『榎本香菜子個展』2006.03.20〜03.25 銀座シロタ画廊
作品名『PASSENGER PIGEON』  

階段途中に横たわる旅行鳩は、人間が恣意に絶滅させた鳥のシンボルである。階段は人間の未来に続く歴史のシンボルであろうか、旅行鳩が絶滅した1914年からほぼ100
年になろうとしている。100年がひとつの階段と考えると、人類はわずか一段上がったにすぎない、歴史の上で100年は一瞬である、人は目の前に驚異がおきないと目が覚めない。

空を覆うほどの旅行鳩も絶対に絶滅しないと信じられていた。私は人が壊してはならない領域に踏み込み、壊しているように思われてならない、地球温暖化である。気候は生存する生物すべての土台である。石油(化石燃料)は代替えエネルギーを見つけるだろう、しかし気候は変動を始めると一気に崩れる、この怖さに人は気づかない。文明は自然の驚異に対抗できない、対抗できる思うのは人の奢りである。2005年に起きたアメリカ「カテリーナ台風」の被害を真摯に受け止めなければならない、人々は、ただ逃げることしかできなかったことを。

古代文明の滅亡は気候変動から始まった。今もこのことは変わらない、絵のように人類の未来が何段も続くように祈るばかりです。

  作品名『綿毛は舞う』

榎本香菜子さん独特な変形額である。屋根下の舟はノアの箱船である。

勝手な想像だが絵の風景は雨が引き箱船の人々が初めて目にした地球の風景かもしれない。まだ、空にも地面にも動き回る生物の姿は見えない。ただ風の音だけが聞こえる風景である。古代にはあちこちに洪水伝説がある。

シロタ画廊
東京都中央区銀座7-10-8
HP.www.gaden.jp/shirota.htm
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