■ジムアンバックシステム機動実験機■



ジオン公国で開発されたMSは宇宙空間で
四肢を動かすことにより重心移動し、姿勢制御を
推進剤を使うことなく行うことが出来た。
一年戦争終戦後公国軍MSの性能や
開発経緯が明らかになり連邦軍技官らは
驚愕することになった。それまでの連邦のMSは
人の形態ならびに動作としての手足の構造の追求でしか無くアンバック機動などの発想は皆無に
等しかったのである。
これは重力がある場所で開発された連邦MSと
宇宙機として開発された公国軍MSの
経緯の違いがあった為である。

戦後UC.0087年に連邦軍は
アナハイムエレクトロニクス社(ア社)に
空間機動実験機の開発を要請した。
これはMSの更なる発展のために
データを取りを行うもので既存のMSのパワーアップを
はかりオプション兵装として着脱が可能な物として
発注が成された。
ベースとして連邦軍から提供されたのは最新鋭の
ジムクゥエルであり当時連邦軍内でもっとも高性能で
標準的な体型等の理由が挙げられた。
しかし裏を返せばジオン軍残党討伐部隊として
同年に発足されたティターンズにも
配備された機体でもあり、
それが提供されたということは
連邦軍の怠慢か軍開発部外の民間会社に
新システム開発を頼まなければならないほどに
余裕が無かったと見られている。

発注されたア社の技術人は、連邦技官からの
要求を満たすべく
空間機動機としてのデータ収集の実験機と更に
実用に耐えうる量産機としての
試作機を同時に作る必要があったため、
さまざまな条件に対応できるように
フレキシブルな構造物を作る必要があった。
構造をモジュール単位に分ける事が可能で
可動アームの先端にはさまざまな重量の
ウエイトが取り付けられるようにマウントラッチが
装備されることになる。
バックパックのメインロケット2発を中心に4本の
可動アームを配置し肩と腰部に同型の
可動アームを取り付け、合計8本の可動肢が
無重量空間におけるMSの姿勢制御や動作に伴う
挙動を打ち消す役割を果たす。
しかし、8本の可動肢は手足と同じ自由度を
持つため構造や制御プログラムの複雑さ
製造における完成度やコストの問題で生産計画は
見送られる事に成る。
しかし稼動データは後に開発される第2世代MSに
使用されている。
特にアナハイム製のMS・リックディアス・百式の
背後に装着されているバインダー、
Zガンダムのテールスタビレイター、
Sガンダムの肩に装着されている
スタビライザーなどである。
連邦製の可変MSにも可動肢を装備されている物も
多く本機のアンバックシステムは製造される事は
無かったが実験機としての役割は十二分に
発揮した物と思われる。