを何回も使う予定のある方は直接予約でせっせと通って名前を覚えてもらうのもいいでしょう。後のサービスが格段に違います。また、抗議の相手先はかならず「責任者」にしましょう。(もし出さないのならロビーの公衆電話からホテルの交換を通してでも呼び出せます) 対応がちがいます。
(N・Sさん)

さすがに現役ホテルマンだけあって当を得たご意見だと思います。(旅行会社に勤めていたという)立場上、私が旅行会社の利用を推奨してもあまり説得力はありませんが、「旅行会社を利用した場合のメリット・デメリット」「直接予約のメリット・デメリット」という観点でみた場合、ご指摘の点は多いに参考になると思います。人によって、また、利用するホテルによって状況は違うでしょうが、「賢く利用する」ためにぜひ知っておきたいことです。

 

*このページの内容はメールマガジン No.073(1999.11.25発行)、No.076(1999.12.11発行) に掲載したものに加筆・修正したものです。

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