スーパー耐久レースを戦っているチームテスタスポーツのお手伝いを2003シーズンからすることになったのをきっかけに,レースカーのメンテをシーズンオフ中に引き受けることになりましたので,その作業内容を記録がてらにレポートすることにしますね。
と言っても大げさな作業は出来ないと思うのですが,毎年シーズンオフのメンテはあまりやる機会がなく,ガレージで眠ったまま次のシーズンに突入して,結局レース前に徹夜でメンテしている状態だったそうなので,今のうちにおいらのガレージでコツコツメンテすれば今までよりはちょっとマシになるかな?と思って引き受けました(^^;。
2003年12月28日(日)
78号車をおいらのガレージへ運び込みました。
もちろん積車に積んできて貰いましたが,住宅街での積車&レースカーはとっても違和感がありましたね(笑)。
とりあえずガレージに入れてみました。
ロードスターと比べると,当然ですがかなり大きく感じます(^^;。
シャッターを閉めるとギリギリ車の周りを一周できるくらいです。
家の前の道路から見るとかなり怪しい...。
ちなみにおいらのロドスタは,町内会の駐車場が正月連休中だけ開放してくれているので,しばらくはそこにおいて置けますが,連休中だけでは作業が終わりそうも無いので,それ以降はちぇる邸にて預かって貰うことになりました。>ちぇる君ありがとうですm(__)m。
どっちにしろ今日からロドスタをガレージの外に出すことになるので,ホイールの盗難や幌を破っての車上荒らしを心配して,純正ホイール&スタッドレスとハードトップを装備し,A/Fセンサーや無線機など車内の装備も極力外しておくことにしました(^^;。
2003年12月31日(水)
まず最初に,以前よりセンサー類にノイズが乗って高回転時の点火時期が大幅に狂うような症状があり,原因は良く解らないが,どうも電気系統が弱いような感じなのでその調査をするのと,その原因にもなっていると思われるぐしゃぐしゃの配線をじっくり整理します。
これは2003年8月頃の状態。
そしてこちらは2003年9月に行われたTIレースの後の状態。
TIでのレース前にラムダセンサー(空燃比計)が取り付けられたので,更に配線が訳の分からない状態になっています(^^;。
写真の左奥の方にMOTECがある筈なのですが,全く見えませんです(汗)。
ちなみにオレンジ色のクーラーボックスはビールを冷やす為の物ではなく,クールスーツ用の冷水を入れておく為に設置したものです。(レポートがまだだったな(^^;;;。)
んで,本日は作業がやり易いようにシートや消火器,クーラーボックス等を取り外す作業だけをしました。
また,松田速度の伊藤さんも作業をしに来て,足回りのリセッティングを行いました。
2004年 1月 4日(日)
配線をバラし始める前にエンジンの調子を確認したり,センサー類のノイズを測定しておきたいのですが,エンジンをかけない事にはどうにもなりません。相当にうるさいとは知りながらも試しにエンジンをかけてみましたがアイドリングだけでもかなり煩い。サーキットで聞くよりも遥かに煩く感じますね。まあレース用の完璧な直管エキマニで全くサイレンサーが無い状態なので当たり前か。これではとてもじゃないがここでエンジンを掛けて吹かすなんて絶対に無理!吹かそうものなら向かいの家の窓ガラスが割れて飛び散ることでしょう(笑)。
今まで広島でエンジンの調子を見るときは,わざわざ積車に積んで宇○港まで行って,排気管を海に向けてエンジンをかけて吹かしていたそうなのですが,面倒くさすぎます(^^;。
と言うことで,まず外付けのサイレンサーを作ることにします。
千田ガレージにあるロードスターの純正マフラーでもブッタ切ってどうにかする構想を考えます(^^;。
2004年 1月 5日(月)〜10日(土)
とりあえず千田ガレージへ行って持ち主不明のロードスターの純正マフラーを譲り受けることに。
千田ガレージ2Fの臓器保管所。他にもいっぱい色んな物があります(^^;。
おいらのガレージに持ち帰った後,頭の中でイメージしながら切ったり,合わせたり繰り返します。
それからホームセンターでフラットバーを買ってきて,溶接機でマフラーのステーも作ります。
だいたいのレイアウトが出来たらマフラーとステーを溶接し,パイプは薄肉で溶接が難しいので点付けだけしておきます。
パイプ全周の本溶接は佐竹会長にお願いしてTIGでやって貰うことにしました。
2004年 1月11日(日)
佐竹さんにお願いしたパイプ部の溶接が出来て,外付けマフラーがほぼ完成(^^)。
これを付けたままレースに出れないのが残念なくらいのカッコ良さ(爆)。
佐竹会長にお願いした溶接も完璧な仕上がり!どうもありがとうです(^^)。>会長
さて問題のエンジン音はどうなったか?
恐る恐るエンジンをかけて見ると...「ブォーン..ボボボッ...。」
めちゃめちゃ静かです(^^)v。
軽くアクセルをあおっても下手な純正ロードスターより静かかも(笑)。
純正マフラーなので当然と言えば当然ですが,予想以上の静かさに大満足です(^^)。
これで夜でもエンジンをかけることが出来るようになりました。
製作時に一番苦労したのがエギゾーストパイプ後端と外付けマフラーを連結する部分のパイプの調達でした。
エギゾーストパイプの外径が89mmでしてこれに合うパイプがなかなか無くて,広島中のホームセンターを探すことに。
いろいろ探したところ,食器コーナーでちょうど良さそうなステンの入れ物を発見。
持っていたスケールで測定すると内径が90mm。完璧です(^^)。
元はこんな感じ。
1回も食材を入れる事無く,底に穴を空けられてしまった可哀想な食器君でした(^^;。
2004年 1月13日(火)
マフラーが完成したのでエンジンをかけて,以前から怪しかった点火時期の確認をします。
MOTECにPCを繋いでMOTECの指示と実際の点火時期が合っているか見てみます。
純正のFD3Sの点火時期の確認は,ダイアグノシスのTENとGND端子を短絡させテストモードにするまでは他のマツダ車と同じなのですが,テスト時の点火時期が何故か上死点後20゜(T側)になっており(普通レシプロなら上死点前10゜くらい),合いマークも上死点後20゜に付いています。
しかしMOTECでは点火時期を調整する時のTest Advanceは上死点前にしか設定できないのでFDの標準で付いている合いマークとあわすことが出来ず,M0TECの指示と実際の点火時期が合っているかどうかを見ることが出来ませんでした。
この為,今までセッティングの際に実際の点火時期が何度になっているのか良く分からず困っていることが多いようでした。
そこで写真のようにプーリーのセンサープレートの外側に,元からある合いマークを基点にクランク角を示すラベルを作成して貼り付けて,実際のクランク角をタイミングライトで見れるようにしてみました(^^)。
んで,2003年にTIを走った時のMOTECのDATAでエンジンをかけ,MOTECが示す点火時期と実際の点火時期を見比べると...なんか15゜くらいずれているんですがぁ...(^^;;;;。
具体的にはMOTECのTest Advanceが0度と示しているのに実際には上死点後15゜となっています。ってことは,基本進角マップで上死点前15゜となっていても実際には0゜付近で点火しているような状態でTIのレースをやっていたことになります(汗)。
このズレはMOTECの設定でcriPの値を変更してやればすぐに直るのですが,何故この様な状態になっていたかを調べてみる必要があリますねぇ(^^;。
2004年 1月15日(木)
本日は2002シーズンによくエンジンが壊れていた原因の一つと推測されていたクランクポジションセンサーのノイズの調査をします。
パソコンをオシロスコープ替わりに出来るアダプターを接続して,クランクプーリーに付いているREFセンサーとSYNCセンサーの信号を見てみました。
これがSYNC信号の波形。
大きく立ち上がっているのがSYNC信号でその間の小さい波がノイズです。
このノイズはREF信号からの影響を受けてしまっているようですが,SYNC信号のレベルは約4Vくらいある(スケールが振り切っていますが)のに対し,ノイズレベルは0.36V。S/N比で言うと21dBくらいか。デジタル入力の信号としては問題無いレベルかな?
もう少し回転を上げた状態でも確認してみたいですが,一人ではちょっと難しいので次の機会にすることにします(^^;。
2004年 1月16日(金)
ダッシュボードの取り外し作業開始。
いろんな配線が絡み合っていますが,後で分からなくならないように確認しながらの作業となり,結構時間が掛かります。
夜中はめちゃめちゃ冷えるので途中で作業中断(^^;。気温2度っす(寒)。
2004年 1月17日(土)
伊藤さんにも手伝って貰いダッシュボード取り外しが完了。
ぐしゃぐしゃの配線達。めまいがします(^^;。
とりあえず全ての配線を把握する為に,テスターをあてたりメモを取ったりしていきました。
何とかひと通り把握できたかな(^^;。
2004年 1月18日(日)
どれが何の配線か分かるようにテプラでラベルを付けながら,さらに取り回しも考えながら配線を切ったり足したりて整理して行きます。
とにかくこのサイドバーが乗り降りしにくくて,何度か体がつりそうになりました(^^;。
2004年 1月24日(土)
約1週間掛けて,だいぶ整理出来てきたので配線ミスなどが無いかチェックする為に,仮の状態にてエンジンをかけてみる事に。
問題なくエンジンがかかり,メーター類やMOTECのモニターも問題有りませんでした(^^)。
無事にエンジンがかかり,その他の補記類の動作もOKの様なので最後の仕上げを行って,ダッシュボードの再組み付けを行う準備に取り掛かりました。
2004年 1月25日(日)
ダッシュボードをのせる前にリレー類をまとめて脱着できるようにステーを作成しました。
いよいよダッシュボードを固定しメーターやラムダセンサーやMOTECを取り付けてほぼ完成状態。
MOTECやリレー&ヒューズ類はメンテしやすいように,あえてダッシュボードの表に固定します。
せっかくなのでダッシュボードやドアトリムを拭いた後,アーマーオールを吹いて綺麗にしておきました。
だいぶ整理できて綺麗になりましたな(^^)。
2004年 1月26日(月)
あるデバイスをMOTECで制御したいのだが既にアクセサリー出力端子が全部塞がっているので,何とか4つある内の一つを空けたいところ。と言っても4つのうち2つはイグニッション制御でもう一つはブースト制御に使っており,これは外せません。残る一つがタコメーターの出力になっており,これならエンジン回転のパルスをイグニッションの信号からでも取れば外すことが出来るかも。
と言うことでタコメーターのパルスとイグニッションの信号を測ってみました。
こちらがタコメータへの出力信号。
アイドリング時なのでエンジン回転数は1,300回転くらいです。
と言うことは1秒あたりにエキセントリックシャフトは1300rpm÷60sec=21.7回転しているので
エキセン1回転あたりのパルスは43Hz÷21.7≒2パルス出ていることになります。
FDのイグニッションコイルは3つあり,一つはリーディング側のコイル,残りの2つはトレーリング側のフロントとリヤ用となっておりますが,一つしかないリーディング側のコイルはフロントとリヤを共用しているのでエキセン1回転あたり2回点火するようになっています。
試しにMOTECのリーディング側へのイグナイタ出力信号の波形を見てみました。
デューティ比が異なりますが周波数はほぼ同じですので,エキセン1回転あたりのパルス数はタコメーターと同じ2パルスであることが確認されました。
と言うことでこのイグナイタ信号を拾ってやればタコメータへの信号に使えるはずです。また試しにこの信号を分岐してタコメータにちょっと繋いでみたところちゃんとタコメーターが動作しました。しかし,信号を分岐することによる弊害があるかどうかを一応調べてみるまでは,配線を変更するのは止めておくことにします(^^;。
2004年 1月29日(木)
2003年のMINEの時にイグニッションコイルにトラブルが出たのでFDの純正データとMOTECのドエルタイムの調査を行いました。
ドエルタイムとはイグニッションコイルへの通電時間のことでこれが長いと点火プラグに強い火花が発生できるのですが,その代わりにコイルが発熱し不具合をきたすことがあるのです。
ちなみにFDの純正ECUのデータはどこかのホームページに出ていた情報と,何故か以前に雨宮のコンピュータから吸い取ったデータがあったので,それらを見ながら解析しました。
結果,MOTECのデータではバッテリー電圧が15Vの時;3ms,純正では同じく15Vの時;約2.6msと僅かではあるが今までMOTECで使っていた値の方がドエルタイムが長いのでイグニッションコイルに負担が掛かっていたかもしれない事がわかりました。
一応TIの時にはコイルのとこまでエアーダクトを設けてコイルを冷却するように対策が施されており,レースでは問題が出なかったようではあるが,コイルが純正なのでドエル値も純正の値を使った方が良いかもしれないですな。
純正ドエルマップを発見したついでに,MOTEC用のデータを試しに作ってみることにしましょう。
2004年 1月30日(金)〜31日(土)
純正のドゥエルタイムを元にMOTEC用のMAPを作成。
今度テストしてみます。って言っても違いは解らないだろうなぁ(^^;。