スーパー耐久 2004シーズンへの道

78号車の作業記録

その2

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次期ドライバーズシートを狙っている!?


2004年 2月 1日(日)

2月7日にスポーツファクトリー広島主催のTIサーキット走行会へ78号車が招待されている為,ダッシュボード回りの最後の仕上げとアライメント調整を行いサーキット走行に備えます。

アライメント調整はおいらが作ったスペシャルキャンバー・キャスターゲージと糸を張ったトー測定法で測定&調整し,調整値の決定は当然「足回りの神様」である伊藤さんが行いました(^^)。

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お手製のデジタルキャンバー・キャスターゲージです。
構想5年,製作2ヶ月,制作費ウン万円です(笑)。
ちなみに構想5年のほとんどがキャスターの計算方法で費やしましたが...。

これまたお手製のターンテーブルの上に4輪を乗っけて測定します。

このアライメントテスター詳細は,ながつR&D社(笑)の企業秘密が満載なので多くは明かせませんが,下の表の様に4輪アライメントテスターで得られるのと同様な測定結果がご家庭で得られます(^^)。

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2004年 2月 3日(火)

タコメーター用の信号を取り出す話の続きです。

イグナイター信号を分岐して直接タコメーターへ信号を送った時にイグナイター信号の通電時間,すなわちドゥエルタイムに変化が無いかを調べてみます。タコメーターへ信号を分岐して与えることによってドゥエルタイムが長くなっていたりすると,イグニッションコイルへの通電時間が長くなってしまい,コイルがいかれる可能性があるのでそれをチェックするのです。

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まずこちらがイグナイタのみに出力している時。
ドゥエルタイムは2.772msです。

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次にイグナイタへの配線を分岐させタコメーターへの信号を一緒に取り出した時のドゥエルタイムです。
この時も2.720msとタコメータをつながない時とほとんど変化無く,イグナイタ信号を分岐しても問題なさそうなことが確認できました(^^)。

でも一応アンプでも作った方が良いかな。


2004年 2月 4日(水)

イグナイター信号からタコメーターへの出力信号を出すアンプの回路を考えます。

イグナイタ信号の電流に対してトランジスタへ掛かるベース電流を極力小さくしてやることが出来れば,点火信号への影響は無視できるようになると思いますので,トランジスタで簡単なアンプを製作することにします。
どの程度電流を小さくすれば良いか良く解らないのですが,100分の1程度にしてやる事が出来れば全く問題は起きないでしょう。

てなことでちょいと回路を考え中です。

今週末のTIには間に合わないだろうなぁ(^^;。


2004年 2月 5日(木)

明後日に走行可能なように最後の作業を行います。

と言っても,フルバケを付けたりドアミラーを替えたりしたくらいかな?


2004年 2月 6日(金)

TIの走行会では同乗走行もあるそうなので助手席とシートベルトも取り付けることになりました。

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2004年 2月 7日(土)

スポーツファクトリー広島のTI走行会にゲスト走行&セッティングに行ってきました。
もちろんおいらが走るわけではなく,A・Bドライバーの新宅さんと伊藤さんが走行します。

午後の1時くらいからの走行なので朝に78号車を積車に積み込んで割とゆっくり出発できました(^^)。

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TIサーキットに無事到着し,早速積車から78号車を降ろします。
やたら寒かったっす(^^;。

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雪も降り始め,かなり気温が低かったので伊藤さんがラジエータにガムテープを貼ってオーバークール対策を行っています。
それにしても走行前のブリーフィングの時には大雪になっており,走行出来るか怪しかったです。

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 何とか昼過ぎには雪も止んでスリックタイヤでの走行ができる状態でした(^^)。
それにしてもこのカラーリングはサーキットが似合いますね。

但し新宅さんとかはゲストとして呼ばれているのでアテンザでのマーシャル走行や同乗走行の要請が多々有り,78号車にはあまり乗れませんでしたが,リセッティングしたアライメントやスプリングのフィーリングの確認や,点火時期のやドエルタイム等の変更を行ったデータを試したりすることができました。

 今回リヤにテンダースプリングを追加したことによって,伸び側のストロークが増えイン側のタイヤを有効に使うことができるようになったのと,アライメントを取り直したおかげか,なかなか乗りやすくなりコーナリングの限界も高まったそうです(^^)。

エンジンの方は点火時期の見直しで中回転域のトルクの立ち上がりが向上したようですが,まだ高回転域の伸びとブーストのオーバーシュートがいまいちだったようです。

まあ,燃調の方はラムダコントロールが効いていればそんなに問題ないはずと思っていたのですが,ストレートを走る78号車を観察していると,明らかに燃料が濃い感じがしました。そこで伊藤さんにコックピットに設置したA/Fセンサーの高回転域の表示を確認して貰い,後でMOTECのログデータと比較したら,なにやら空燃比で1.0くらいのズレがあるようで,MOTECではそれなりの空燃比でコントロールしているつもりなのですが,実際には1.0くらい濃いような感じでした(^^;。>ラムダセンサーのキャリブレーションにでも問題あるのかな?また調査が必要ですね。

 また,ブーストの方は2003年のTIのデータから変更なしだったのですが,オーバーシュート時に1.1kg/cm2くらい,安定時には0.9〜1.0kg/cm2と2003年のTIのの時より若干高くなっていました。何でだろう?原因は考えてもすぐには解りそうもなかったので,とりあえずブーストリミットを0.8から0.6kg/cm2へと下げてみたのですがぜんぜん変化なし。ウエストゲートバルブのAverage Positionの値をいじってみる必要があるかもしれないと思いましたが,時間がなかったので試すことができませんでした。どっちにしろもう少し調査とおいらの勉強が必要ですね(^^;。

 タイムの方は今回は路面温度もメチャ低いし,タイヤも使い古しだったしエンジンの調子も様子見の段階だったのであまり気にせず,現地では計測しませんでしたが,帰ってきてからMOTECのログを見て確認したところ,伊藤さんが僅か数周しか走っていなにもかかわらず1分42秒台をさらりと連発していました(^^)。ベストは1分42秒59!去年の78号車の予選タイムは伊藤さんが死ぬ気で走って1分43秒647だったのでシェイクダウンにしてはまあまあでしょう(^^)。

ちなみに去年のC-3クラスの予選トップがRX-7の1分39秒237でしたが,路面の全面補修により今年のトップタイムは1分37秒フラットくらいになるのかな?でもトップクラスのお金持ちチームは予選と決勝でタイヤを使い分けているそうなので決勝では1秒くらい遅くなると仮定すれば,1分38秒くらいをターゲットタイムとすれば上位に食い込めるようになるでしょう。

と言うことで今回のタイムからタイヤを新品にして−2秒,本チャン走りで−1秒とすると,あと1秒ちょい車のセッティングで詰めれば1分38秒台となり,表彰台も夢ではなくなるかも(^^)。>そんなに甘くは無いって(^^;。もう少しがんばってみましょう!


2004年 2月8日(日)〜11日(水)

TIの走行会で確認された空燃比のズレをチェックします。
とりあえずアイドリング状態で燃料マップを書き換え,空燃比を14.7付近から10付近まで変化させ,それぞれ時のA/F計とMOTECの表示を比較してみますとやはりズレが有り,そのズレ量はA/Fの値によってちょいと異なっていました。

空燃比計はNGKのAF BOOST METERを使用していますが,このメーターからの出力はリニアに変化する0〜5Vでして,実際に出力電圧値を測定しても正常でしたので,MOTEC側に問題がありそうです。おそらくMOTECのラムダコントロール機能のSensor Calibrationの値が異なっているのかな?

エンジン停止状態でMOTECへ空燃比計の変わりの信号を0Vから0.1Vずつ上げていき,空燃比計の出力値とMOTECの表示が同じになるようにSensor Calibrationの値を調整してみました。

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パソコンの下にあるのが可変電圧電源。
これからMOTECへ擬似信号を与え調整を行います。

ほぼ完璧に調整できたので配線を元通りにしてエンジンを掛けてみると...空燃比計とMOTECの値がぜんぜん違っています(^^;;;;。
はて?何でだろう??


2004年 2月12日(木)

ラムダセンサーからの出力端子が断線しているのを発見(^^;;;。

普通なら断線したら信号が入らずMOTECのモニターですぐに解るのですが,出力電圧を抵抗で1/3に分圧しており,アース側が断線しても分圧用の抵抗を返した電圧がMOTECに入ってきて,若干異なるけどそれっぽい値が表示されていたため断線が良く解らなかったのでした。

もちろん断線を修理して,再度昨日と同じように正確にキャリブレーションをやり直しました。

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今度はエンジンを掛けても空燃比計とMOTECばっちりでした(^^)。


2004年 2月15日(日)

再びダッシュボードを外して配線関係の細かい仕上げを行いました。

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A/F計の左隣に電源SWを新設しました。
センサーにはヒーターが内蔵されており,冷間時にエンジンを掛けると排ガス中の湿気がセンサーに付着してしまい,最悪センサーが破損する恐れがあるとの事で,冷間始動時にはA/F計の電源を切っておき,完全暖気後に電源をONにする必要があるからです。

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メーターのイルミネーションの配線がされていなかったので,これを復活する作業もやっておきました(^^)。
と言うのも,以前に新宅オーナーから「メーターを最近流行りのデジタルパネル式に換えたいねー。」と提案が有って,伊藤さんにMOTECのダッシュロガーの値段を調べて貰ったところ,プライベーターにとっては天文学的な値段で諦めた経緯があったので,せめて目盛りくらい光らせてあげようと思ったのでした(笑)。
まあ,十勝24Hに出ることは無いでしょうから,別に必要な無いのですが...(^^;。

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今まで設置してあったMOTECの電源SWがONの状態でほんの少し触っただけでOFFになってしまうタイプであったことが,いろいろ作業している時に気付きました。これでは走行中に大きな振動が有ったりしたら,スイッチのレバー自体の重みで瞬間的にOFFになってしまう可能性があるので,手持ちの中間付近でON-OFFが切り替わるタイプのスイッチと交換しておきました(^^)。

以前より縁石に乗り上げるとガス欠のようにエンジンが失火する症状が出ており,燃料系統を確認してもコレクタータンクもしっかりついており特に問題なさそうだったのでずーと悩んでいたようですが,ひょっとするとこのスイッチが原因だったのかもですね。


2004年 3月 8日(月)

スポーツファクトリーのTIサーキット走行会の時にブーストのコントロールがいまいちで,ブーストが上がり過ぎたりオーバーシュートし気味だったりしてましたが,おいら的にターボ車は初めて手がけるのでブーストの制御が良く解りませんでした。いろいろ勉強して理論的には何とか解ってきましたが,やはり実際にエンジンを掛けてブーストが掛かる状態でテストしないと確信が持てません。しかし,ガレージで空ぶかしだけではブーストが掛からないので実際に走る必要があるのですが,TIやMINEに行くのは面倒だしお金が掛かるので,伊藤さんのコネクションでテクニックステージタカタを特別に借り切ってテストできることになりました(^^)。

レースがあるサーキットとはスピードレンジが違うので足回りのセッティングは出来ないし,長い時間ブーストが掛かった状態が維持できませんが,何もしないよりは遥かにマシです。

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前々日に大雪が降ってタカタの周りは雪だらけ(^^;。

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しかしコース自体には雪はありませんでした(^^)。
実は前日の日曜日に2輪の走行会が有ったらしく,その日の朝はコース上も雪だらけだったそうでうすが,走行会に来た人達がどーしても走りたいと一生懸命除雪したそうです(^^)。
おかげ様でスリックタイヤの78号車も何とか走れそうです(笑)。

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伊藤さんのドライブで助手席においらがパソコンを持って乗り,リアルタイムでブーストコントロールの為のパラメーターをいろいろ変えてセッティングを行っていきます。ある程度走ったらピットに戻りログを確認した後に,再度セッティングを繰り返しました。

結果的としては完璧にはオーバーシュートが抑制できませんでしたが,パラメーターの変更によるブーストの掛かり具合の関係をある程度掴む事が出来ました。しかし,全体的にパラメータ変更に対するレスポンスがあまり良くないのでブーストコントロール用のアクチュエーターやソレノイドバルブ等のハード的な要素も見直した方が良いかも。

もう少し研究してみましょう(^^;。


2004年 3月20日(土)

今日は78号車を洗車してあげました(^^)。

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ガレージから出して家の前の道路で洗車するのですが,相変わらず民家の前に置いておくには違和感がありますなぁ(^^;。


2004年 3月26日(金)

4月の始めにMINEにテスト走行に行く予定になったので,それまでにもう少しブーストのコントロールを良くする為,ウエストゲート用のソレノイドバルブの制御と実際の動作を再確認してみることにします。

まず,78号車のターボのブースト制御は下図のようになっており,過給された吸気を利用してウエストゲートを開く事でブーストを下げるようにしますが,その間に図のValveと書かれたソレノイドバルブをかまし,そのDuty比(電気信号のON-OFFの比)を変える事でウエストゲートへ送るエアーの量を制御し,ブーストをコントロールします。この際Duty比が高いとブーストが上がり,その逆にDuty比が低いとブーストが下がるようになっています。

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MOTECのログによって過去に走行した時のDuty比を見てみると,スロットルを全開にした瞬間にDuty比を10%位まで下げてオーバーシュートを抑えようと制御的にはがんばっているようですが,アクチュエーターへのエア流量が足りないせいか,結果的にはオーバーシュートしてしまっています。

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制御方法はPD制御と言う比例(Proportional)制御と微分(Derivative)制御を合わせた持った制御を行っており,それぞれのゲインをソフト上で変更する事が出来ます。ハード的にマッチングが取れていてばこれらのゲインを調整するだけである程度コントロールできると思うのですが,前回のテストではこれらのゲインを変えてもあまりオーバーシュートに変化がありませんでした。

やはりハード系にも改善の余地があると思いウエストゲージバルブの動作を確認する事に。コンプレッサーから1kgf/cm2のエアーをウエストゲージバルブ用のソレノイドバルブに直に与えて,エンジンを掛けない状態でMOTECのテストモードにてソレノイドバルブのDuty比を変化させてウエストバルブの開き具合を確認します。

いろいろデータも取って見ましたが,それ以前にウエストゲートの開くスピードがかなり遅いのが気になりましたね。これでは制御レスポンスがいくら良くてもブーストの立ち上がりに追従せんなー...と思ってたら,何かソレノイドバルブからシューと音がします。エアー供給に使っているエアーガンからも若干音がするのですが,明らかにソレノイドバルブからも音がしています。石鹸水を作って漏れチェックするとバルブのあちこちから泡ブクが出てきます(汗)。ご臨終です(^^;。

また,供給側のエアー圧を1kgf/cm2に保った状態で圧力計をソレノイドバルブの下流に取り付けてみると0.75kgf/cm2まで下がっており,その差の圧力分だけエアーが漏れていた為,ウエストゲートのアクチュエーターの動作が鈍かったようですな。

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これがウエストゲート用のソレノイドバルブ。
MOTECから購入しているのですが舶来品なので品質がいまいちなのかな(笑)。


2004年 3月28日(日)

新宅さんに報告したら早速ソレノイドバルブの新品を手配してくれることに(^^)。
それが届までMINEへのテスト走行は延期になりました。


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