スーパー耐久レース 2009シーズン

78号車の作業記録

 知り合いがプライベートでスーパー耐久レースに毎年スポット参戦しておりますが、このレースは日本ではスーパーGTに次ぐハコのレースで当然全日本クラスのレースで、エントリーするチームも昔からレースを得意とするショップ等が自動車メーカーの息のかかった数千万もする車両でスーパーGT等にも出ているドライバーを従えて出場しており、純粋なプライベーターが参戦できるような格式のレースではありません(^^;。 しかし、チームオーナーである知人は、いつかはプライベーターでも本職のチームをやっつけてやろうと、このレースに10年も前から挑戦し続けており、おいらもこの挑戦に加わりたく2003年度よりマシンのセッティングや整備、不具合対策、制御関係等々のお手伝いをしております。

とは言え、本格的なレースメカの経験や知識があるわけでも無いので、今までプライベーターとして培った経験と知識だけでどこまでプロのレース屋と勝負できるか?という思いだけでコツコツと車両を整備し、ほぼ1年に一度の勝負を楽しんできました。

ここ数年で戦闘力と信頼性のポテンシャルがかなり上がっているのが実感できていましたが、2008年岡山戦ではなんと予選でクラス2位!決勝も序盤はクラストップを走る車をも追い上げるペースでクラス2位、総合10位以内でしばらくラップを重ねる活躍を示しました。(詳しいレポートはWW2のページを参照願いやす。)

決勝の最終順位は、残念ながら天気の読みを外してブレーキパットの選択ミスを犯しており、クラス7位になってしましましたが、棚ボタでも無く実力で上位を走れるポテンシャルがあることが実証され、今までやってきた事の正しさが証明された有意義なレースでした。

 と言う事で2009年度は予選ポールポジション、決勝は表彰台!を目標に車両を仕上げて行きたいと思います(^^)。


2008年11月16日〜2009年1月3日

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今年もおいらのガレージにやって来た78号車。
9月のレースが終ってから手付かずの状態でしたので来シーズンの各種テストを開始する前にメンテナンスを行います。
例年に無い早い段階からの次シーズンの準備開始です!

とりあえずのメニューは
・2007年より症状の出ているオイル消費大の原因究明のため、レースで使用したエンジンの交換
・今年のレースでシフトフィールの悪かったミッションの調査の為、ミッション交換
・至る所からオイルが滲んでいるので、場所の特定と修理。
・各部のチェック
と言ったところかな。
なんとか正月休みにテスト走行に行きたいので年末までに作業を終らす事を目標に頑張ります。

しかし休日の昼間は子供と遊ぶのでほとんど作業できないので、できるだけ作業は平日に行う必要があります。
幸か不幸か世界不況の折、仕事で残業が出来なくなったので早く帰宅できるようになりました(^^;。
なので帰宅後、家族と晩飯食べて、子供と風呂に入り、子供を寝かしつける際に一緒に寝て、数時間後にむっくり起き、それから朝方まで作業する事にしました。
大体、深夜0:00からAM4:00まで作業が出来ます。

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平日の深夜0:00から作業開始です(^^;。まずはサクサク補機類を外します。
RE-ターボの補記類は沢山あるので大変ですが、まだ体力的に余裕があるので楽しみながら作業します(^^)。

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エンジン、ミッションの載せ降ろしはさすがに平日の深夜にやる根性は無かったので休日の日中に行いました(^^;。
この日はドライバーのI藤さんが手伝いにきてくれまして、万全の体制です(^^)。

相変わらずガレージが狭いので車を若干外へ出し、ピットの蓋を半分閉めてエンジンクレーンを使用します。

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今回はミッションが着いたままエンジンを降ろします。
この方法だとミッションを単体で降ろす際の力仕事が全く不要でとっても楽チンでしたね。
但しミッションの後部をかなり下に傾けないと取り出せないので、ピットが無いと難しいかもです(^^;。

後は予備のエンジン、ミッションを載せて、各部をチェックしながら補記類の取り付けになるのですが、各部をチェックしているといろいろと気になるところが山盛り(^^;。
チェック時に見つかった不具合と作業をメモ代わりに書いておく事に...。

エンジン関係
 1.エンジンオイル残量チェック・・・レベルゲージにて下から4割程度。明らかにオイル消費が認められる。→別途原因調査
 2.エンジンオイル汚れ・異物チェック・・・特に問題無し。
 3.オイルキャッチタンク油量チェック・・・800cc。多すぎだなぁ。オイル消費の要因の一つと考えられる。
 4.オイルキャッチタンク洗浄
 5.オイルキャッチタンクのブラインド部よりオイル漏れ有り・・・シール部修正
 6.フロントメンバー左側下部にオイル付着有り・・・パワステポンプのオイルタンクホース部よりオイル漏れ。→ホースクリップ増し締め&洗浄
 7.ターボ・インテークパイプ連結部のOリング切れ・・・Oリング交換&Oリング挿入部の面修正。
 8.ターボ・インテークパイプのフランジ部歪みチェック・・・歪み有り。砥石にて面修正。
 9.ターボ・プリ・コントロールバルブの溶接部剥がれ・・・溶接し直し。
10.エキマニのフランジ部チェック・・・歪み&クラック有り。歪は砥石にて面修正。レース前に交換要
11.インタークーラー・フィン部汚れ&目詰まり有り・・・清掃&フィンの目立て修正。
12.エアクリーナーチェック・・・汚れ&一部劣化によりスポンジがボロボロ。洗浄したが交換要
13.エギゾーストパイプフランジ部歪みチェック・・・歪み有り。砥石にて面修正。
14.フューエル・ラインのチェック・・・ホースバンドの一部緩み有り・・・増し締め。

ミッション&デフ関係

15.ミッション・オイル汚れ・異物チェック・・・特に問題無し。
16.ミッション・オイルクーラー・ホースの付け根よりオイル滲み・・・シール交換
17.ミッション・オイルクーラー用オイルストレーナーチェック・・・多少異物有り。→オーバーホール。
18.シフト・インナーブーツ破れによるオイル漏れ有り・・・ブーツ&ついでにスプリング・シート交換
19.デフ・オイル汚れ・異物チェック・・・真っ黒。異物は無し。
20.LSDイニシャルトルク測定・・・ゼロ(^^;。→オイルの劣化も激しいのでかなりプレートの磨耗が考えられる。セレクティブLSDだったのでとりあえず最強に再調整。要対策
21.デフのドライブシャフト・オイルシールよりオイル漏れ・・・オイルシール交換。
22.「デフ・オイルクーラー・フィン部目詰まり有り・・・清掃&フィンの目立て修正。中も洗浄。
23.デフ・オイルクーラー用オイルストレーナーチェック・・・多少異物有り。→オーバーホール。

車体関係
24.フロアトンネル・クロスバー取り付けネジ緩み・・・3本有るクロスバーのほとんどのネジ部が死んでいる。→オーバーサイズのタップ切り直し&リコイルにて修正。
25.サスペンション・アーム類洗浄&チェック・・・クラック無し、ブッシュ&ピロ異常無し。
26.4輪アライメント測定・・・トー以外はOK。トー調整。
27.ブレーキパット残量計測・・・後で新品の厚さと比較し磨耗量を計算する。でもあんまり減っていないなぁ。減っても良いからもっと効くパットが欲しい。
28.ブレーキフルード交換&エア抜き
29.フロントブレーキ・エアダクト位置変更

他にも細かい作業をしたと思いますが大体はこんな感じだったかな。
ひとつひとつの作業の難易度はたいした事ありませんが、とにかく異常を見逃さないように細心の注意を払ってチェックする必要があるので結構時間がかかります。なぜなら自分が運転する車では無い事と、事前に試走行をして作業のチェック等が出来ない為、ガレージでのメンテだけで完璧な状態にする必要があるからです。この78号車のドライバーは3人とも妻子持ちで本業の仕事でも重要なポジションにいる為、もし車両の整備に致命的なミスが有りドライバーの身に何か起こってしまうと何人もの人生が狂ってしまうので、相当なプレッシャーが掛かります。

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このプレッシャーと2009年の表彰台への期待を闘志に変え、気温1ケタの平日深夜に延々と作業しておりました(^^;。


※残課題&残作業のメモ

・ブレーキパットメーカー変更によりパットの磨耗量データ取り
・LSD耐久性向上(デフオイルオーバーヒート対策かな。)
・水温上昇対策
・エンジンオイル消費量抑制
・ドライバーチェンジし易いようにロールゲージ位置修正
・通信用車載携帯電話の操作性向上


2009年 1月 4日

 何とかテスト前日までに作業を終え、岡山国際サーキットへテスト走行に来ました(^^)。
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この日の主なテスト目的は、ブレーキパットのデータ取り、エンジンオイル消費の原因調査、タイヤのロングラン使用限界の見極め、メンテナンス後の走行フィールの確認等。

全体的に好感触のまま無事テストを終える事ができました。

特にクロスメンバーの取り付けを修正したことで本来のボディー剛性が戻ったようで、それに合わせてサスセッティングの幅も広がり、おいしいところを見つける事が出来たのが大きな収穫でした。これによりコーナリング時の安定性がかなり改善され、2008年のレース時よりも楽にドライブできるようになったそうです。

タイム自体は気温が低いのでエンジンパワーが出るので夏との直接比較をしてはいけませんが、去年のレース終了時のタイヤで軽く流しても去年の予選の0.5秒落ちでラップ出来ましたので、充分な結果と考えられました。

と言う事で、このテストで現状の車の感触を掴み、2009年のレースに向けてやるべき事の確認が出来ました。
あとは気温が高くないとテスト出来ないメニューが残っていますので、暖かくなるまではロールゲージの修正等の大掛かりな整備をする事にしましょう。

5月位までは走行テストはお預けになるかな(^^;。


2009年 2月 7日(土)

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 この日は作業メニューは
1.ロールゲージの修正の為に内装を全部取る
2.ロールゲージの修正している間にデフのO/Hをしたいのでデフケースの降ろし
3.正月のテスト走行で使用したブレーキパットの磨耗量計測
の3本。

今回は正月のテスト後に保管場所をオーナーの秘密基地へ移したていたので、そこへの出張作業でした。作業員はおいらとI藤さんを含めて4人と豪華(^^)。一見面倒くさそうなダッシュボードも1時間足らずで外してご覧の通り。比較的のんびりやりましたが4人掛かりなので全部の作業が正味4時間弱で完了しました(^^)。

予定では翌日にロールバーの修正の為に車屋さんに預けるはずでしたが、早く作業が終ったので今日のうちに運んで今週の作業が終了しました(^^)。

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このお方達は行方不明にならないようにお家に連れて来ました。
おいらのロドスタにも欲しいなぁ(^^;。


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